高齢者の介護サービスを「蚊帳の外」にはじき出すことは許せない

2014-04-28 15:04:34 | 日記

 「要支援・要介護1・2」の介護サービスを

            「蚊帳の外」に、はじき出すことは許せない

     

誰もが、いずれは老いる。このことの社会(政治)的な保障と言えば、その取り組みは遅々として進まない。いや進まないどころか矛盾をさらに拡大している。

今回は、このことについて書いてみたい。

今国会(1月24日招集・6月22日終了)に提案されている「介護保険法改正案」がある。この法案が検討されるにあたって、厚労省は医療・介護の部会を設けた。その中で次のような意見が出されている。

「認知症高齢者、単身や夫婦のみの高齢者世帯が増加していくことをふまえれば、地域の実情に応じて、高齢者が可能な限り、住み慣れた地域で、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の支援が包括的に確保される体制を構築することが求められる。そのためには、地域の中で医療と介護サービスが一体的に提供されることが必要であり、医療と介護の連携をさらに推進する必要がある」。

以上の部会報告に従い、政府が提出した今回の法案は、「住み慣れた地域での医療、介護」という、心ちのよい表現をしているものの、結局は患者の早期退院を迫るものであり、金のかかる「7対1の看護体制」を削減するなどのものでしかない。

なかでも、介護サービスについては、要支援1・2を介護保険制度の適用から外すというものがある。では、この要支援と認定された高齢者の実態を見てみよう。高齢者全体を100とした場合、単身世帯40.7%・夫婦二人世帯24.8%が要支援1・2の認定者である。とりわけ認知症の大部分がこの要支援の層であり、末期がんであってもここに認定される高齢者は多い。

それだけではない。要介護1・2の対象者の特別養護老人施設等への入所を、原則的に不可能にするという改正も含まれている。つまり介護を必要とする65%強の高齢者が、国民皆保険である、介護保険制度の「蚊帳の外」にはじかれることを意味する。これは大変なことである。

そこで改正法案の内容は、「介護のサービス(訪問介護・通所介護)を地域支援事業とする『介護予防・日常生活支援総合事業』で支える」体制を、各自治体においてつくるとなっている。つまり「NPO・民間企業(介護派遣会社)・協同組合・ボランティア・社会福祉法人」などによる柔軟な取り組みをすべきという提案である。柔軟な取り組みとは何を意味するのか。全く理解できない。

介護士の労働条件も含め、問題を孕みつつも、既存の「介護サービス専門事業所」の改善は取り組まれてきた。またその施設で働く専門職が積み上げてきた経験のケァは、貴重な財産として残されてきている。

しかし、前記の「支援総合事業体」が、例えば、ボランティアや派遣会社が、それにとって代わるだけのものになるのだろうか。さらにその事業体を取り仕切る自治体がその機能を果たせるのか。運動場や図書館の運営、あるいは公的財産管理などを委託するものとはわけが違う。このことはわかりきったことであろう。

社会保障は「100年の計」という。小泉内閣はそのことを政策としたが2年と持たなかった。

国会の「熟議」が叫ばれて久しい。その意味でもこの介護保険法の改正法案は国民の間に広められていない。国会の審議は6月がリミットであるが、政府はこの法案を引き下げ、あらためて「津々浦々」までの審議の場を設けるべきであることを提案したい。


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