ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

フランス視察~ユーロ・メディテラネ都市開発計画~

2015-11-20 23:33:54 | 日記
11月6日はまず、ユーロ・メディテラネ都市開発公社の都市開発・国際計画担当ディレクターから「ユーロ・メディテラネ都市開発計画」についてお話をお伺いしました。

ユーロメディテラネとは、マルセイユを地中海文化圏の中心に位置づけ、地中海の南北間の交流促進と経済・社会・文化開発を目的とする欧州最大の都市開発計画と呼ばれるプロジェクト。

マルセイユは、パリの約2倍の240㎢を有し海と丘に囲まれており、港を中心に発展してきた。

旧港は2500年以上も利用されており、19世紀の産業革命以後拡張され、それに伴い街も拡大してきた。

10㎢にわたって工場等が建設され、1930年代は世界第3位の港となり、当時はマルセイユを経由して世界に出ており、横浜への直行便もあった。

しかし、1950年代以降、ハンブルクやバルセロナと同様に不況となり、港は荒地になった。

そこで、1980年代以降、都市再開発で街の活性化をとりもどす取り組みが行われてきた。

再開発は国家政策として行なわれており、1995年に国が公式にユーロ・メディテラネを設置し、事業主体となった。

国や地方公共団体の資金で、電力会社や鉄道会社などが所有していた土地を購入し、地区ごとに学校やオフィス等の割り当てなどを計画し、入札をして売却する。

港湾地区を中心とする市内ビジネスインフラ整備、欧州地中海文明博物館(MUSEM)や地中海地域センター等の文化施設の建設、豪華客船を含む観光システムの整備など、各種計画が進行中。

購入時は荒地なので安価で購入でき、売却利益は維持管理費に充てる。

街の中心部の再開発なので無駄に土地が使われないように、いろいろな施設が有機的に結合している必要がある。

状況把握、規模、交渉の3つが再開発のポイント。

住居用地として売却する場合、25%は低所得者層に割り当てる必要があるため、例えば同じアパートの高層部分は高所得者向けに、低層部分は低所得者向けにさせたり、学校事業等の街の事業に参画させるなど、民間の活動をしっかり管理しなければならない。

安価で購入し高価で売却しているといっても、他の地域よりは安価で売却するので企業にもメリットがあり、売却時に条件をつけることもできる。

フランスの法律では、土地はまず町に権利があり、土地を売る場合まず町に買う権利があり、公的機関が公的有用性という権利を発動して交渉する場合、土地所有者は交渉自体を断ることができないことになっている。

公的機関が土地を売却した後は、購入者に再開発税を課税し、それを維持管理費に充てる。

双方にメリットがあり、系統だったシステムが必要。

ディベロッパーへの売却にあたっては、町の計画に沿うかどうかを判断し、売却後は税を課税するなどして維持管理費用を賄える方法を考えるべき。

約200万㎡のエリアで海水を使ったヒートポンプ式の冷暖房を試験的に導入しており、昼間はオフィスに夜間は住居に供給し、30%の省エネ効果が出ている。

また、再開発の際は高速道路が街と港を分断していたので、一部地下化を行った。

1.2㎞の距離で15,000万ユーロかかったが、公共施設ができたりして活性化に大きく寄与している。

地下化が難しければ、高速道路の上にカバーをかけてテラスや橋にし、低層部分はショッピングセンターのような窓があまり必要のない施設にするなど、掘るだけではなく手法はいろいろある。

いずれにしても、土地を売るのではなく、計画を売るのであって、民間ディベロッパーに好きにさせないようにすることが大事である。

1995年にマルセイユ市長に当選した、ジャン・クロード・ゴーダン市長が、4期連続当選し(1期6年)24年間ゴーダン市長が、国、県との調整役となって事業推進をリードしてきた。

市長は、国会議員でもあり、国会の副議長も兼務している。

そのような強力なリーダーシップによって再開発事業が20年間途切れることなく推進され、今では旧ドックが巨大なショッピング街に変身し、港周辺にはミュージアムやレストランなどが建設され、人が行き交う新しいストリートができている、

といったお話でした。


土地所有者は公共機関との売却交渉を断れないという法律があり、日本との違いを感じました。

しかし、民間ディベロッパーには計画の趣旨にあう開発等をしてもらうべきと強調されており、神戸都心部の再整備やオールドタウンの活性化の際には神戸でもあてはまる話だと思います。

また、高速道路が街と港を分断している状況は神戸も同じですが、地下化などで往来しやすくすべきとも強調されていましたし、手法はいろいろあると言われていたのが印象的でした。

固定観念にとらわれず、もっとアイデアを出して神戸都心部の再整備を行っていくべきであり、非常に参考になるお話を聞かせていただきました。




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