ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

北九州スマートコミュニティ

2013-11-30 22:10:11 | 日記
7月23日~24日と北九州で民主党政令指定都市政策協議会があり、24日に現地視察で北九州スマートコミュニティについてお話をお伺いしました。

北九州スマートコミュニティ創造事業は、国の次世代エネルギー・社会システム実証事業として2012年5月に始まった。

67の団体や企業が集まってと「北九州スマートコミュニティ創造協議会」を設立し、北九州市八幡東区東田地区の約120haで、エネルギー需要の最適化を図り、電力の安定供給を実現するための実証実験が、平成22年度から25年度にかけて38事業163億円の規模で行われる。

もともと東田地区は新日鉄の敷地で、平成6年から14年にかけて区画整理事業が行われ、企業立地誘致策として天然ガスコジェネレーション発電所など新日鉄から安く電力供給を受ける取り組みをしていた。

現在は人口約1,000人、オフィス約50棟、進出企業約200、従業員数6,000人から7,000人、来街者約1,000万人/年。

取り組みの大きな核が地域節電所で、1軒1軒の電力の利用状況を把握し、それに基づいて発電計画や発電予測・蓄電放電量予測等を立てるなど、ICTを活用して地域電力の需要と供給を最適化する。

また、電気の使用量や料金を各家庭等にある端末で見るなどの情報共有もできる。

電気料金は季節や曜日・時間帯などで変動させる「ダイナミックプライシング」を採用し、節電やピークカットを促す。

この取り組みにより、約20%のピークカット、約30%の節電を実現した。

地域のみなさんに協力してもらって節電やピークカットに取り組む実証実験で、意識づけとしては有効と考える。

今後はゼロ・カーボン先進街区の城野地区や釜石市に拡大したり、アジア低炭素センターを通じインドネシアのスラバヤ市への適用検討を行っていく、

といったお話でした。

もともと東田地区は新日鉄の敷地内で、自前の発電設備などがあったことが、電力会社等との調整といった問題なく「ダイナミックプライシング」などこの事業の中心的なものができている背景にあります。

そのような観点からいえば、すぐに神戸でも同様の取り組みを、というわけにはいかないとは思います。
しかし、地域など一定の広域で発電や節電を、具体的なデータをもとに考えていくということは神戸においても必要ではないでしょうか。

*参考:北九州市役所ホームページより http://www.city.kitakyushu.lg.jp/kankyou/file_0325.html




視察@平取 その3

2013-11-24 23:02:50 | 日記
つぎに、「平取町自治基本条例」についてお話をお伺いしました。

地方分権の流れ、政策資源(財源・人材)の減少と住民ニーズ(需要)の増大、第5次平取町総合計画基本構想での位置づけなどから、自治体運営の関する最も基本的な理念やしくみやルールを定め各条例の最高規範となる「自治基本条例」を制定することになった。

町役場職員11名で構成する「平取町自治基本条例検討チーム」でたたき台を作成して、自治振興会・PTA連合会・ウタリ協会・商工会・農協の代表者5名と一般公募10名で構成する「平取町自治基本条例をつくる会」で検討の上平成20年3月10日に答申し、同年3月13日の定例議会で全会一致で可決、4月1日から施行した。

本条例は、「情報共有」と「町民参加」が大きな2本柱となっており、内容は基本的にはニセコ町をはじめ他の自治体の自治基本条例とさほど変わりはない。

ただし、本条例にはニセコ町にはない「議会」に関する規定を設けている。

本条例施行以来、職員も本条例を意識して仕事をするようになったし、町民からも「情報公開」「情報共有」などの話が出ることがあり、町全体に浸透してきている。

現在、本条例の見直し作業を行っているが、条文の内容は変えず、情報共有・情報発信をどう進化・変化させていくかを検討している、

といったお話でした。

ニセコ町のまちづくり基本条例を契機に多くの自治体で「自治基本条例」が制定されるブームにありましたが、最近はやや下火になっているように思われます。

それには、住民投票の重視や外国人や未成年に住民投票権を認める等直接民主主義や住民の権利を重視することへの批判などが影響しているのかもしれません。

メリット・デメリットはしっかり検討しながらも、例えば平取町で意義が認められている「情報公開・共有」や「市民参加の推進」といった内容で理念を中心に条例を制定することは検討してもよいのではないでしょうか。

