ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

海外視察@ベトナム その1

2013-07-29 22:47:54 | 日記
12月21日はベトナムへ移動。

まず、ジェトロ・ホーチミン事務所の方にお話をお伺いしました。

ベトナムでは2007年から2008年ころまで約20%の急激なインフレになり、為替も急激に下がった。
当時は、製造業などでストライキが頻繁に起こって、大変だった。
その後、リーマンショックでインフレが収まったが、2011年から再燃。

政府はインフレ対策として金利を20%近く上げて銀行の貸し出し抑制といった緊縮財政策を行い、市場にお金がなかなか回らない状況になった。
2012年に入ってインフレは少し落ち着いて約7%程度になり、貿易も順調になってきた。
しかし、国内は激しい政策のやりすぎで反動があり、景気は悪い。

銀行の不良債権が貸出総額の約10%になったり、自動車の国内販売台数が2011年は約138,000台が2012年は10万台を切る状況になったりしている。
そういった中で、政府は政策を切り替えて内需を盛り返そうとしている。
金利を大幅に下げたり、労働集約型や中小企業の法人税を3割カットしたりするなど。

しかし、縫製品や洋服など輸出加工産業、水産品、工業品は非常に好調。
サムスンのスマートフォン工場やアップルのiphoneのイヤホン工場などがあり、世界中に輸出している、

といったお話でした。

ベトナムは人口が約8600万人で、所得も上がってきていることから、基本的には国内需要も期待して進出ができる国だと思います。
若者が多く、大量のバイクが走っているのを見るとパワーを感じました。
しかし、最近の国内の経済状況から、短期的には製造業以外は厳しい状況が予想されるので、中長期的な視点で検討する必要があるかもしれません。
また、ベトナムは社会主義の国なので、急に政策が変わることもありうることも認識しておく必要があると思います。


ホーチミン市内の様子

海外視察@カンボジア その4

2013-07-24 22:12:56 | 日記
さらに、カンボジア王国軍Brigade70を訪問し、NPO法人日本国際救急救助技術支援会(JPR)会長の正井潔さんにお話をお伺いしました。

正井潔さんは元神戸市消防局職員で、平成22年よりカンボジア王国軍内に組織された救急救助・消防専門部隊(RRC711)に技術指導をおこなっています。

カンボジアにも消防隊はあるが、示談金を要求したり技術が低いといった問題があり、示談金を要求せず技術も高いRRC711は市民から喜ばれている。

さらに支援を拡大していきたいが、軍隊へ支援していることから、JICAなどより支援を受けることができず、現在はCLAIR(クレア/財団法人自治体国際化協会)から240万円の補助を受けているのみ。

日本から技術指導に協力してもらえる方に来てもらったり、日本へ研修などに派遣したいと思っても、渡航費がなく、人材と財政が不足している。

消防学校を作りたいと思っているが、国軍の中ではなく保健省など他の省庁の施設として作ってもらう様お願いしている。

また、消防車など車両・装備も不足している。
カンボジアでは消火栓がないので、特にポンプ車はいくらあっても足りない。
日本からは資金面の援助だけでなく、車両・装備の寄贈などもお願いしたい、

といったお話でした。

熱烈な歓迎で迎えていただきました。
それだけRRC711にかけるカンボジア国軍と正井さんの熱意と、人材・車両・装備が不足している状況と大変さを表していたのではないでしょうか。
お話を聞いて、日本で当たり前に思っていた消防・救急が世界最高水準のレベルにあることと、国際貢献できることがわかりました。
日本には最高レベルの消防・救急があること認識するとともに、国際貢献・人的貢献として消防・救急の技術指導や古くなっていてもまだ使える車両・装備の提供などをもっと積極的に行うべきと感じました。

参考:NPO法人日本国際救急救助技術支援会(JPR) ホームページ http://www.jpr.gr.jp/


訓練の様子


隊員のみなさんと。

左から3人目が正井潔さん

海外視察@カンボジア その3

2013-07-17 23:53:07 | 日記
その後、ジェトロ・プノンペン事務所でお話をお伺いしました。

カンボジアは人口約1410万人で、政治は安定している。
日本の援助などによりインフラが整いつつあり、また学校建設など多くのNGOが国内で活動している。

経済はGDP成長率5.4%(過去5年平均)で成長してきており、一人当たりGDPも増加傾向で2012年は900ドル台になる見込み。

そんな中、北九州市がプノンペンで水道事業に進出し、2014年までにイオンモールが進出するなど日本企業の進出も増えてきており、相談件数も増えてきている。
ただし、労働集約型で消去法的にカンボジアを選ぶ傾向がある。

