《内容》
森子46歳。祐一49歳。結婚生活10年を迎える。元日の朝、森子の発言が平穏な結婚生活を一変させた。妻が夫に別れを告げるとき―。移ろい行く夫婦の心情を綴る、長篇小説。(紹介文より)
―――どこかのだれかの母親なのではなく、『おかあさん』と胸のなかでささやくときに広がる、よいにおいのする、やさしい存在であることに気づいた。いつもふくよかな笑みをたたえていて、なんでも許してくれる、白くて柔らかな手の『おかあさん』だ。こどもだったころに、ほんとうの母親に叱られたとき、こんなおかあさんじゃあなくてもっとちがうおかあさんがいいと思ったときの『おかあさん』。