ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

ジオ政策研究所 記念講演

2013-02-10 15:33:22 | 日記
10月1日、西脇邦雄前大阪府議会議員が理事長を務めるジオ政策研究所の記念講演に出席し、嘉悦大学教授高橋洋一氏の講演を聞きました。

2000年から2009年にかけての世界各国のマネー伸率と名目GDP伸率の関係を見てみると、ほとんどの国でマネー伸率と名目GDP伸率がプラスになっており、マネー伸率が大きいほど名目GDP伸率が大きい傾向にある。
日本はどちらもマイナス。
バブルは世界で普通に起こっており、日本はぜんぜんマネーを供給しているとはいえない状況。

また、日本の名目GDP成長率と基礎的財政収支の関係を見てみると、名目GDP成長率が悪くなると基礎的財政収支が悪くなる傾向にある。
財政再建に必要なのは増収であって、増税ではない。
名目成長4~5%で財政再建が可能。

*基礎的財政収支…国債発行による借金を除いた税収など正味の歳入と、借金返済のための元利払いを除いた歳出の収支

税・保険料の是正の方が税率より先。
社会保険料の徴収漏れ、クロヨンの問題、消費税のインボイス方式でないことによる徴収漏れなど。


*クロヨン問題…サラリーマンの場合、所得の9割が税務当局に把握されているのに対して、自営業者では6割、農林水産業では4割にとどまるとされる問題

*インボイス方式
課税事業者が発行するインボイス(適用税率や税額など法定されている記載事項が記載された書類)に記載された税額のみを控除することができる方式。
1.課税事業者は「インボイス」の発行が義務付けられており、また、自ら発行した「インボイス」の副本の保存が義務付けられている。
2.「インボイス」に適用税率・税額の記載が義務付けられている。
3.免税事業者は「インボイス」を発行できない。したがって、免税事業者からの仕入れについて仕入税額控除ができない。

給付付き税額控除など社会保障と税(所得税)の統合が世界的潮流で、このための社会インフラとして歳入庁は不可欠。

消費税の社会保障目的税化は、給付と負担を見えにくくして社会保障での無駄を助長し、保険方式の崩壊につながる。

地方分権のためには、地方交付税を廃止し消費税の地方税化が必要。

マネー供給量を増やして2%程度以上のインフレを導くなどデフレ対策をし、増収で財政再建を行うべきで、消費増税には反対、

といったお話でした。

一定の金融政策は必要ですし、税・保険料の不公平是正も必要だとは思います。
しかし、経済政策や財政再建策は金融緩和だけでよいかのような考え方(そうではないのかもしれませんが…)は、単純すぎて消費増税反対の説得力に欠くように感じました。
もう少し、ち密な議論や戦略を聞きたかったです。


企業建設委員会管外視察 その4

2013-02-09 22:31:01 | 日記
その後、北九州へ移動し、「ウォータープラザ北九州」でお話をお伺いしました。

北九州市は、1960年代には環境汚染が問題となっていたが、市民・企業・行政が一体となって公害を克服し、2011年に「環境未来都市」に選定されるまでになった。
その取り組みの1つとして下水道の整備がある。
自治体としての事業運営ノウハウや信用力・安定感と民間企業の技術力・資金力を活かすため、「北九州市海外水ビジネス推進協議会」を設立し、最適施設計画の提案・事業経営の最適化・人材育成といった事業を進めている。
また、いわゆる「水ビジネス」をさらに進めていくため、昨年に建設局下水道部と水道局を合併するという組織再編も行った。
さらに、「ウォータープラザ北九州」を中核に国際水ビジネスの拠点を整備し、海外展開を積極的に進めていこうとしている。

ウォータープラザ北九州は、NEDO・北九州市などが協力・連携して開設した、省エネルギー型造水プラント(海淡・下水再利用総合システム)の運営実証を行う「デモプラント」と、民間企業が機器を持ち込んで水処理要素技術の研究開発を行う「テストベッド」を備える施設。

省エネルギー型造水プラント(海淡・下水再利用総合システム)は、海水淡水化と下水再利用の統合による省エネ・低コスト・低環境負荷の造水システム。
まず、微生物で有機の汚れを分解し、MF膜でろ過することで微生物などの粒子を含まない清澄な水を取り出す「MBRシステム」という設備で下水・産業排水を処理。
一方、ストリー上の中空糸膜で海水をろ過することによって細菌などの粒子を含まない清澄な水を取り出す「UF膜システム」という設備で海水を処理。
そして、それぞれで処理された水を混ぜ合わせ、最先端のRO膜でナノレベルの不純物を取り除き、飲料水レベルの淡水を得ることができる「RO膜システム」という設備で処理し、再利用生産水を生産する。
その再利用生産水は飲料水レベルの水質で、工業用水・都市用水・農業用水などに使用できるとのこと。

