やばくなったら逃げる。その隊員に武器の拡大使用を命じる

2015-05-25 10:16:48 | 日記

やばくなったら逃げる。その隊員に武器の拡大使用を命じる

   これって「逃げるための抑制」なの・それとも「本気でやらせる」の

 

  福島県原子力対策監でもある角山茂章氏(会津大前学長)は、福島民報の日曜論壇(5月24日)で、原発の「廃炉工事とリスク」と題して次のように述べている。「当初国は廃炉のロードマップを、米国スリーマイル島の廃炉工事の実績をもとに30年、40年かかるであろうと想定し作成した。現在その見直し中であるが、それだけ工事の難しさが再認識され、当初の計画よりは長い工程で進まざるを得ないようだ」と述べている。さらに「福島第一原発1号機の格納容器の内部にロボットを入れ調査を開始したが、一台目は予定の3分の2まで進んで走行不能となり、もう一台は、監視カメラが強い放射線で見えなくなり帰還できなかった」と付け加えている。さらに「このようなロボットによる作業は困難を極め、あるいは暴走ということも想定しなければならない」と廃炉作業におけるリスクの拡大を懸念している。そしてリスクの高い工事を困難な手術に例え「手術の前に患者に十分な知識を伝えて合意をしてもらい手術に臨む。これがインフォームドコンセントであるが、それは原発でも同じことだ」と。

  さてこの「リスク論議」である。安倍首相をはじめとして関係閣僚は、この自衛隊のリスク論議に対しまともに答えていない。どなたの発言でも良いのだが、自衛隊の出動命令の直接的発信者である中谷防衛相の発言を取り上げてみたい。彼はいろいろな場で発言を繰り返しているがおおよそ次のようになるだろう。中でもTBS系(JNN)の配信では「自衛隊員のリスク、防衛相も明言せず」との見出しで、政府与党が成立を目指す新たな安全保障法制によって「自衛隊員のリスクはどう変わるのか」について、19日の国会審議で追及された中谷防衛大臣は、『自衛隊員の任務はこれまでも命がけだ』として、リスクの変化については明言せず、議論はかみ合わなかったと報じている。そして民主党福山参議院議員との次の質疑を取り上げている。

  「後方支援も、従来の『非戦闘地域』の概念よりずっと危険であり、その中での恒常的な治安維持は間違いなく自衛隊員のリスクは高まる」と述べ、そのうえで「リスクが高まることについて、いくら安倍総理に質問してもお認めいただけない。素直にリスクを認め、厳しい状況だけど頼むと言わないのは政治家の怠慢となる」と追求した。これに対し、またもや中谷防衛相は「自衛隊員の任務は、これまでも命がけで、これ以上ないというリスクを負って勤務している。隊員の安全確保等については、今回、平和安全法制を制定したいと考えているが、これによって与えられる任務において変わりはない」と答弁し、さらに「安全配慮規定を設け、任務の拡大に応じた武器使用の権限も与える」と付け加えている。

  「今までも十分リスクを覚悟して任務を遂行してきた」と。もちろん、訓練においても、災害救助の場においても、リスクを覚悟で任務を遂行してきたであろう。しかし、それは安倍首相が「今までも1800名の隊員の尊い犠牲があった」と答え、記者の「戦場における死の覚悟は」という質問をはぐらかした無責任な言語と同一のものであることは誰でも認めるものであろう。誰が聞いても不思議な会話である。そして「やばくなったら逃げる」と述べつつ、別な口先からは「任務の拡大に応じて命を守るため武器使用の権限を与える」との言葉を発っしている。それは武器を使用するということ、戦うということ、「撃たれる前に撃つ」ということを意味する。この二つをどう説明するのか。まさに詭弁以外何物でもない。このような政治家が、今日本の将来を決めようとしている。恐ろしいことだと言って済まされないギリギリのところに来ていることを認識すべきである。


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