主要産業は農業だが自給自足程度の生産で、輸出するには農産物の集約等流通システムの構築や精米等の技術の向上などが必要。

ポルポト時代の影響で守るべき産業がなく、投資を促進し雇用を生むことを最優先にしており、投資規制等は少ない。
しかし、教育水準の高い労働者の不足、行政の許認可基準の不透明といった課題がある、

といったお話でした。

まだまだポルポト時代の影響は大きいですが、賃金は周辺の国と比べて安く、若くて豊富な労働力があり、将来性はあるのではないかと感じました。
国家予算は2,000億円程度しかなく海外からの投資に依存している中で、日本からのこれまでの投資累計は中国の40分の1、韓国の10分の1しかないそうです。
カンボジア政府は中国寄りだと言われていますが、それだけ投資累計が違えばそうなっても仕方ないのではないかと思います。
もう少し、国レベルでもチャイナ・プラス・ワンの拠点づくりなどの進出支援・促進の取り組みがあってもいいのではないでしょうか。

海外視察@カンボジア その2

2013-07-13 20:30:46 | 日記
つづいて、「プノンペン経済特区」を訪問し、お話をお伺いしました。

プノンペン経済特区は、会社組織(プノンペン経済特区社)で、カンボジア華僑のリム・チホー女史と株式会社ゼファー(本社:東京都千代田区)の出資により2006年に設立され、23か所認可を受けた経済特区の1つ。

カンボジアでは、民間事業者が特区申請をし、認可を受けるとその事業者がインフラ整備を行う。
プノンペン経済特区も特区社が土地を買い取り、整備をしている。
入居企業へは土地を賃貸しているが、50年自動更新で実質的には売買に近い。
なお認可を受けた経済特区のうち稼働しているのは6か所のみ、またほとんどの経済特区は中国資本で設立されている。

特区内に経済特区管理事務所(ワンストップサービスセンター)の設置が義務付けられている。
経済特区入居企業は、平均6年の輸入税・輸出税・法人所得税の免除に加えて、付加価値税(税率10%)の免除などの優遇が受けられる。 
  
特区社は、工場スタッフとワーカーの募集や労務管理の協力などの顧客サービスにも力を入れており、プノンペン経済特区には、味の素など10月末で52社が入居(その内、日本企業26社)している、

といったお話でした。

民間事業者が経済特区を運営しているのには驚きました。
経済特区管理事務所(ワンストップサービスセンター)を設置して、役所から出向いていくシステムもあり、それはお金も人材も産業も何もない国ゆえんなのでしょう。
日本人スタッフが常駐し、求人や労務管理など色々なサポートも受けられ、安心して進出できる環境整備が行われているように思いました。
また、中国資本設立の経済特区は、そこで何か産業振興というよりも不動産投機目的が主のようで、中国の商売へのしたたかさというか、自分が儲かればいいという姿勢を感じました。

参考:プノンペン経済特区 ホームページ(英語) http://www.ppsez.com/

海外視察@カンボジア その1

2013-07-11 21:41:06 | 日記
12月20日はカンボジアへ移動。

まず、神戸市長田区に本社がある有限会社ラガーコーポレーションの現地法人「タイガーウイング」を訪問し、お話をお伺いしました。

「タイガーウイング」は婦人用カジュアル革靴を製造している会社で、平成17年の中国・広東の現地法人に続き平成20年5月に設立。

主に日本の百貨店や量販店向けのものを年間約25万足生産している。
製品はOEM生産で、すべて有限会社ラガーコーポレーションに売却し、有限会社ラガーコーポレーションが日本国内で卸している。
輸出の際かつては神戸港を利用していたが、現在は東京港を利用している。
現在は、ヨーロッパ向けのものも商談を進めている。

従業員は、日本人6名、中国人12名、ベトナム人1名、カンボジア人708名。
カンボジア人従業員のうち30数名が管理職で、班長・副組長・組長という役職区分がある。
カンボジアは非関税で輸出できるメリットがあるが、教育水準が低く、その分賃金が低いとはいえ、中国の7割程度の生産しかできない。
 
縫製・製靴で最低賃金が定められており、諸手当を含めると81ドル/月。
労働組合も組織されており、タイガーウイング社内には2組合があり、国内にはナショナルセンターが6団体ある。
勤務時間は午前7時~午後4時で、休憩時間は午前11時30分~午後0時30分。
午後8時まで残業があることがあり、その場合午後5時~午後5時20分を休憩時間としている。
周辺の日系企業などとも情報交換しながら、待遇改善を行っており、これまでは大きな労働争議に発展したことはない。
カンボジア人ワーカーは、約6割は工場近隣から採用し、約4割は地方から採用している。

