ひとみの目!

元神戸市会議員・社会保険労務士・行政書士
人見誠のブログです。

地域包括ケアシステムについての講演

2014-11-25 23:57:39 | 日記
5月29日、福祉環境委員会で地域包括ケアシステムについて、国際医療福祉大学大学院医療福祉学分野教授の高橋紘士先生の講演がありました。

「地域包括ケアシステム」とは、ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を確保するために、医療や介護、予防のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービスが「日常生活の場」で適切に提供できるような地域での体制。

日本社会は豊かさが行きわたって、長寿命化しており「世話」をする必要が出てきた。

治すという医療だけでなく、介護など支える支援が必要になってきている。

住まいの中でどうケア体制を構築するかは、医療・保険・福祉だけでなく地域力が必要。

だから、「地域包括ケアシステム」が必要。

これからはターミナルケアは地域で行い、高コストの病院、施設に依存すべきでない。

生活機能の維持には、何かがしたいというモチベーションが重要で、地域社会参加は最大の介護予防になる。

施設に入れると、むしろモチベーションを壊す。

地域で支援するには、大きな施設は不要で、地域支援をもらうには小ぶりの方がよい。

例えば、空き家を活用して、住居を確保したり、居場所づくりをおこなってはどうか。

神戸での例として、KOBE須磨きらくえんやホームホスピス神戸なごみの家などがある、
といったお話でした。

介護保険制度の改正もあり、神戸市においても地域包括ケアシステムの構築は大きな課題です。

神戸市でも様々な取り組みが行われていますが、講演でも言われていたように、いかに社会参加を促し介護が必要な状態にならないようにすることが大事だと思います。

そのためにも各局が連携した取り組みが求められます。

空き家の活用はその典型例であり、とても参考になりました。


*講演の様子は、神戸市会ホームページのインターネット中継からご覧になれます。
http://113.42.218.61/KobeCity/SubResultScreen.asp?20141125235919581

精神障害と家族支援

2014-11-01 22:50:31 | 日記
5月15日、京都ノートルダム女子大学佐藤純准教授を招いて、精神に「障害」のある人とその家族への支援についての研修会がありました。

日本では、高齢者や失業、子育てなどについて家族が責任を持つべきという考え方が強く、家族は自分の人生のほとんどを障害のある本人のために費やしている、という現状がある。

また、日本の精神科医療は病床が多く、平均在院日数が長いので、日本人は精神に障害がある人と街で暮らす経験が少ない。

そのため、精神に障害のある人やその家族は、病気そのものよりも支援がないことや社会に理解がないことへの苦しみの方が大きい。

日本の現状では、

①本人の異変を感じてから精神科医にかかる(初診)まで平均約1年10ヶ月かかっている。その時には本人の混乱も大きいためケアする家族も大きな苦労と困難を経験しており、早期受診につながるさまざまな支援や介入が必要

②初診から病状の安定まで平均13年8ヶ月と、不安定な状態が長期にわたっている。その間、長期にわたって本人へのケアや見守りが必要で、特にこの時期に本人支援・家族支援が必要

③精神課通院しているが本人が通所サービスを利用しないケースが多く、その場合本人が家族とあまり一緒にいたくないように映って家族との会話も少なく、どうしてよいか途方にくれているケースが多い。

しかし、回復すればするほど支援メニューが用意されているが、初期段階は少なく、アウトリーチなどのサービスが必要。

十分な支援が本人や家族に届き、社会の理解がもっと進めば、本人も家族ももう少しニコニコと暮らすことができるかもしれない。

本人と家族を「ひとつの家族」とみて支援をする必要があるのではないか。

そして、最終的には本人も家族も一緒に暮らすか、別に暮らすかをあまり躊躇せずに選択できる社会の実現を目指すべき。

イギリスのバーミンガムでは、訪問支援を中心とした支援システムと高い家族支援技術(メリデン版訪問家族支援)などにより支援が行われている。

精神疾患の場合、外出や相談に行くのが難しいことが多く訪問による支援が必要という考えから、コミュニティ精神保健チーム・重い精神障害のある人の支援チーム・危機介入チームとチームを組み、担当エリア・役割を明確にして支援を行っている。

また、本人だけでなく家族もケアを必要なときがあり、家族全体を見渡して必要な支援も行われている。

メリデン版訪問家族支援は、コミュニケーションなどによる家族の問題解決機能を強めることが目的で、ケアに必要な知識や情報の共有・本人や家族間のコミュニケーションの練習・再発時への準備といったサービスが行われている、

といったお話でした。

「家族も含めた支援」は、日本ではこれまであまりなかった考え方ではないかと思いますが、必要な支援だと思います。

日本でも家族団体がメリデン版訪問家族支援の技術導入に向けた取り組みを進めています。

国や神戸市も家族支援の取り組みを進めていくべきだと思いますし、精神疾患だけでなく他の疾病患者等の家族支援も行っていくべきではないでしょうか。