*参考:平取町自治基本条例解説書 http://www2.town.biratori.hokkaido.jp/biratori/machi/pdf/jithi.pdf


視察@平取 その2

2013-11-23 22:48:30 | 日記
その後、平取町役場へ移動し、まず「平取町町民税1%まちづくり事業」についてお話をお伺いしました。

平取町町民税1%まちづくり事業とは、町民税の1%程度を予算として、住民(団体)が主体となって町や地域の活性化に貢献する特色のあるまちづくり活動に対して予算の範囲内で補助金を交付して支援する事業。

平取町の平成24年度の町民税収納額は約2億3千万円で、平成25年度の本事業の予算額は210万円(0.91%)。

町長の強い意向により、平成21年度から実施している。

手続きとしては、
①まず住民自治組織・NPO・福祉関係団体・地域の活性化を目的とする団体など補助を希望する団体から事業計画(提案)書を提出してもらう。
②それを、住民自治組織の代表者・福祉関係団体などの代表者・学識経験者・一般公募による委員などから構成する「1%まちづくり会議」へ諮問する。
③会議では、新規性や創造性、収支計画などで点数をつけ、採択すべきかどうか意見を付けてその審議結果を町長へ答申する。
④町長は答申を基に採択する事業を決定し、補助金を交付する。
という流れで行っている。

平成25年度は14件の申請があり、13件が採択された。

1団体30万円を上限に交付するが、「1%まちづくり会議」が採択すべきとした事業は基本的に採択し、採択された事業の中で金額調整して交付している。

これまでに、新規就農者への受入支援、文化講演会や芸術公演などの開催、高齢者へのIT体験事業といった事業が採択されている。

町内の各地域から申請があり、偏りはない。

町民が自主的にまちづくりに参加できる制度として、地域の発展と町民同士の喚起に大きく寄与しており、また町民の納税への意識向上も図られている。

今後も様々なアイデアを募り、広く利用される制度として進めていく、

といったお話でした。

「町民税1%まちづくり事業」と名称がシンプルでインパクトがあることもあってか、町民の中でも話題となって町民間でアイデアを出し合い、まちづくりへの参画を促すことにつながっているとのことでした。

神戸市でも市民や地域団体等が自ら企画・提案し、地域課題の解決に向けて具体的に取り組む活動に対して「パートナーシップ活動助成」を、各区においても同様の「住民提案型活動助成」を行っていますが、広く市民同士の喚起にはまだまだつながっていないのではないでしょうか。

都市としての役割や規模が大きく違うため単純な比較はできませんが、平取町の取り組みも参考に、さらに住民自治・まちづくりへの参画を促進する取り組みを進めていくべきだと思います。

*参考:平取町役場ホームページより http://www2.town.biratori.hokkaido.jp/biratori/machi/machi_1p.html

視察@平取 その1

2013-11-19 23:42:34 | 日記
6月7日は平取町(びらとりちょう)へ移動し、まず「すずらん群生地」ですずらん鑑賞会の運営、すずらんの管理などについてお話をお伺いしました。

平取町芽生に広がる野生すずらんの群生地は約15haと日本一の広さを誇る(約1,500万株)。

もともと群生地一帯は馬の放牧地であったが、根に毒があるため馬が食べず選択的に残った。

昭和39年から「すずらん祭り」が開催されていたが、乱獲・倒伏が激しく絶滅に近い状態となったため、昭和50年から閉鎖し、保全管理に努めた。

その甲斐あって全盛期に近い状態に回復できたため、昭和59年から「すずらん鑑賞会」という形で期間中のみ一般公開している。

すずらん鑑賞会は、今年で29回目で期間中約6千名の来場がある(毎年ほぼ横ばい。ちなみに、すずらん祭りの頃は約3万人が来場していた)。

あくまで「すずらん」を守ることを主眼とし、観賞用道路を設けるなど管理の徹底を図りながら鑑賞会を実施している。

群生地は開花期の鑑賞会(6月上旬頃)の時期以外は立入禁止とし、開花期は遊歩道のみ立ち入り可能で遊歩道は立入禁止、年1回すずらんが枯れる10月末頃に雑草刈り取りを実施している。

