内部留保を中小下請け企業の発注費の拡大に

2015-01-08 19:24:28 | 日記

   内部留保を中小下請け企業の発注費の拡大に

       

  麻生太郎財務相が5日の信託協会の新年賀詞交歓会で、企業の内部留保蓄積が328兆円にまで膨らんでいることを指摘し「カネをためてないで、賃上げ、配当、設備投資に回すことが望ましい」という発言したと報じている。

  日本の平成26年度一般会計予算は約95.9兆円である。まさに膨大な民間企業の内部留保である。しかもその資金を抱え込んでいるのが大企業である。よってその掃き出し(賃上げ)があるとするなら、大企業に働く正規労働者というきわめて特定な層に限定されることになりかねない。約7割を占める中・小企業に働く労働者の賃上げは欠かせない。この課題は追及しなければならない。

  一つの事例をあげてみたい。運送業の例である。一時拡大されたこの業界も、今やその生き残りをかけた競争が繰り広げられている。そこに燃費の増大が続いた。また生き残れたとしても荷主に買い叩かれてきた。

  荷主のA社がある。荷の運送を運送会社B社と契約をする。B社にとってA社は元請けであり、そこにA社にとっては「何も運送会社はB社だけではないよ」と揺さぶる。よってそこに「従属関係」が生まれる。

  そのA社が原価低減を図る。その時の矛先はまず資材費と運賃にむけられる。つまり「○○パーセント削減に協力を」という文章一通が届けられる。A社とっては極めて簡単である。苦労はいらない。汗もかかない。そして○○額の原価を確実に下げることができる。

  元請が支払う運送費にはいわゆる運賃がある。かつては公価格というものがあったが今は多分採用していないだろう。また、搬入先の日程により現地早朝搬入というケースがある。それを可能とするためには、運送会社は前日にトラックを配車し、荷積みを完了する。そして早朝あるいは深夜に出発する。2日間の車両の確保と留め置きが発生する。その費用を「積置き料」という。また時間外・休日の運転と搬入作業がある。これには時間外(深夜)手当・休日手当が必要となる。さらに現地において運転士が荷おろし、搬入作業をする時がある。これを搬入・荷捌き料という。

  かつては、これらの費用は個別に運賃契約に記載され、運送会社は荷主に請求することができた。つまり、運送会社は「運賃」以外の付加価値を得ることができた。しかし、これら付加価値の契約は現在ほぼ消滅していると考えて間違いない。さらに、一旦下げられた運賃は元に戻っていないだろう。しかも高速利用に対しては、運送業者(運転士)の努力に期するとして運賃契約から除かれているケースもあると聞く。

  大手建機メーカー・コマツの野路会長は述べている。「自分だけ儲かっちゃいかん。社会があって会社が成り立っている」と。(毎日「一極社会」1月7日)

  いわゆる「企業の社会的責任」である。

  利益の配分として賃上げを要求することは正しい。しかし、それだけで良いのだろうか。前記の野路会長の言葉は、本来は「労働組合の言葉」ではなかろうか。下請けは元請にとってはパートナーである。その意味では下請けで働く労働者は、元請の労働組合にとってもパートナーであろう。

  「労働組合の社会的責任」は追及されなければならない。

 


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