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学生の知的生活のパワーアップ術(古ーい講演要旨)

2020-06-07 | 認知心理学

02/12/5



      学生の知的生活のパワーアップ術

        ---認知心理学からの提言---



       海保博之(筑波大学「心理学系」)

概要**************************************************************

 情報化社会での知的生活をパワーアップするには、頭の中にある内的資源と、頭の外にある外的資源とのバランスのとれた活用が鍵となる。インターネットの活用に見られるように、外的資源の爆発的な増加はこのバランスを著しく破壊し、そのために知的生活の混乱がみられるのが現状である。

 本講演では、情報化社会における知的生活の中核になっている情報収集力、情報編集力、情報表現力の3つの力をつけるために、内的、外的な知的資源をどのように活用すればよいかを軸に認知心理学の立場から考えてみる。

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序 コンピュータが引き起こした知的革命をめぐって



●有史以来、外部の知的資源を爆発的に増加させたことが、3度あった。

1)1度目は、文字の考案。紀元前3千年頃,「楔(くさび)型文字」である。備忘官(王家の家系や業績を記憶する人)が不要になり、情報の固定化、記録ができるようになった。

2)2度目は、活版印刷の発明。15世紀中頃、グーテンベルクの発明した活版印刷である。情報(当時は聖書)の共有範囲が爆発的に拡大した。

3)3度目は、1937年、コンピュータ・ABCマシーンの開発である。それ以来ほぼ半世紀、知的環境を革命的に激変させた。



●コンピュータがもたらした現在の知的環境の3つの変化 

1)誰もが情報発信者に

  小学生でもインターネット上のHPで不特定多数に発信

2)仮想世界の肥大化

  仮想世界の4つの特徴

   ・現実世界の一部を拡大・強調する--編集機能の高度化

      見せたい現実だけを劇的に見せられる

   ・思惟世界を見えるようにする--情報のビジュアル化

      星の動きもシミュレーションできる

   ・多彩かつ臨場感のある間接経験を提供する--間接経験の豊潤化

      けんかも仮想世界で

   ・時間的・空間的な制約が緩い--制約の緩和化

      いつでもどこでも

3)情報の保存、流通の大規模・低コスト化

  「ギガ」(10億)単位での情報保存と流通がお茶の間に

●コンピュータの3つの知的支援機能が誰でもいつでも使える環境になった

1)情報収集・蓄積支援  例 ネット検索・256MBのフラッシュ・メモり

2)情報編集支援  例 コピー&ペースト

3)情報表現支援  例 パワーポイント



●こうした知的状況を踏まえて、本講演では、3つのことを基本原則とした、知的生活のパワーアップ術について提言してみる。



基本原則1「頭の内と外の往復を活発に」

       内的資源と外的資源、内化と外化のバランスのあるやりとり

       実習 円周率の記憶---頭だけを使った記憶術

           3.14159265358973238---

基本原則2「心の身体性にも配慮を」

       シンボル操作に加えて身体に作り込まれた知も大事

       実習 空書--からだ(外化/内化機関)の記憶

          ・カタカナの「イ」と「ニ」でできている漢字は?

          ・「イ」と「ロ」と「ホ」でできている漢字は?

       例 宮大工・西岡常一氏の箴言 

基本原則3「強靱な心より”しなやかな心”作りを」

       心のくせ(法則性)にかなった科学的なパワーアップ術を

       洗脳やエセ宗教や精神改造とは一線を画す

       ・自分で自分を知りコントロールする力(メタ認知力)を   
       ・心についての知識を豊かに

       ・自分の心を知り、そこからちょっと踏み出す

         「現在の自分」と「こうありたい自分」

          とが適度に重なるくらいのところで

*

第1 情報表現力(編集した情報を外に向かって発信する)



情報表現力には、

・自分の頭の中で、自分の気持ちと思いを表現する力(自己表現力)

・その表現を外に向かってわかりやすく表現する力(外部表現力)