工場はプノンペン経済特区内にあるが、特区内に発電所があり電気代は日本と同程度で高いものの、電力供給は安定している(停電は月1時間程度)。
また、プノンペン経済特区は、タイからの陸路、中国からの陸路などフレキシブルな物流ルートが使える、工場内で通関手続きができる、特区内に労働局など行政機関がワンストップサービスを行っているなど、とても便利である、

といったお話でした。

お話をお伺いした工場長の方はミャンマーで事業をしていた経験があり、その経験も生かして工場作業員の福利厚生面に配慮した経営がなされていました。
利益追求だけでない「人」を大事にする日本の企業は、韓国や中国といった他国の企業と比べて人気があり、働きたい人が多いそうです。
そのような経営手法は、現地で長く成功するための要素のひとつかもしれません。

参考:有限会社ラガーコーポレーション ホームページ http://lgr.co.jp/

工場内の様子

海外視察@タイ その2

2013-07-10 22:18:23 | 日記
つづいて、ジェトロ・バンコク事務所でお話をお伺いしました。

タイは人口約6,400万人だが、出生率1.6で少子高齢化傾向。
一人当たりのGDPは増加傾向で、約5,400ドル。
産業は、東北部・南部が農業、北部・東部が製造業、バンコクは8割がサービス業で2割が製造業。
外需依存度が高く、内需拡大のため税還付や最低賃金のUPなどの取り組みを行っている。

日系企業は約4,000社が進出しており、製造業が全体の半分弱。
タイ投資委員会(BOI)の投資恩恵制度を利用し、法人税・関税の減免などを受けている企業が多い。
しかし、高付加価値・知識産業型産業などの集積を推進し、対象業種を200業種以上から100業種以下に大幅に減少させる方向で見直しが予定されている。

タイの魅力は、安定した電力供給などインフラが整備されている、政権が変わってもあまり変わらない外国投資優遇政策がある、日系企業が集積しているので日系企業向けサービスが充実している、といったことが挙げられる。
その反面、他の日系企業や中国・韓国の企業との競争が激しい、人手が不足しており人件費が上昇している、といったリスクがある。

技術力など個性がないと成功しにくい。
消費文化が花開きつつあるのでサービス業の進出が増えてきている。
日本の本社に体力があるうちに拠点を作った方がよいのでは。

あくせく働かない国民性で、特に男性があまり働かないのと、農村部の人があまり都市部に出てきていないことから、人材不足になっている側面も。

サービス業は投資を制限されており、合弁会社でマジョリティをとれないことから、パートナーともめるケースが多い。
当初の合弁契約で役割分担などきちんと取り決めをしておくべき。

税務調査やアンダーテーブルなどの苦労はあるが、他の国に比べるとましではないか。
政治と経済は分離しており、今は政治は安定している。
産業の転換が起こり始めており、それがうまくいけばまだまだ投資は続いていくのではないか、

といったお話でした。

労働力の高さやカントリーリスクの低さなど進出環境が良ければ、その分競争にさらされるので、技術力など他の企業に勝てるものを持っていないと難しい。
しかし、タイの国力は上がってきており、サービス業などいろいろな業種の企業が進出できる可能性はある、ということだと思います。

海外視察@タイ その1

2013-07-06 21:35:21 | 日記
12月19日はタイへ移動。

まず、金型製造販売等を行っている株式会社ヤマシタワークス(本社:尼崎市)の現地法人、株式会社アジアヤマシタワークスを訪問し、お話をお伺いしました。

ヤマシタワークスは2005年にタイへ進出し、8年目。
金型のパンチの品質が強みで、トヨタの下請け企業などに金型を販売している。
それと、AERO LAPというラッピングの難しい形状の金型を、寸法・形状を損なわず、美しく、瞬時にラッピングする技術が2本柱。
熱処理コーティングをしてくれる会社がタイに進出したのがきっかけで進出。

工場は土地・建物を賃借している。
従業員はタイ人28人、日本人2人で、8:00~17:00の勤務。
バイクや車で通勤する者も多いがピックアップワゴン車で通勤する者もいる。

日本人が納期管理をし、仕事はタイ人のリーダーが教える。
どなりちらして教育していかないといけない。
また、女性の方がまじめに働く。
給料は、最低賃金が300バーツ/日に上がったので、みんな上げた。

BOIという投資恩恵制度を使って進出しているが、輸入税還付までにアンダーテーブルなどなどの苦労があった。
もうすぐBOIの期限が切れるので、その前に税務署が来てアンダーテーブルの要求などなどがないか心配、

といったお話でした。

タイの責任者は日本の株式会社ヤマシタワークスの社長のご子息で、立ち上げから関わり、日本の本社とは独立採算で業績を伸ばしておられます。
技術力の優位性だけでなく、タイ語を習得しタイの習慣に馴染むなどご苦労の結果なんだろうと思いました。

