ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

神戸沖埋立処分場

2012-08-18 23:53:53 | 日記
7月24日に会派で六甲アイランド沖の神戸沖埋立処分場に行ってきました。

神戸沖埋立処分場は、大阪湾フェニックス計画により作られた処分場の一つです。

フェニックス計画は、大阪湾の埋立により近畿圏から発生する廃棄物の最終処分を行い、埋め立てた土地を活用して港湾機能の整備を図るものです。
尼崎沖・泉大津沖・神戸沖・大阪沖の4つの処分場があり、近畿2府4県のうち168市町村から発生した廃棄物を受け入れているそうです。

神戸沖埋立処分場は、埋立計画量1,500万㎥で、その内訳は一般廃棄物が580万㎥、産業廃棄物が620万㎥、陸上残土が300万㎥とのこと。
その内、約65%が埋め立てられていて、平成39年度で埋立が終わる予定だそうです。
平成21年より大阪沖の処分場の受け入れが始まったことと、近年のゴミの減量により埋立終了予定が延びたとのことでした。

1,600m×550mの広さですが、埋立完了までに埋められる焼却灰の量はすごい量だと感じました!
体積で約65%なので、面積で見るとほとんどはまだ海です。
埋立前の水深が約15mだったのが、現在は約2mまで埋められている状況とのこと。
また、埋め立てられたように見えるところでも、2~3m沈殿するそうです。
そのため、東北の震災がれきを受け入れたときに水との接触が避けられない。
放射性物質は水に溶けやすいので、神戸市では震災がれきの受け入れの可否について検討中としている理由になっています。

実際に処分場を見て、神戸市が震災がれきの受け入れの可否について検討中としている理由がよくわかりました。

また、埋立により完成した土地は港湾用地等として活用する予定とのことですが、そのようなニーズがあるのか?
しかし、廃棄物の処分場は必要で、平成39年度まで埋め立てられるとはいえ、環境アセスメントなどを考えると平成29年くらいまでには次の処分場を決めないといけない…。
処分場のあり方についても考えさせられました。


この船に乗って六甲アイランド沖へ…



処分場で…

直営VS委託・指定管理~不毛な対立を超えた公共施設の最適経営~

2012-08-14 18:42:22 | 日記
7月19日、PHP地域経営塾の定例講座を聞きに行ってきました。

南学神奈川大学人間科学部特任教授より、「直営VS委託・指定管理~不毛な対立を超えた公共施設の最適経営」というテーマでお話がありました。

地方財政には、上下水道等の「インフラ」や「公共施設」などいずれ大規模修繕や建て替え等をしないといけない「時限爆弾」を抱えている。
多くの自治体は、大規模修繕や立て替え等に必要な財政の余裕はなく、総量的に3割程度減少させなければいけないだろう。
そのためにはまず、自治体の財産を部局ごとにまとめる必要がある(築年月日、構造、建替え時期・費用など)。
 
公共施設の多くは、受付・相談窓口、情報・資料コーナー、研修・会議室、事務室といった同様の設備内容になっているが、施設の稼働時間は非常に少ない。
「補助金適化法」が多目的を容認するなど運用が変わってきていることもあり、時代の変化にあった用途変換や、共通した利用機能(形態)での統廃合を進め、公民連携による最適管理形態のあり方を追求していくべきではないか。

現在、公民連携として「指定管理者制度」が多くの自治体で導入されているが、根拠条文が地方自治法244条2項の1つだけのため混乱が生じたり、主務官庁の総務省が管轄する公共施設がほとんどないことなどから、民間の創意工夫より歳出削減が主目的となり、本来の制度趣旨に沿った運用がなされていない。 

直営といっても公務員だけで運営している純粋な直営はなく、ほとんどは嘱託や委託で再雇用された人が雇用されている。
民間は利益優先で「安かろう悪かろう」ではなく、評判が悪ければ他で受注できなくなるのでいいサービスを提供する。
また、委託しても、指定管理をしても、管理・運営方針など最終的な責任は行政が負う基本だが、この意識が役所には希薄である。
業務分析をして公と民の最適な組み合わせを検討すべき。