の2つがある。両者は一体である。

そのために、情報をいかに収集し、いかに加工するかを考えることになる。

「先に情報表現ありき」である。情報爆発の時代に情報に流されないためには、このことの認識は重要である。



●提言1「感性と信念に磨きをかける」ーーー内部表現力を高める

自己表現が求められる時代になった。ということは、自己作りが大事ということになる。豊潤な自己作りには、感性磨きと信念磨きがポイント。



○感性を磨く

感性とは、気持ちを知性化したもの(感情を、イメージや言葉でシンボル化すること)。感性は、状況との直感的・即応的なかかわりをガイドする。

感性を磨くには

・あいまいさ耐性をつける

・知的好奇心を旺盛に

・言葉、イメージを豊富に  

○信念を磨く

信念とは、状況とかかわるための自分なりに構築した認識のためのモデル。このモデルは、状況の心理的な複雑さを減少させる。

信念を磨くには

・哲学、教養に裏打ちされたものにする

  俗流信念(例「誰からも好かれるべし」など)は人生を暗くするので要注意

・何にでも自分なりのものを

・異質の信念にふれる



●提言2「わかりやすく表現する」ーー外部表現力を高める

表現の受け手が誰で、どんな目的で、どんな状況なのかをきちんと認識した上で、次のようなことに配慮することによって、わかりやすい表現にする。

○全体概要、意味、目標を先に

 実習「目標を言わないと、わけがわらない」

○専門用語の使い方に注意する

 実習「専門用語は100の説明を一つの言葉で済ますことができる」

   「スクイズ場面」を「スクイズ」という言葉を使わないで説明する

○メリハリをつける

・見た目のまとまりと意味のまとまりを一致させる(区別化)

 実習 「kaneokuretanomu」を漢字かな混じり文で書くと

・大事なものに目がいくようにする(階層化)

 例 「文字サイズ、項番、書き出しをうまく使う」 

○ビジュアル化する  例「文書にもメリハリが必要」



**

第2 情報収集力(目的にあった情報を収集する)



情報爆発の今、漫然とした情報収集は情報の海に溺れてしまうだけに終わってしまう。大事なことは、

・なんのための情報収集かをはっきりさせること

  ここで、「自己」が問われる

・頭の中にある知識からの情報収集も充分にすること





●提言3「外の情報に負けない」---外部情報の活用のコツ

web情報空間には、膨大な情報が蓄積され、誰もがそれに簡単にアクセスできるようになった。無目的に、この情報空間に入り込むと情報の海の中で埋もれてしまう。目的意識をもった情報空間との付き合いが必須である。

 例「”海保”をインターネットで検索すると」

●提言4「頭の中の知識を活性化する」---内部情報の活用のコツ

生まれてからこれまで、膨大な知識を頭の中に貯蔵してきている。この知識にも、情報収集の網をかけてみることが、”自己”表現につながる。そのためには、記憶の底に埋もれてしまっている知識を目覚めさせる(活性化)させることが必要。

○知識の活性化とは

実習「”どうきょう”を10回繰り返して言う」

  「日本で一番人口の多い市はどこ?」

○知識を活性化するための方策のいくつか

・連想マップを作る

 実習「情報から連想することを絵にすると」

・人と一緒に

 例「ブレーンストーミング(brain storming)5つの原則」

   「批判厳禁」「質より量」「自由奔放」

    「人のアイディアとの結合」「論理性無視」

・読んだ本、記録したノートのぱらぱらめくり



***

第3 情報編集力(情報を目的に応じて加工する)



目的に応じて自分なりの情報空間を作りだすのが編集力である。

料理で言うなら、素材(情報)をいかに料理(加工)するかである。素材の選別にも、料理にも、レシピに従いながらも自分なりのものを出せること、これが編集力である。



提言5「具体と抽象の往復をする」

現実(具体)に縛られると大局が見えなくなる。抽象に行き過ぎると、現実が見えなくなる。そこで、具体と抽象の間の往復をすることになる。これは、収束的思考と発散的思考をうながし、情報の編集を豊潤なものにし、さらに、創造的なものにさえする。

例1「コンセプト・ワークとプロトタイプを同時に---物作り」

例2「抽象的な話になるときは、”たとえば(例)”を随所に---説明」

例3「無理なら、適度に抽象的な世界を見せる--視覚表現」 









提言6「物語を作る」

人生至るところ物語である。レポート一つにも、自分なりのシナリオ(物語)を作り込むことで、はじめて発信するに値する情報になる。

例1 「起承転結」の作り込み

 京の五条の糸屋の娘(起)  姉は十七 妹は十五(承)

     諸国諸大名は弓矢で殺す(転)糸屋の娘は目で殺す(結)

例2 夏目漱石の「坊っちゃん」が内館牧子脚色でドラマになると

   そこには、同じ原作でも、内館氏なりの物語性がある。



おわりに

 コンピュータのユビキタス化(ubiquitous;いつでもどこでも)は今後ますます進む。情報も知的活動もどんどん外部へと移転しつつある。だからこそ、自分の知的生活を豊潤なものにするには、自己作りを心がけ、自分の内なる知識を豊かにし、内外のバランスのとれた知的活動をすることが必要となる。

