細沼園のお茶飲み話

お茶の時間のひとときに、思いつくまま書きました。

故郷忘じがたく候

2008-08-23 21:37:13 | 読書メモ さ行
故郷忘じがたく候  著者 司馬遼太郎

《内容》
豊臣秀吉が朝鮮出兵をした折、薩摩人によって強制連行された朝鮮人たちがいた。
表題作「故郷忘じがたく候」は、その後裔である陶芸家・沈寿官氏の半生を描いた作品。   
        (紹介文より)



400年前に日本に連れてこられた(拉致)人たちがいる。驚きでした。

沈氏がソウル大学で講演した。
―――私には韓国の学生諸君への希望がある、韓国に来てさまざまの若い人に会ったが、若い人のだれもが口をそろえて36年間の日本の圧制について語った――
(中略)
新しい国家は前へ前へと進まなければならなというのに、この心情はどうであろう。
(中略)
「あなた方が36年をいうなら」といった。
「私は370年をいわねばならない」


沈氏が父親に

「自分というものは何のためにいきているのでしょう」
沈氏は、いった、哀れすぎるではないか。あなたもおそらく若い頃この家とこの家芸を継がねばならぬことで悩まれたと思うが、いったい自分は何を目標に生きてゆけばよいのか、それをきかせてほしい、といった。
(中略)
ひとことだけ言った。このひとことに、十三代翁自身の生涯の哀歓が煮詰まっていたであろう。
「息子を、ちゃわん屋にせえや」
わしの役目はそれだけしかなかったし、お前の役目もそれだけしかない、といった。





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