すずらんは木陰や涼しい場所を好むが、日当たりが悪いと花付きがよくないので、ある程度日の当たるようにする必要がある。

ススキ、オオヨモギ等の高茎草本による被圧や上層を覆う樹木の樹冠の増大などに気をつける必要がある。

また、やせた土地の方が育つ(やせすぎてはいけないが)ので、肥料をやりすぎてはいけない。

湿地でも育たない。

それらに気をつければ、そんなに手間はかからない、

といったお話でした。

平取町のすずらんは、葉の方が大きく花はその間でひっそりと咲いており華やかさはありませんが、花のよい香りとあいまって心が癒され落ち着く感じがしました。

また、過去の絶滅の危機の反省から、鑑賞会会場に出店などはなく、町の宝のすずらんを守っていこうとする強い思いが見られました。

栽培や管理の仕方をお伺いすると、神戸市北区でもすずらんを育て広めていくことは不可能ではないと思いましたが、それをするにあたっては乱獲を防ぐなど街全体でいかにすずらんを守り育てるかという強い思いを育てていくことが課題と感じました。






視察@苫小牧 その3

2013-11-16 23:16:19 | 日記
次に、「まちなか再生総合プロジェクト」についてお伺いしました。

苫小牧を含め、今の日本では人口増加・車社会の進展を背景に「まち」が郊外へ拡大し、住居・商業・公共など様々な機能が郊外へ分散してしまい、生活圏の中心が郊外に移っている。

そんな中、人口減少・少子超高齢化という時代の大転換期に合わせて、まちづくりの考え方を転換する必要がある。

つまり、厳しい財政状況で限られた予算の中で、投資の効率性を考えたまちづくりをおこなっていかなければならない。

そのために、過去に一番投資し、様々な機能が揃っている場所である「まちなか」を中心にまちづくりを進めていくべき。

商業施設や金融機関・医療機関・公共機関など色々な機能が集積し、便利でアクセスしやすいのが「まちなか」。

「まちなか」の再生は商店街の活性化やまちなかだけの活性化というのではなく、人口減少や超高齢化社会問題に立ち向かい、将来的な市民生活の支障を少しでも和らげるためのまちづくり全体の取り組みといえる。

そこで、
1. まちづくりの観点から総合的に考えた計画(商業・住宅・福祉・交通など)
2. 20年、30年先を見据えてつくった計画
3. 計画の事業は実施を前提に、スピード感をもって柔軟に取り組む、
という視点で平成23年に「まちなか再生総合プロジェクト」を策定。

基本方針として、
1. にぎわいの創出
2. 公共交通の利便性向上
3. まちなか居住の推進、
を掲げている。

主な事業として、
1. 周辺4町を含めた地域で協議会を立ち上げ特産品を一緒にアピールする、東胆振地域ブランド戦略の実施
2. 多くの人がふれあうコミュニティステーションとして足湯や特産品展示などがある、まちなか交流館の開設
3. ご当地キャラクター「とまチョップ」を使ってまちのPR・活性化を目指すプロジェクト、
4. 市営住宅の建て替えの際に一部をまちなかへ移転させたり、サービス付き高齢者向け住宅などをまちなかに整備する事業者等に補助を行う、まちなか居住に関する事業
などを行っている、

といったお話でした。

苫小牧の取り組みは始まったばかりで成果はまだまだこれからという感じでした。
しかし、地域活性化だけではなく、将来的な市民生活の支障を少しでも和らげるためにも「まちなか」を活かしての再生が必要、それには道路などハード整備だけでなくソフト事業を中心に民間活力を誘発しながら活性化を図る、という考え方は印象的でした。
神戸においても、三宮や元町といった中心部はともかく、郊外のニュータウンの活性化などには参考になる点も多いと思います。
苫小牧の取り組みを参考に、その地域ごとにアレンジしながら取り組みを進めていくべきではないでしょうか。

参考:まちなか再生総合プロジェクト(平成25年度版) www.city.tomakomai.hokkaido.jp/matinaka/files/CAP_H25.pdf


まちなか交流館


苫小牧市公式キャラクター「とまチョップ」