ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

海外視察@ベルギー その4

2014-03-29 23:57:48 | 日記
最後に、「LRD」を訪問し、お話をお伺いしました。

LRDは、1972年にルーバン大学内に設立された、技術・知識の移転を支援する機関で、欧州内で2番目に設立され、現在欧州最大の機関となっている。

知的資材の保護や活用、小規模スピンオフ企業の支援、アントレプレナーシップの調査・活用などを行っている。

  
成果物としては、サムソナイトのスーツケース、コフィアの補聴器、ギリアドのエイズ治療薬などがある。

  
2012年の共同研究収入は1億3千万ユーロで、金融危機の影響を受けずに右肩上がりになっている。

  
それは金融危機の際、調査研究は外注になり、超学際的な解決ができるルーベンに調査研究依頼が来た。

  
研究調査の促進するため、収益の8.5%をLRDが、もう8.5%を大学が受け取り、残りは教授が受け取ることができるようにしたり、自由に研究できる環境は保証しながら年限に制限をもたせる、といったルールを決めている。

また、パテント処理など知的所有権の専門部署があり、周辺に大学・大学病院・IMFCなどがあることもあって、パテント数が多くなっており、ルーベンの強みになっている。

さらには、1998年からスピンオフ企業のサポートのためのファンドを大学が持ち、それによりプライベート融資が増え、事例が増えている、

といったお話でした。

実用化を促進する仕組みが大学等と連携して確立されており、進んでいると感じました。
法制度の違いや文化の違い等はあるにせよ、神戸においてもインキュベーション施設や医療機器等事業化促進プラットフォーム等だけでなく、実用化に向けたさまざまな窓口となり支援をしていく組織を作っていく必要があるのではないでしょうか。


海外視察@ベルギー その3

2014-03-23 21:15:32 | 日記
その後、ルーベンへ移動。

共同研究の成功事例として、日本企業であるJSR株式会社の現地法人「JSR MICRO N.V.」を訪問し、お話をお伺いしました。

JSR MICRO N.V.は、日本に本社があるJSR株式会社のファイン系事業の関連会社で、アジアやアメリカなどに関連会社がある。
   
従業員は93名で、うち日本人は5名。

IMEC(ルーベンに本部があるナノエレクトロニクス研究で世界をリードする研究機関)とコラボレーションしながら、エレクトリックマテリアルをルーバンで生産したり、ライフサイエンス分野でフランダースの企業と連携している。

   
JSRの中心はポリマーで、素材開発からプロセス開発へと移行してきており、その研究開発はフランダースで行っている。

   
VIBとの協力でバイオマニュファクチャリングを行い、またIWTの補助を得てルーバンにプラントを建設したり、開発した技術を診断技術に応用しようとしたりしている。

   
ルーバン大学とは特にライフサイエンス分野で2011年から連携しており、2013年は新たなプロジェクトを行う段階で、マテリアル製品の競争力強化から応用ベースへの展開に来ている。

   
それぞれの強みを活かして、マテリアルソリューションをライフサイエンス分野で行っていきたい。

   
IMECだけでなく、パナソニックやアメリカの企業などとも連携している、

といったお話でした。

JSRがフランダースに拠点を置き、連携が進んでいるのは、もともと提携していたベルギーの会社を買収した側面が大きいようでした。
しかし、神戸がフランダースと連携を深めていくには、JSRのような日系企業との連携・交流も深めて情報交換を行い、フランダースへの進出支援も行なうといったことが必要なのではないでしょうか。


海外視察@ベルギー その2

2014-03-19 13:12:09 | 日記
つぎに、「VIB」についてお話をお伺いしました。

「VIB」とは、フランダースバイオテクノロジー研究機関のことで、1995年にフランダース政府によって設立された。

アントワープ、ブリュッセル自由、ゲント、ルーベンの4つの大学と連携。
「壁のない研究所」を理念とし、ライフサイエンス分野で世界トップクラスになることが目標。

現在4大学8グループで、76つの研究グループがあり、先生のやりたい研究を中心に行なっている。

当初622人の研究者、60億円の予算規模であったのが、優秀な研究の技術移転や若い研究者を集めるなどの取組みを行い、2013年には1350人の研究者、132億円の予算規模になっている。

