ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

予算特別委員会

2014-10-19 23:45:51 | 日記
2月27日から予算特別委員会が開かれ、3つの分科会に分かれて各局の審査が行われました。

私は、第2分科会に所属し、その中で環境局への質疑を担当しました。

3月6日は環境局への局別審査でした。

私の質問と答弁の主な内容は以下の通りです。

1.環境貢献都市KOBEについて

Q:神戸のみならず、日本全体、あるいはアジアなど海外に向け、どのように環境貢献都市KOBEを発信し、どのように貢献していこうとしているのか?
A:環境貢献都市KOBEの実現に向けて、ごみ発電、こうべバイオガスさらなる展開、地域EMSの構築、将来の実用化に向けた水素社会に対する理解を深めていくための情報発信などアクションプランの取り組みを着実に実施していく。 
 海外の展開では、中国天津市との交流を継続して取り組み、発展させていきたい。
 それとあわせて、すぐれた環境技術を有する地元企業と連携し、神戸だけではなくて国内外のエネルギーの安定供給、コスト低減への貢献,低炭素社会の実現に向けた取り組みをしていきたい。

2.地域EMSの取り組みについて

Q:地域EMSは、埼玉県でHEMSインフラを活用した行政サービスの提供、また北九州市では次世代レコメンドシステムの実証実験の取り組みが進められており、地域EMSはエネルギー問題にとどまらず、行政サービスのあり方やビジネスのあり方も変え得るものであるということも視野に入れて、取り組みを進めていくべきでは?

* 地域EMS…電力網や情報通信網を活用し、施設間をつないで電力量をコントロールするシステム
* HEMS…家庭向けエネルギーマネージメントシステム
* 次世代レコメンドシステム…電力状況、家庭環境から情報サービスを提供することで、それを商業に結び付ける仕組み

A:特定供給をにらんだエネルギーセンターを今後検討していくが、このサービスが単なるエネルギーコントロールで終わらないということでのサービス展開は非常に重要だと認識している。
 いろいろなアイデアはこれから出てくると思っているので、いろんな機会を通じて事業者さんや市民から意見をいただいて、付加するサービスがこのEMSを構築するのに有用なものは今後も検討していきたい。

3.中小企業向け電力診断について

Q:中小事業者を対象に電力の使用状況調査と改善提案を行う無料電力診断事業は、平成24年度は9件、平成25年度は25件の申し込み件数となっているが、まだまだニーズはあるのでは?
制度や効果面のアピールをもっと積極的に行い、さらなる受診企業の拡大を図っていく必要があるのでは?
A:中小企業での省エネのニーズはまだまだあると考えており、さらにPRする必要がある。
 関西広域連合が実施している「関西エコオフィス宣言」の市内宣言事業所、KEMS(神戸独自の環境マネジメントシステム)の取得事業者への個別の受診の働きかけや事業者団体,業界団体等に受診を呼びかけるなどしたい。
 また、その際には、無料で手軽に診断が可能という説明のほかに、これまでの診断の結果、例えば空調機の更新、運転方法の改善、コンプレッサーの運用改善、電気代やCO2などの具体的な省エネ実績といったものを紹介して、受診者数の増加につなげていきたい。

4.環境教育について

Q:ナチュラル・ステップというNGOが提唱するフレームワークがあるが、そのような系統立った考え方に基づき、市民の理解を深め、また人材を教育・育成していくといったことを検討すべきでは?
A:ナチュラル・ステップとは、環境保護・経済的発展の双方を維持するという持続可能な社会づくりのビジョンのもとに設立された国際NGOで、いろんなツールを開発・展開していると聞いている。
 今後、これらの活動も勉強しながら、わかりやすい環境教育を推進したい。

5.家電リサイクル制度と不法投棄等について

Q:エアコン・テレビ・冷蔵庫・冷凍庫・洗濯機・衣類乾燥機については、家電リサイクル法に基づきメーカーなどがリサイクルを行っているが、不用品回収業者等に家電製品を引き渡すことで無許可での収集運搬や不法投棄につながっているケースもあるのではないかと想定をされるが?
A:本市では、家電4品目について回収しておらず、①販売店に引き取りを依頼して、引き取り運搬料と全国一律のリサイクル料金を消費者が負担し処理する方法と、②引き取り運搬料を負担せず消費者がみずから法律で定められた指定場所(神戸の場合は六甲アイランドに2カ所)へ持ち込んで処理する方法の2つの方法が法律で定められている。 
 市では具体的なケースに応じて立ち入り調査も含めた業者への直接指導を行っている他、不法投棄防止啓発のチラシやポスターなどで排出者が不用品回収業者を安易に利用しないように啓発している。
 他都市とも連携してリサイクル料金の低減化、前払い制度などを要望し、少しでも市民に負担感の少ない制度となるよう取り組んでいきたい。

