つぎに「学生のまち・金沢の推進」についてお伺いしました。
金沢は幕政期のころから藩主前田家の文治政策により芸術・工芸・芸能が奨励され、藩学明倫堂があり、明治時代には第四高等学校などができ、金沢大学をはじめ、まちと大学がすく近くにあった。
しかし、平成になってから大学の郊外移転が進み、金沢の学都としての情景が薄まり、学生と市民が普段の暮らしの中で親しく交わり、学生がまちを学び舎として、まちに溶け込み活き活きと学ぶ姿が薄まってきた。
そこで、平成22年4月1日に学生と市民、学生とまちとの関わりを深めるための全国初の条例「金沢市における学生のまちの推進に関する条例」を施行した。
そして、金沢ならではのアイディアとエネルギーを生かして創造的なまちづくり活動に取り組むための推進母体となる「金沢まちづくり学生会議」を立ち上げた。
学校間の枠を超えて9つの大学から参加し活動してもらっている。
その活動してまず、まちについて理解を深めてもらうため、繁華街に学生が集い、大人との交流ができるエリア「まちなか学生交流街」を創生してマップを作成したり、まちなか学生まつりを開催するなどしている。
また、まつづくりについての意識を高めてもらうため、学生を対象に広くまちづくり企画を公募し、優れた企画を行政との協働により実現し、創造的で自主的なまちづくり活動を支援する「協働のまちづくりチャレンジ事業」などを行なっている。
さらに、まちなかにおける市民と学生の交流の場、まちづくり活動における情報交換の場及び学習の場として、大正期の町家を改修し、学生の活動拠点「金沢学生のまち市民交流館」を整備した。
交流館は、学生・高等教育機関・登録NPOは無料で利用でき、館内は誰でも自由に出入りできるサロン、会議スペースの和室、100名収容できる広間などがある。
様々な高等教育機関の中心に交流館が位置しており、インカレ学生団体の活動が活発化している。
将来にわたり希望と活力に満ちた魅力あふれるまちとするために、学生という地域資源を活用し、学生と市民をつなげるプラットフォームづくりやまちづくりをより楽しいものにするプランニングなどを行ない、地域等の様々な課題解決を自分で見つけ、自主的に解決できるような人材を育成していきたい、
といったお話でした。
神戸も大学数が多く、学生が多いまちという点で金沢と共通しています。
久元市長となり、学生に市政やまちづくりの意見を聞くという場面は増えましたが、市民と学生との交流を促進し、実際のまちづくりや課題解決に繋げていくという取り組みはまだまだです。
交流館のような施設まで整備する必要はないと思いますが、神戸でも金沢の例を参考にそのような取り組みをもっと進めていくべきではないでしょうか。
*参考:金沢学生のまち市民交流館 ホームページ http://www4.city.kanazawa.lg.jp/22050/shiminkouryukan/