図書館を例に見てみると、ラウンジ機能や子どもコーナーに利用者が集中しており、書架には人がまばら、インターネットは有料でも人気があるといった利用形態の傾向があり、快適空間や情報館、コミュニティセンターとしての要望などがあるといえ、佐賀県武雄市の図書館とTSUTAYAの提携などは象徴的である。

また、主な自治体の財産は学校であり、図書館や体育館などを地域住民が利用できるようにするのもひとつの方法である。

地域に何が必要かを考え、施設の統廃合や公と民の組み合わせ方を検討していくべきである。

といったお話でした。

神戸市においてもこれから多くのインフラや公共施設の更新時期を迎え、ファシリティマネジメントなどが叫ばれており、施設の統廃合と稼働率の向上は神戸市においてもこれからもっと取り組んでいくべきと考えますが、それと公と民の連携は若干趣旨が異なるのではないでしょうか。

施設運営のあり方については、直営か委託か指定管理かといった硬直した考えではなく業務分析して検討すべきというのはその通りだと思います。
その点から言えば、神戸市においても業務分析と導入後のモニタリングの議論がもっとなされるべきではないでしょうか。

公契約条例シンポジウム

2012-08-13 23:56:19 | 日記
7月7日に公契約条例制定を考えるシンポジウムがあり、出席してきました。

※公契約条例…地方公共団体の事業(工事・サービスの提供・物の購入)を民間企業などに委託する際に結ぶ契約に、適正な賃金水準や労働条件が確保されることを規定する条例

千葉県地方自治研究センター理事長で姫路独協大学名誉教授の井下田猛先生のお話がありました。

近年、新自由主義と労働市場原理に立脚した規制緩和と小さな政府・自治体づくりにより、安上がりの仕事と労働がもくろまれてきた。

その結果、例えば自治体職場のアウトソーシング(民営化・委託化)の促進、非正規公務員と低賃金の増大と官製ワーキングプアの増大などにより、地域のくらしと労働現場の危機をもたらしている。

公的機関とかかわる公契約は、ILO94号条約(公契約における労働条項に関する条約)で、人間らしい労働条件や地域の賃金条件を下げてはいけないことなどが規定されているが、世界で60カ国が批准する中、日本は批准をしていない。

日本では、依然として公契約条例で労働者の賃金が上がれば、経営が圧迫されるとの反発があり、公契約条例制定の動きは未だなお“点”の存在にとどまっている。

2009年に全国で先駆けて千葉県野田市で公契約条例が制定されたが、根本野田市長の「行政運営の基本的スタンス」に学びたい。
それは、「国が進める行政改革は財政再建の側面が強く出すぎ、行政運営が本来備えるべき人に対する思いやり、温かみ、優しさというものをおろそかにしすぎている。無駄を省くことは必要だが、強く求めるあまり無機質な人間味のないものであってはならないというのが私の基本的な考えである。ある程度経費がかかっても市民の必要とするサービスの質を落とさないよう工夫することが行政運営の一番のポイントと私は考える」というもの。

公契約条例により、自治体が、委託などの事業で働く民間の労働者を含むすべての労働者の賃金・労働条件の改善を目指す。
とりわけ賃金のダンピング(値下げ競争)を防止し、公共サービスの質と安全を確立する。

そして、まともな生活ができる賃金(ディーセント・ウエイジ)と人としての尊厳が保障される「ほんものの労働」の実現を目指すべき。

これからは、「必要最低限」ではなく、「必要生計費」をベースに労働の質と量が問われる時代。

そのために公契約条例は必要、といったお話でした。

不景気や財政難な状況の中にあっても、なんでも安ければよいとはならないと思います。

特に労働条件については。

そのために、公契約条例のような労働条件を規定する条例は必要だと思います。

しかし、どのように「適正な賃金・労働条件」を判断するのかという課題は残っているのではないでしょうか。

また、公契約条例で、公的機関と契約している民間企業等の労働者はいいが…、といったことがないようにしなければいけないと思います。