海水を淡水化するには高圧でろ過する必要があったが、下水・産業排水の処理水と混ぜ合わせることで、塩分濃度が低くなって中圧程度の圧力でのろ過でよくなり、電力消費を抑えることができるなど省エネ・低コスト・低環境負荷が実現できる。
また、MBRシステムは1台2m×7mとコンパクトで持ち運びやすいので、災害時などに利用することも考えられるとのこと。

海淡・下水再利用総合システムは、生産コスト的には日本での工業用水と比較すると割高だが、海外で水の価格が高い国では有効とのこと。
そういう意味では、当初から海外でのビジネスをにらんで事業を進めています。
「北九州市海外水ビジネス推進協議会」の設立や役所内の組織再編なども含め、北九州市の水ビジネスへの取り組みは進んでいると感じました。
海外での水ビジネスはリスクも伴いますが、きちんと調査をすればそのリスクの低減も図れるとのお話もありました。
神戸市としても、後れを取らないよう北九州の事例を参考にしながら、さらに取り組みを進めていく必要があると思います。





9月6日は、福岡へ移動し、「福岡市動物園」で動植物園再生事業についてお伺いしました。

福岡市動物園は老朽化が目立つことなどから、エリア単位で段階的にリニューアルを20年計画で、動物たちが本来持っている力を発揮できる広々とした空間づくりと動物たちをより近くで観察していただけるための展示方法に工夫した整備を行うため、再生事業を進めている。

入園者数は減少傾向にあり、また入園者の約7割は入園無料の小中学生であり、財政的に厳しい状況にあり、いかに収益性を上げながら再生事業に取り組んでいくかが課題との園長のお話で、入園料体系の見直しやネーミングライツ、広告看板なども検討したいとのことでした。
その一方、職員の中には動物園は娯楽施設ではなく教育施設としての側面が大きく、収益重視で考えるのはいかがという雰囲気もあるように感じました。
どちらも間違ってはいないのでしょうが、要はいかに市民に喜んでもらってまた来たいと思う施設にし、動物園を継続的に運営できるようにしていくことだと思います。
神戸の王子動物園もそのような視点に立って運営・整備を進めていくべきと考えます。

企業建設委員会管外視察 その3

2013-02-07 16:58:13 | 日記
9月5日は、まず「広島市民球場(マツダスタジアム)」でお話をお伺いしました。

広島市民球場(マツダスタジアム)は、平成21年3月に完成した新球場。

球場建設にあたっては事業費が約144.75億円かかっており、その内用地取得費が54.75億円、建設費が90億円。
その財源は、用地取得費は主に球場の使用料で賄い、建設費は主に球場の使用料と市・県・経済界の負担で賄っている。
球場使用料のほとんどはプロ野球球団「広島東洋カープ」が負担している。
なお、将来の大規模修繕の財源は施設命名権料を充てることとしている(現在の命名権取得企業は、マツダ株式会社。命名権料は3億1,500万円/年。)。

また、球場運営にあたっては、「広島東洋カープ」が将来にわたって広島を本拠地に活躍するために球団の安定的な運営ができるよう「広島東洋カープ」とフランチャイズ契約を締結し、飲食・物販の排他的・独占的営業を行うことを認める等している。
さらには、「広島東洋カープ」を指定管理者として、施設管理等の業務を委託したりしている。
つまり、建設にあたっては「広島東洋カープ」が負担できる金額を考慮し、球場運営にあたっても「広島東洋カープ」が運営しやすいように配慮した仕組みになっている。
したがって、球場使用も「広島東洋カープ」の興業と市民利用を優先しており、イベントなどを誘致して稼働率を上げて…、とは考えていないとのこと。

球場は環境等にも配慮し、グランドの下には周辺地域の浸水対策として雨水貯留地を設置しており、溜まった水を芝生の散水や便所の洗浄水として利用している。

また、観客席はいつも楽しく快適に野球観戦をしてもらえるよう、毎年少しずつ改修し、新しいシートを設けるなどの工夫をしているとのこと。
例えば、8人1テーブルで家族・グループで楽しめる「鯉桟敷」、カップル・夫婦・親子などで寝転んで観戦できる「寝ソベリア」など。

「広島東洋カープ」のための球場、そのための官民一体・街を挙げての仕組み作りをしており、さすが市民球団「広島東洋カープ」と強く感じました。
しかも、現状に甘んじずさらに市民に親しまれ楽しんでもらえるよう、観客席の改修などサービス向上に取り組んでいるのには感心致しました。

なかなか広島のようにはいかないかもしれませんが、神戸においてもオリックスやヴィッセル、INACなどと協力して「ほっともっとスタジアム」や「ノエビアスタジアム」を文化・社会的中枢拠点としてもっと発展させていくにあたって、参考にすべき点は多くあるのではないかと感じました。

スポーツバーにある巨大バットの先は…


観客席に!


鯉桟敷