一筆啓上せしめ候19 相変わらずの川河問題

2023年06月29日 | 日記・エッセイ・コラム
磐城棚倉駅から茨城県との県境の矢祭山駅までのエリアは福島県東白川郡で、白河市の東側に位置します。白河市の西側には西白河郡があります。すでにお気づきのように、川河問題です。江戸時代の寛文年間(1661年~1673年)に白河・高野・石川の三郡を統合し白川郡としたが、元禄年間(1688年~1704年)に、白河・白川(元の高野)・石川の三郡に再分割され、以後若干の郡境変更を経て、明治12年(1879年) 郡区町村編制法により白川郡の区域をもって東白川郡が発足し、白河郡の区域は白川郡との区別するために西白河郡と改称され、現在に至っています。白河、白川、そして石川と、この川河の使い分けに何か深い意味があるのではとおもって調べているのですが、よくわかりません。江戸時代以前から、白河郡を白川郡と記した文書が残されるなど紛らわしかったようで、もしかしたら、昔の役人が適当に書いたのがそのまま残ってしまっただけなのかもしれません。
 棚倉町から以東、東白川郡は阿武隈川水系から久慈川水系となります。陸奥の国を流れる阿武隈川が大きい河で、常陸の国に向かって流れる久慈川は小さい川、と区別したのかもしれないなあと、などと相変わらずこだわり続けているうちに、阿武隈水系の銘酒「大七」も尽きてしまい、ビールでつなぐことに。
 線路は久慈川に沿い、列車は左手に阿武隈山地、右手の八溝山地の間の田園の中を進んでいきます。中豊駅を出て近津駅に到着すると、駅前の広場に山積みにされた材木が目に入ります。この辺りは製材業の町で、かつては鉄道を使って木材が輸送されていましたが、水郡線の貨物輸送は1987年に終了しています。
 列車は2面2線のホームの磐城塙駅に到着します。木の町塙をイメージしたかわいらしい駅舎は、タカラのおもちゃ「こえだちゃんの木のおうち」のよう。「塙」は土の高いところという意味の和製漢字で、福島県や茨城県には、「台地の端(はな)」を表すハナワという方言があり、これに「塙」という字をあてた、という東白川郡にしては納得のいく由来が町のホームぺージにありました。この地は陸奥と常陸の国の境で常陸の佐竹氏と陸奥の伊達氏が拮抗していた歴史があり、木材供給の要衝でもあるため、徳川幕府は直轄地として代官を置き管理していました。現在人口8,000人の塙町の新しいセールスポイントはダリヤです。大きな花弁の色鮮やかなダリアは、塙町の町名「はなわ」にふさわしく、はな=花 そして人の「わ・和・輪」で町おこしを目指しています。
 磐城塙では数名が降り、乗客はなし。車内の乗客はまばらになってしまいました。次の磐城石井までは水郡線で最も長い駅間です。