ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

会派視察@松戸

2013-04-08 16:57:00 | 日記
10月30日は、まず千葉県の松戸市役所にお伺いし、「空き家条例」についてお伺いしました。

松戸市も超高齢化社会の到来等により、共同住宅を含め「空き家」が増加してきている。
その要因として、
①所有者・居住者の死亡または入院、相続人等による管理放棄または不十分
②住居・土地が売れない、借り手がいない
③核家族化などライフスタイルの変化
④住宅をどんどん建てていった戦後の住宅政策の問題
といったことが考えられる。

もともと空き家問題は当事者間で解決すべき問題とされていたが、
①管理不全の空き家が顕在化
②相手の財産権を侵害できない(越境した枝を勝手に切れないなど)
③個人による調査の限界
など当事者間での解決に限界があったため、安全で暮らしやすいまちづくりを推進していくためにも行政が関与していくこととなった。
しかし、要綱や関係法令に基づく対応では、
①指導はできても処分はできないという強制力のない行政指導の実効性の限界
②戸籍法・住民記帳台帳法に基づく調査の際の法的根拠不十分
といったことから、空き家条例を制定することとなった。

①建物の倒壊及び破損のおそれがある、②不特定の者の侵入・犯罪の誘発のおそれがある、③樹木の繁茂、ネズミ及び害虫の発生している、空き家等が規制の対象。

条例には、登記簿・戸籍・住民票などによる所有者の調査→助言・指導→勧告→命令→住所・氏名等の公表、といった一連の手続きを規定。

平成24年4月1日から施行し、9月末までに通報・相談件数は140件で、そのうち家屋の一部破損と樹木の繁茂が大部分を占めている。
123件が指導対象で、73件に指導を実施した(勧告・命令は未実施)。
61件が改善または改善の約束をしている。

なかには、売却を進めているがなかなか売れなかったり、相続人同士で同意が形成できなかったり、修繕等の資金繰りがつかないなどのケースがある。
また、所有者を調査している中には、調査が行き詰っているものもある(課税漏れや免税点以下の物件など)。
しかし、条例を作って法的根拠があるものになり、調査や指導がしやすくなった、

といったお話でした。

松戸市は都市部であり、空き家等の状況は神戸市と似ているところがあるのではないでしょうか。
神戸市でも「神戸市建築物の安全性の確保等に関する条例」の一部改正が行われましたが、松戸市の条例でいえば「①建物の倒壊及び破損のおそれ」しか対象にしていません。
松戸市では通報・相談が家屋の一部破損と樹木の繁茂が大部分を占めていることから、神戸市でも松戸市の事例等を参考に、「③樹木の繁茂…」も対象に加えることも検討すべきだと思います。




会派視察@栃木

2013-04-02 16:37:30 | 日記
10月29日から11月1日まで、会派の視察でした。

10月29日は、栃木県議会にお伺いし「通年議会」などについてお伺いしました。

年間を通じで議会を開会することを「通年議会」といいます。
議会改革で通年議会を導入している議会が増えてきており、栃木県議会も平成24年4月から導入しています。

会期は1月~12月とし、正副議長や正副委員長の任期も1月~12月とし(ただし、選挙のある改選年は、会期・任期は1月~3月と4月~12月)、期間中に辞職や所属会派の会派変更があっても所属委員会の変更などは行わない。

地方自治法第180条により専決処分ができると知事に委託されたもの以外はすべて議会の議決を経ることとし、行政への監視機能の強化を図っている。
国の税制改正等による年度末条例改正も、臨時会議を開いて対応する。
また、災害など突発的な事態があった場合も随時臨時会議を開き、迅速・適切な対応が可能。

行政側の議会への出席者は、事前通告制の委員会や臨時会議では人数の絞り込みをするといったことも行っている。

陳情は随時受付し、年3回開かれる通常会議の2週間前に締め切り、整理をして委員会へ付託するか確認する。

会期当初に、本会議や委員会、視察など1年間を通した一応の日程を決め、地元活動や後援会活動など各議員が予定を立てられるよう配慮している。

また、常任委員会による政策立案機能を強化するため、会期初期に委員会ごとにテーマを決めて調査研究を行い、12月の通常会議で報告することにしている。
調査研究にあたっては、事前通告制の質疑や議員間討議を行って深く掘り下げ、研究結果に政策提言も盛り込めるようにしている。

といったお話でした。

神戸市会でも議会改革が検討され、通年議会とまではなっていませんが、平成25年からはこれまでの4会期制から2会期制にしています。
また、常任委員会は月1回は開催することになっていますが、テーマを決めて調査研究したり、議員間討議をするといったことにはなっていません。
通年議会に向けて、また常任委員会による政策立案機能を強化に向けて、栃木県議会の取り組みはとても参考になりました。
議会改革に終わりはありません。
栃木県議会の取り組みなどを参考に神戸市会も引き続き改革の努力をしていかなけれはいけないと思います。

*参考:とちぎの通年議会パンフレット http://www.pref.tochigi.lg.jp/p01/assembly/aramashi/gikai/documents/pamphlet.pdf