6.生物多様性神戸プラン2020について
Q:冬期湛水や不耕作地の湿地環境としての利用など生物多様性の取り組みが進められているが、生物多様性の向上に向けた効果や今後の展開は?
A:冬期湛水は、北区の長尾町宅原の水田約20アールで取り組んでおり、希少種のカヤネズミの巣が確認されたり、冬の渡り鳥であるコガモが飛来したり、春・冬の湛水中にカルガモの採餌行動が確認されたりしている。
 不耕作地の湿地環境としての利用は,北区の山田町小河の35アールで取り組んでおり、希少種であるカスミサンショウウオの産卵数が増加した、放流したメダカが増加したといった効果が見られている。
 引き続き冬期湛水あるいは湿地環境再生の手法、こういった生物多様性向上のための技術のノウハウを蓄積していきたい。
 ただ,管理上の労力負担や新たな担い手の確保といった問題も抱えているので、環境保全に効果の高い営農活動に対する国等の支援策との連携も考えながら進めていきたい。


人口構造の変容と医療政策の課題

2014-10-05 23:37:29 | 日記
3月1日、研修で政策研究大学院大学の島崎謙治先生から「近未来の人口構造の変容と医療政策の課題について」というテーマでお話をお伺いしました。

日本の出生率を諸外国と比較すると国際的に見て最低水準だが、日本やドイツは戦時中に「産めよ、増やせよ」という政策をやってきた反動で、イメージ的に少子化対策を打ち出しにくいところがある。

ところが、アジア各国でも少子高齢化が進んできており、労働力を輸入しようとする場合に影響する可能性がある。

日本の人口構造は2024年に団塊世代が後期高齢者になり、昔は「あるところに」おじいさんとおばあさんだったのが、今は「どこにでも」おじいさんとおばあさんになってきている。

これは2025年問題と言われているが、2025年を超えても少子高齢化が続き楽にはならない。

しかし、乗り越える必要がある。

特に、昭和40年頃の金の卵の世代が高齢者になってきており、都市部の高齢化が深刻になってきている。

今、一人暮らし世帯が増えてきているが、少子化が進むことは「子どもも親戚もいない」一人暮らし世帯が増えること。

家族の代替機能を誰がどう果たすのかが深刻な問題で、単に成年後見人を見つければよいという話ではない。

財政面では医療・介護の給付費が増えていく。

医療の場合、通常の産業分野と異なり、技術が進歩するとコストが上がる。

医療面での2025年問題は、救急など足元の弱いところから崩れ始めるが、医師の養成に10年かかるなどその対応に時間がかかること。

医療・介護政策の目標は、①質の向上、②サービスの確保、③できるだけ低廉なコスト、だが3つの同時達成は至難で選択が求められる。
①は必ず選択し、②か③を選択しなければならない。

また、これからは「治す医療」だけでなく、治らないことを前提に「生活を支える医療」の重要性が増し、保健・介護・福祉・就労・住宅・まちづくりとの連携の視点が必要。

このように日本の人口構造は大きく変わり、医療・介護にも大きな影響を及ぼす。

そのため、財政面だけの議論するのではなく、ポリシー・ミックスが必要、

といったお話でした。

国では、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう「地域包括ケアシステム」を構築するとして議論がなされ、介護保険制度などの改正がなされています。

神戸市でも、「地域包括ケアシステム」をどう構築していくかは重要な課題で、医療と介護の連携強化や地域見守り活動の充実といった取り組みが進められています。

しかし、全体として保健・介護・福祉・就労・住宅・まちづくりといった総合的な観点からの議論や取り組みは、まだまだだと思います。

容易ではありませんが解決していかないといけない課題ですから、もっと組織横断的な議論をしながら進めていくべきではないでしょうか。