参考:株式会社ヤマシタワークス ホームページ http://www.yamashitaworks.co.jp/jp/index.html

海外視察@シンガポール その3

2013-07-02 22:04:39 | 日記
その後、マウント・エリザベス・ノビーナ病院を訪問し、そこで勤務する三井物産の従業員の方にお話をお伺いしました。

マウント・エリザベス・ノビーナ病院は東南アジアで病院を展開している「パークウェイ」の運営する病院の1つで、パークウェイはIHHという持ち株会社の100%子会社。
そのIHHに三井物産が20%出資している(ちなみに、筆頭株主はマレーシアの国策会社)。

シンガポールではほどんどの国民が公的保険のようなものに入っていて、公的病院で使えるが混み合っているため、富裕層を中心に民間の保険に入り、民間病院を利用する。
民間病院は市場原理で診療報酬が決まる。

マウント・エリザベス・ノビーナ病院も民間病院で、一番高級なクラスの病院。
患者の2〜3割はメディカルツーリズムで来ており、その中でもインドネシアからの患者が多い(インドネシアの医療レベルは低いため)。

3棟の建物があり、そのうち2棟は病室や検査室などで、あとの1棟はクリニックモールになっている。
クリニックモールは医師が部屋を購入して開業し、その医師が患者を診察して必要であれば検査室で検査をし、病室に入院させる。
いわばクリニックモールの各部屋は開業医の専有部分、病室や検査室は入居している開業医みんなが使う共用部分。
開業医が診察した患者を病院の手術室で執刀し、病室に入院している患者を診る。
患者は開業医と病院と両方にお金を支払う。

シンガポールでは医師の免許取得後10年程度公的病院で働き、その後クリニックモールなどで開業する医師が多い。
ただし、クリニックモールへ入居するには、すでに入居している医師の推薦などが必要で審査は厳しい、

といったお話でした。

シンガポールの医療制度は、アメリカ型といっていいのではないでしょうか。
株式会社が病院の経営ができ、診療報酬は自由に設定できるなど…
語弊のある言い方になりますが、どんな医師にも同じ診療報酬を支払い、その代わり収入に関係なく同じ医療が受けられる現在の日本の保険制度がいいのか、有能な医師は高い報酬が得られるインセンティブがある一方、収入により受けられる医療に差があるアメリカやシンガポールのような制度がいいのか。
自由診療をどうするか等でそのバランスをとっていくとしても、その価値判断が求められる時期が来るかもしれません。

参考:マウント・エリザベス・ノビーナ病院ホームページ(英語)http://mountelizabethnovena.com/

三井物産株式会社ホームページより「シンガポールで肝臓疾患・生体肝移植専門クリニックを開設」記事 http://www.mitsui.com/jp/ja/release/2013/1199888_4689.html






海外視察@シンガポール その2

2013-07-01 22:40:03 | 日記
次に、アジアメディカルセンターを訪問し尾崎センター長にお話をお伺いしました。

アジアメディカルセンターはA*STARの研究所バイオポリス内にある。

A*STAR(Agency for Science,Technology and Research)は、通産省の下にあり日本の科学技術庁のような機能をもつところ。
いろいろな省庁と連携し、科学技術を医療現場にあわせ個人や国に還元していく仕組みづくりを行っている。

アジアメディカルセンターは、日本企業の高度な技術力を生かして、医療機関との連携などにより医療機器等を市場に出していくための支援を行っている。
A*STARの研究所バイオポリス内にあるが、A*STARとは直接関係はない。

医療機器を普及させていくためには、機器だけでなくそれを使える医師が必要なので、日本のスキルの高い医師にシンガポールに来てもらい、実際に手術をしてもらうといったことをしている。

シンガポールは研究から商品化までの目標・スケジュール設定などが細かくて明確、独立機関が評価するので評価がフェアで、成果が出なければやめる決断も早い。
それに対し、日本は目標不明確でお手盛り評価になっている。
産業化するにはシステマティックに動く必要がある。

海外で認められている医療機器は日本のPMDAは許可しやすい傾向があるので、海外に拠点を置くのも方法のひとつかも。

開発した機器の組み立てや生産の拠点を神戸に置くことは可能ではないか。
今後、神戸の医療産業の発展には、コンソーシアム拠点となることや情報が取りやすい、医療企業グループに入れるなどソフト面のメリットを充実させていく必要があるのではないか、

といったお話でした。

シンガポールと日本の制度の違いや神戸の医療産業クラスターのさらなる発展に必要なことなど、いろいろ興味深いお話を聞かせていただきました。

参考:アジアメディカルセンターホームページ http://www.amc-singapore.net/