ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

視察@東京

2014-05-31 21:24:21 | 日記
11月15日は、東京都庁で「障害者・就労推進連携プログラム」についてお話をお伺いしました。

東京都では、平成18年12月に「10年後の東京」を策定し、この中で「10年後で障害者雇用の3万人増加」という目標を掲げた。

そして、平成19年10月には東京都障害者就労支援協議会を設置し、協議会に集う関係機関が連携して、障害者雇用の増加を目指して取り組みを進めてきた。

平成23年12月に策定した「2020年の東京」でも、これまでの目標は引き継がれている。

しかし、東京の障害者雇用数は増加しているもの、民間企業全体の雇用率は依然として法定雇用率を下回っている。

さらに、法定雇用率が1.8%から2.0%に引き上げられるなど、障碍者雇用の促進に向けた就労支援の必要性が一段と高まっていることから、東京都・経済団体・労働・福祉・教育など関係8団体による「障害者・就労推進連携プログラム」を策定し、取り組みを進めている。

その具体的事業として、

就労支援機関と障害者雇用に課題を感じている企業とのグループワーク及びグループワークに参加した支援機関の利用者が、同じくグループワークに参加した企業で職場実習を行う「障害者就労促進パートナーシップ事業」、

国の「特定求職者雇用開発助成金」受給満了後、中小企業に対して最大2年間の賃金助成を行う「中小企業障害者雇用支援助成事業」、

都独自の東京ジョブコーチを養成し、職場定着を支援する「東京ジョブコーチ支援事業の推進」、

職業訓練から雇用就業に結びつけるコーディネート機能を駆使して、関係機関と連携し、企業合同説明会や相談会、普及啓発セミナーなど障害者の一般就労に向けた事業を実施する「総合コーディネート事業の推進」、

障害者雇用に取り組む中小企業に対しモデル事業として、都の支援員がニーズに合わせた支援計画を作成し、採用前の環境整備からアフターフォローまでを一貫して支援したりする「オーダーメイド型障害者雇用サポート事業」、

などを行っている。

「オーダーメイド型障害者雇用サポート事業」では、①障害者雇用の理解、②職務の選定・受け入れ体制作り、③環境調整、④定着支援という一連の支援を行っている。

これまで44社を支援し、26社に37名が採用され、その半数以上は精神障害者であった、

といったお話でした。

「障害者・就労推進連携プログラム」は多岐にわたるさまざまな事業が体系的に盛り込まれており、成果を上げていると感じました。
それは、3万人雇用増加という大きな目標の策定と関係団体の連携があってのことだと思います。
神戸市においても、障害者の就労支援は行われていますが、さらに成果を上げていくためには、東京都のような仕組み作りが必要ではないでしょうか。

参考:東京都庁ホームページから「障害者・就労推進連携プログラム2013」 http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/shutotokyokodosengen/2013.html


視察@横浜 その2

2014-05-13 23:28:06 | 日記
つづいて、横浜市役所で「PPP(公民連携)の取り組み状況」と「Y-PORT事業」についてお伺いしました。

PFI、指定管理者制度、広告事業、ネーミングライツ、公有資産の有効活用など様々な公民連携手法を一括して所管し、公民連携のハブの役割を持ち、新しい価値を共に創ることを目的に「共創推進室」を平成20年に設置した。

「共創推進室」は、民間からの相談・提案を受ける窓口となり、提案の実現化に向け橋渡し役となり検討・調整を行なう。

平成20年6月開設から平成25年3月末までに308件の提案があり、そのうち119件が実現した。

事例として、
①スタジオジブリ映画「コクリコ坂から」をコアとした、様々な主体との連携による観光振興
②新横浜駅北口公衆トイレにネーミングライツを導入し、役務(維持管理)をしてもらう
などがある。

公有資産の活用にあたって、
①方向性検討の早い段階で民間事業者との対話を実施し、活用アイデアを把握する「サウンディング型市場調査」と、
②公募実施前に対話を実施し、地域課題へ対応した事業提案を促す「課題解決型公募」、
の2つの対話手法を独自開発。

