心の風景 認知的体験

癌闘病記
認知的体験
わかりやすい表現
ヒューマンエラー、安全
ポジティブマインド
大学教育
老人心理

深層構造(deep structure>」学生が解説すると

2019-10-03 | Weblog

深層構造(deep structure>
深層構造とは言語学者、チョムスキーが考案した言葉で、すべての言語に備わっているとみられる基本的文法の普遍的な特性のことを指します。これと対比する語として表層構造という言葉があります。表層構造というのは、ある特定の言語が持つ文法の型と文章の構造のことで、その言語を他の言語と区別するものです。深層構造はすべての言語に共通な基本的原理なので、子供はそれを生まれながらに持っており、生まれたあと、周りから聞こえる言語の表層構造を解読するのに使います。
つまり「ありがとう」でも「Thankyou」でも英語と日本語という言語の違いはありますが、意味することは同じです。これは表層構造は違うが、同じ深層構造をもった文だということができます。どこの国でも、どんな文化をもった地域でも、感謝の気持ちは誰もが抱き、その感情は全世界共通です。ただ表す言葉が違うだけなのです。子どもは生まれた土地で生きていくためにその土地の言葉(表層構造)を学ばなければならないのです。
 このことは同じ言語の中でもあてはまります。英語を例にあげてみると、
① Jane hit the boy.
② The boy hit by Jane.
この①と②の文章は、一方は能動態、他方は受動態というように一目見ると違う文章のように思えます。しかし、これらふたつの文の意味はまったく同じです。この文であれば、一見してわかる句構造が表層構造であり、ふたつで句構造が違っても意味は同じというのは深層構造が同じであるということができるのです。
 つまり、なにかものごとを人に伝える場合でも、伝え方(表層構造)は違っても、伝えたい内容(深層構造)が伝わればよいのです。「Janeが男の子をぶった」でも「男の子がJaneにぶたれたでも」同じ意味なのですから。(SA)

****
 この言葉は、アメリカの言語学者、チョムスキーの考えた生成文法という理論の中に出てきます。チョムスキーは、人間が生まれてからわずか数年の間に無数の単語を組み合わせ、無数の文章を作り出すことができるのは、誰でも生まれながらにして言語を生成できるメカニズムを備えていると考え、このメカニズムのことを生成文法と名づけました。
 この考えによると、文章には2つのレベルがあり、実際に書かれたり話されたりして表面に出てくる表層構造のほかに、基底にある文章の意味を反映するレベルとして深層構造があります。
 例えば、「警察が泥棒を捕まえた」という文と「泥棒が警察に捕まえられた」という文は、表面的な文の構造は違いますが同じことを意味しています。つまり、この2つの文は表層構造は違いますが深層構造は同じなのです。また、「家の中を見てみたら、母は外出していません」のような文の場合、「母が外出して家にいない」という意味と「母は外出してはいなくて、家の中にいる」という意味の2つの意味を考えることができます。この場合、異なる深層構造を持つ2つの文が、たまたま同じ表層構造になったわけです。(SJ)
****
チョムスキーは、ある言語の外に別の何かがあり、人がしゃべる言葉はすべてそこへもどして、あるいはそれと関係づけることによって説明するとしました。そして、彼はその何かを「深層構造」と名付けました。人の口から出る言葉は、単に表面に現れた現象であり、その基礎はすべて深層構造にあるとしたのです。つまり深層構造とは、実際にわれわれが読み、聞くことのできる文の背後に仮定された高度に抽象的な構造で、その文の本当の意味を決定するものです。彼の理論「変形生成文法」の中核となる考え方は、意味解釈を決定する深層構造と、音声解釈を決定する表層構造とは一般に別の物であり、深層構造に対し文法的変形と呼ばれる形式操作を繰り返し適用することで表層構造が決定される、ということです。したがって、みかけの構文が異なるのに意味のよく似た文や構文が同じなのに意味が違うような文が存在し、また私たちが理解できるのは、深層構造が存在しているからといえるのです。
 また彼は深層構造は人類共通のものでありあらゆる言語に共通しているとし、人類にとって普遍的な存在である深層構造を抑えれば、あとは変形の手法によって、どんな言語も説明できると考えたのです。そのためどんな子供でも、自然にその国の言葉を話せるようになるのは、深層構造をあらかじめ持っているからだと考えることができるのです。(YM)
  

最新の画像もっと見る

コメントを投稿