 本講演ではそのために有効と思われるいくつかの提言をしてみた。



本講演に関連する海保の参考書

「連想活用術」中公新書

「説得と説明のためのプレゼンテーション」共立出版

「一目でわかる表現の心理技法」共立出版

「くたばれ、マニュアル! 書き手の錯覚、読み手の癇癪」新曜社

「自己表現力をつける」日本経済新聞社

「認知研究の技法」福村出版










豪華カップめん

2020-06-07 | 
いつもは、100円の海鮮カップ麺を食している。
今日は思い切って?値段が倍のカップ麺を食した。
旨かったー

ペヤング焼きそばも欠かせない。

いずれも、冷凍ぎょうざと一緒に食すと、
ラーメン屋さんにはいかなくともすんでしまう。

補正予算は、税金無駄つかいの温床」素人政治談議

2020-06-07 | 社会
平常時の補正予算は、年明けから3月あたりででてくる(と思う)。
ところが、決まってから使うまでの期間が短いため、
使途が荒っぽくなる。
今回は2回、数10兆円規模。
おまけに、そのなかに10兆円もの予備費。

平常時の執行方式でやったのが仇になり、
無駄使いのからくりがばれてしまった。
多くの天下り官僚が跋扈する機関が関与しているはず。
この際、膿を出すくらいの気概でやってくれる政治家はいないのかなー
いないねー
これこそ、政治主導でなくてはできない。
小泉さんもまったく期待できそうにないしなー

「参考」RakutenNewsより
8日放送のテレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜・前8時)では、新型コロナウイルスの対策として4月の第1次補正予算について報じた。
 番組では、文科省の国立青少年教育施設改修事業に12億円、国交省のデジタル技術を学ぶ育成センターなどを整備するのに178億円、環境省の国立公園のWi―Fiや遊歩道を整備するために30億円など、新型コロナに関係がない予算が盛り込まれていたことを伝えた。

「参考」ネットより
20年度補正予算成立 コロナ対策、事業規模117兆円 | 日刊工業 ...
https://www.nikkan.co.jp/articles/view/005566872020年5月1日 ... 政府が新型コロナウイルス感染症への対応策としてまとめた緊急経済対策の財源を 裏付ける2020年度補正予算が30日、参院で可決され成立した。国民1人当たり10万 円の現金給付を追加するため組み替えた結果、一般会計総額が約25兆円 ...
「参考」wikipediaより

予見し難い事態への対応として予備費の計上が認められているが、予備費でも対応できないような事態が生じる場合には、追加予算を編成することになる。議会の承認を受けて、補正予算が成立する。
突発的災害による対策として補正予算が組まれることもあるが、実際の運用上としては経済情勢の悪化に対する財政支出拡大を目的として補正予算を編成することが多い。
国の補正予算[編集]
国においては財政法第29条で以下の場合に補正予算を編成できると規定されている。
  1. 法律上又は契約上国の義務に属する経費の不足を補うほか、予算作成後に生じた事由に基づき特に緊要となつた経費の支出(当該年度において国庫内の移換えにとどまるものを含む。)又は債務の負担を行うため必要な予算の追加を行う場合
  2. 予算作成後に生じた事由に基づいて、予算に追加以外の変更を加える場合
日本の単年度国家予算で補正予算の回数が多かった年は1947年(昭和22年)で15回補正予算を組んだ例がある[2]。
2020年(令和2年)4月末に成立した補正予算は、当初予算の編成時に想定していなかった新型コロナウイルスの感染拡大などに対応するために編成され、当初予算成立直後の4月補正、補正予算では初となる予算案の組み替えの実施など異例の補正予算となった[3][4][5]。

「参考」MAG2NEWS 大村大次郎
サービスデザイン推進協議会の理事の中には、天下り官僚はいません。さすがに、国から莫大な委託費を受け取っている団体に、天下り官僚などがいれば世間から叩かれるのはわかっているので、官僚たちはそんなヘマはしないのです。
が、サービスデザイン推進協議会に名を連ねている企業が、天下りの代表的な受け入れ先なのです。
サービスデザイン推進協議会は、電通、パソナ、トランスコスモスなどによってつくられた団体です。
電通は昨年も元総務省事務次官の桜井俊を取締役に受け入れるなど、官僚の天下り先として非常に有名な企業です。
またパソナという会社は人材派遣業であり、小泉内閣の経済政策を一手に引き受けていた竹中平蔵氏を会長に迎え、官僚の再就職業務(つまりは天下りのあっせん業務)なども行っていた「天下りの総本山」というような会社なのです。



寒いの?暖かいの?

2020-06-07 | 心の体験的日記
2重のガラス戸に加えて、電動シャッターの3重になっている。
完全防犯体制である。
同時に、外気からの完全遮断効果もある。
この季節、天気予報では、30度、
でも、室内は肌寒い。
窓を開け放つのが正解かも。
でも、まったく意味がないのだが、なんとなくコロナ汚染警戒心も。

マンガ 心なき心理療法室 臨床心理士が描く心理療法マンガ 「おすすめブログ」

2020-06-07 | 健康・スポーツ心理学
https://counseling-comic.hateblo.jp/ 
乙生弦吾
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