指定管理者制度では、市が評価機関、評価員を認定して第三者評価を実施する独自の取組みを行なっている。

広告では、広告付き物品の提供や区庁舎壁面への広告掲出など様々な広告媒体と手法を組み合わせて提供している。

横浜の持つ都市づくりノウハウ及びネットワークと、企業の技術力・海外展開力を活用した公民連携による国際貢献の推進するため、平成23年1月に「国際技術協力課」を立ち上げ、公民連携のハブ機能として「Y-PORT事業」を行っている。

具体的には、①横浜のシティプロモーション、②企業の海外展開支援、③国際関係機関や海外都市との連携といった都市づくりアドバイザリーなど。

 
JICAとの連携により、JICAで募集している事業(調査案件など)を中小企業に紹介して獲得し、海外展開のきっかけになった事例もある、

といったお話でした。

 
いろいろな手法を用いて幅広く公民連携が進められていると感じました。

また、海外展開・国際貢献にも公民連携の考え方を用いており、印象的でした。

神戸市でも「公民連携室」を発足させるなど取組みを行なってはいますが、横浜の事例を参考に、庁内横断的に柔軟に対応し連携を推進していってもらいたいと思います。

 
また、横浜市の共創推進室は約30人体制とのことでしたが、連携を推進していくためにも、「公民連携推進室」の組織充実も図っていくべきと思います。

参考:横浜市役所共創推進室ホームページ http://www.city.yokohama.lg.jp/seisaku/kyoso/

視察@横浜 その1

2014-05-06 23:36:03 | 日記
11月14日は、まずパシフィコ横浜で「MICE拠点の機能強化」を中心にお話をお伺いしました。

※MICE…企業等の会議(Meeting)、企業の行う報奨・研修旅行(Incentive• Travel)、国際会議(Convention)、イベント・展示会・見本市(Event/Exhibition)の総称。

パシフィコ横浜は、会議センター・展示ホール・ホテルなど複合コンベンション施設として1991(平成3)年にオープンして22年が経過し老朽化してきていることから、今年度から2030年度までの18年間の大規模改修工事を計画し、実行している。

株式会社で発足し、建物のほとんどを自己所有しており、新築時の借り入れの返済が残っており資金繰りは楽ではない。

  
ホテルへの賃貸料収入で何とか利益が出ているが、MICE施設だけで利益を出すのは困難。

建築費用はⅡ期工事を含めて約845億円かかっており、大規模改修費用は約180億円を予定している。

土地は横浜市から賃借している。

ICCAというヨーロッパに本部があるMICE団体に加盟し情報交換を行ったり、市役所に戦略的事業誘致担当の課を置くなどして誘致に努めている。

市が約22,000㎡の隣接地に新たなMICE施設を計画している。

展示ホールがBtoBだけでなく、コンサートやAKB48などアイドルとの握手会、企業の運動会といった興行・イベント利用が増えているなど、一般来場型が伸びてきている。

  
その背景として、2003年に東急東横線が延伸し、交通アクセスが向上したことがある、

といったお話でした。

ホテルと連結していることが大事、また各地の展示ホールなどが大型化しているとのお話でした。

神戸市では現在、コンベンションセンターの再構築を検討していますが、その際にはそういった点も踏まえて検討をしていくべきだと思います。

また、展示ホールでの興行・イベント利用など、これまで想定していなかったニーズも掘り起こし、稼働率の向上にも努めていくべきだと思います。

そのためにも芸能プロダクションに人脈をもつ人物を採用するなど、誘致体制の充実にも取り組むべきではないでしょうか。

*参考:パシフィコ横浜ホームページ http://www.pacifico.co.jp/index.html



視察@千葉

2014-05-03 23:59:36 | 日記
次に、千葉県庁で、障害者差別禁止条例についてお話をお伺いしました。

千葉県では平成18年に全国初の障害者差別禁止条例である「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり条例」が制定された。
障害のある人への差別を解消することを目的としている。
当事者・家族から条例づくりが提案され、事例募集、研究会での議論、タウンミーティングの開催の開催を経て成立した。
堂本暁子知事(当時)の思い入れもあった。

