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「わかる」とは何か

2006-12-29 | わかりやすい表現
01/4/13 海保1000字 50行
筑波大学新聞

私の1冊
長尾真著 2001 「「わかる」とは何か」岩波新書
************ 「私の1冊」
●「わかりやすさ」を求めてうろうろ
 取扱説明書のわかりやすさの問題に取り組んだのが1985年。はや16年になる。
 その間、求められるままに、また興味のおもむくままに、「わかりやすさ」をキーワードにして、インタフェース(人と機械との交流)、各種表示、ヒューマン・エラー、文書作り、プレセンテーション、授業、広告など、我ながらあきれるくらいに多彩な領域に首を突っ込んできた。
 それだけ、世の中がわかりにくさに満ち満ちているということでもあるのかもしれない。
●「今の私」にとっての1冊
 いずれにしても「わかりやすさ」に深入りしてきたからには、「「わかる」とは何か」は多いに気になる。というわけで、「今の私」の1冊として、この本を挙げてみた。
 ただし、「わかる」と「わかりやすさ」とは実は突き詰めると似て非なるところがあるが、話が面倒になるのでここではやめておく。
 なお、「これまでの私」の1冊なら、他にも何冊かある。「精神分析入門」「自由からの逃走」「認知革命」などである。
●科学技術がわかるとは何か
 長尾氏が本書に込めた意図は、科学技術に組み込まれている説明の構造を、説明の主要な3つの道具である、推論、言葉、文章表現の特性から分析してみることにある。そして、そのことを通して、科学技術に内在するまやかしや危うさやもろさに注意を喚起することまでねらっている。
 たとえば、次の例から何が問題かを指摘することができる人は、かなり「科学技術がわかっている」人ということになる。
・アルミニウムはアルツハイマー病を引き起 こす(推論の問題)
・実験をいわば人間から引き離してしまい、 技術器具のしめす現象のうちにだけ自然を 認識し----(言葉の問題)
・プログラムがウイルスに感染する(文章表 現の問題)
●科学技術にも心理主義の波が
 ばりばりの工学者である長尾氏から、21世紀は「情の時代」「心の時代」と言われ、さらに、「身体的レベルにおける理解」「心の底から納得できる状態」の大切さにまで言及されると、心理主義もここまで来たかと、びっくり仰天させられるようなところがある。。と同時に心理学も頑張らなければとの思いも沸いてくる。

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