政界も教育界も不祥事続き……。そんな鬱屈を吹き飛ばしてくれる社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」の結成三十周年記念公演を観てきたわ。

 彼らは郵政選挙で圧勝後の小泉純一郎首相(当時)のパロディなどでテレビで引っ張りだこだった。その頃から「いつか生で観たい!」と密かに願っていたボク。去年、念願かなってついに博品館劇場の定期公演を鑑賞、その圧倒的面白さにハマった! 地方公演を次々と追っかけるコアなファンも少なくないとか。

 

チケット入手も困難なのよ彼らの結成は一九八八年。昭和天皇の病状悪化による“自粛”ムードの中で社会風刺コントをスタート。メンバー交代を経つつ、平成と共に歩んできた。グループ名が「新聞」だけあって、最旬の時事ネタを外さず取り入れている。今回のメインネタの一つが、トランプ大統領・金正恩委員長のシンガポール会談。歩き方から握手の仕方までそっくり、その表現力たるや! もちろん現首相がモデルの安倍シンゾウはじめ石破シゲル、小池ユリコと今を時めく政治家のパロディも。ついさっき流れたニュースや発言も取り込むから、公演ごとに内容も変わる。辛口だけど、そこにはマネする相手への愛がある。小泉元首相はじめ“大物”ご本人たちからも応援メッセージが届くのも納得ね。

 狂言や川柳しかり、いつの時代も大衆は、政治や為政者、社会への不満を笑いに転換し、風刺に表現してきた。そして皆で見て笑い、明日への活力に変えてきたのね。風刺娯楽の発展は国民の健康のバロメーター。テレビでは言ってくれないモヤモヤ感を吹き飛ばしてくれる「ザ・ニュースペーパー」のライブは、ボクらの心の健康を保つ栄養剤ね!

 ところでメンバーの一人、山本天心さんの持ちネタに「尾木ママ」があるんだって。いつか必ず、生で観たいわ♥

source : 週刊文春 2018年8月30日号