この条例の特徴は、
① 何が差別にあたるか具体的に定める
② 差別の解消のための3つの仕組みを設ける
③ 罰則はなく話し合いでの解決を通じて障害への理解を促す
の3つ。

まず、福祉・医療・商品サービス提供・労働・教育・建物公共交通・不動産取引・情報提供の8分野において、合理的な配慮に基づく措置を行わないことを「差別」と定義した。
そして、「何人も障害のある人に対し、差別をしてはならない」としつつも、過重な負担になる場合はこの限りでないとした。
「過重な負担」かどうかは、一律の基準を設けるのではなく、代替案の検討など、個別事案での対応を検証しながら運用していく。

次に、差別を解消するための3つの仕組みとして、
① 個別事案解決の仕組み
② 誰もが暮らしやすい社会づくりを議論する仕組み
③ 障害のある人に優しい取組みを応援する仕組み
を設けた。

「個別事案解決の仕組み」は、
① 約650人の地域相談員、圏域ごとに配置された広域専門指導員が、相談を受け付け、内容を把握
② 障害者側、差別をしたとされる側の双方から事情を確認して、双方に助言・調整
③ 双方の合意が困難な場合は、県の調停委員会へ申し立てる
というもの。
条例施行の平成19年7月から平成25年3月までの相談件数は1,411件。
相談分野別では、福祉サービスが一番多く292件、次いで労働者の雇用が193件、建物・公共交通が142件。
障害種別では、精神障害が一番多く479件、次いで肢体不自由が296件、知的障害が226件。
調整委員会に上げてほしいという希望はこれまで3例あったが、昔の話で解決しようがないなどにより、調整委員会で裁いた事例はない。
話し合い段階で終わっていくケースがほとんどで、中には不満が残っているケースもあるのではないか。

「誰もが暮らしやすい社会づくりを議論する仕組み」は、
差別には社会的慣習やルールが背景にあって構造的に生じている問題も多いことから、官民様々な関係者が集まって、差別の背景となる問題の解決に向けて議論・周知する会議「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり推進会議」を設けている。
そこで、「障害のある人に対する情報保障のためのガイドライン」を策定したり、視覚障害のある人が銀行を利用しやすくするための取り組みを行うなど、課題への対応を進めている。

「障害のある人に優しい取組みを応援する仕組み」は、
優れた取り組みを選考して、知事の激励訪問や認定書授与、県ホームページで紹介するなど、「障害のある人にやさしい取組み」に光をあて、そうした取り組みを普及させることにより、障害のある人に対する県民の理解の輪を広げたり、障害のある人の社会参加を促進したりしている。

今後の課題として、
① この条例の県民の周知は2割程度と進んでおらず、いかに周知を進め浸透・定着させていくか
② 障害者差別解消法の成立により相談件数の増加が予想されることから、相談員の数や専門性の確保など、これまでの条例に基づく取り組みをいかに充実・発展させていくか
がある、

といったお話でした。

千葉県では制定にあたり事例を多く集めて実態を把握して研究が進められたとのことで、まだまだ課題はあるにせよ差別解消に向け実効性のある仕組みがつくられたといえるのではないでしょうか。
その結果が、北海道や岩手県など他の道県・市での条例制定や障害者差別解消法の成立につながっています。
障害者差別解消法では、各地方での取り組みの上乗せ・横出しは妨げないとされていることから、神戸市でも神戸市の事情にあわせた独自の取り組みの検討も必要になってくると思われます。
法律の施行は平成28年4月ですが、神戸市においても千葉県の事例を参考に検討を進めてもらいたいと思います。

参考:「障害のある人もない人も共に暮らしやすい千葉県づくり」のページ(千葉県庁ホームページより)https://www.pref.chiba.lg.jp/shoufuku/shougai-kurashi/