また、これまでに8つの会社が設立(スピンオフ)され、584人が雇用されている。

研究結果が出たものは、技術移転や技術供与・特許・共同研究などで、バイオ関連・医療関連・食品関連といった会社と早い段階で繋がりたい。

そのために、特許申請や会社との交渉など技術移転業務を行なう部署を設けている。

それだけでなく、大学病院等との共同研究なども行なっている。

VIBが研究を行い、フランダースバイオ等が道筋をつけるイメージ。

研究の契約期間は3~4年が平均だが、成熟度などを見ながら修正を行なう。

その成果の評価にはフランダース政府も入る、

といったお話でした。

VIBの取組みが、フランダースの科学レベルを急上昇させ、バイオクラスター成功の立役者と言われています。
神戸のクラスターも成功していくには、高い技術レベルの成果を出していくことが必要でしょう。
VIBの取組みを参考に、企業誘致だけでなく、さらなる研究施設の集積や連携、研究者の招致などの取り組みを進めてもらいたいと思います。


海外視察@ベルギー その1

2014-03-05 23:35:10 | 日記
ベルギーへ移動し、6日はフランダースのバイオクラスターの視察をしました。

まず、ゲントで「フランダースバイオ」についてお話をお伺いしました。

「フランダースバイオ」は2004年に設立された非営利組織で、フランダースのライフサイエンス、バイオ関連約270社のネットワーク。

イノベーションリサーチの促進やノウハウのやり取りの仲介、情報発信やより良いマッチングなど国際的な見える化の推進といったネットワーク作りを中心に事業活動を行っている。

イベント開催も事業の1つ。
「Knowledge for Growth」はヨーロッパ最大のライフサイエンスイベントになっており、2013年は約1100人、約320社が参加。
2014年は、5月8日に開催される。

フランダースバイオは、関西バイオプロモーションクラスター、バイオニュージャージー、ニューヨークバイオテクノロジー協会など国際的なつながりも多く持っている。

また、バイオテクノロジー研究機関のVIB、ナノテクノロジー研究機関のIMEC、ニューロテクノロジー(脳科学)研究機関のNERF等、基礎的研究を広範囲にわたって行っているイノベーション研究機関があるのが強みになっている。

ライフサイエンス関連の会社は122社あり、その内45%がヘルスケアバイオテック関連、12%が植物バイオ、プラントバイオテクノロジーなどの農業関連、15%が産業バイオテクノロジー関連、27%が研究成果の応用技術を担う関係の会社になっている。

大手製薬会社も集まってきており、フランダースは研究開発拠点として位置づけられてきている。

1億ユーロがすでに研究開発に使われ、臨床研究でよい結果を出し始めている。

その結果、ユーロネクストなど株式市場において、フランダースのバイオテクノロジー関連の中小企業は高く評価されている。

それには、IWT(フランダース産業科学・技術研究所)からの投資や税制的優遇などフランダース政府からの強いサポートがある。

成功例を起爆剤に、さらに連携を進め、成功したい、

といったお話でした。

フランダースバイオには、ライフサイエンス関連の会社や研究機関だけでなく、ファンドや投資機関、様々なサービスを提供する会社もメンバーになっており、互いに密接に連絡を取り、ニーズをくみ取りながら事業を行っているとのことでした。
神戸市においても先端医療振興財団があり、また医療機器等の分野で「医療機器等事業化促進プラットフォーム」を作るなどネットワーク作りを行っていますが、フランダースバイオを参考にさらに取り組みを拡大・充実していってもらいたいと思います。