進化にこだわる

2004年10月18日 | 日記・エッセイ・コラム
 イチローが進化するというのはおもしろい。
 生物が長い世代を経て変化していくことが進化、同じ個体の変化は「変態」と呼ぶのが正しい。いもむしは蝶に変態するのである。
 でもイチローが変態、はおかしいですね。(ゴジラならいいかも)
 ポケットモンスターで子供たちが使い始めた言い方(ピカチュウがライチュウに進化、みたいな)が、超人的な活躍をする選手に重なってとてもおもしろい表現なのですが、当たり前のように使われてしまうと、ちょっと興ざめ。
 イチロー選手は道具にとてもこだわっています、なんてメジャーのシーズン最多安打記録保持者には大変失礼な言い方です。どうでもいいことに執着することが「こだわり」です。
 グルメ番組で面白半分に使い始めたのが、あっという間に広まってしまい、本来のネガティブな意味がほとんど薄れてしまっています。
相手への失礼を微塵にもおもわずに「こだわってますね」とマイクを向けるアナウンサー、そして「うちのラーメンのこだわりは・・・」なんて胸を張る店主に違和感をおぼえるのは私だけではないはず。
 でも、この二つを別の言葉で言い換えようとすると、これが難しい。
 イチローのような選手はこれまで日本にはいなかった、ラーメンみたいな大衆グルメがこれほど脚光を浴びることもなかった。それを評するのに、刺激的、でもちょっとした遊びごころのある「進化」、「こだわり」は、誤用ぎりぎりだけれども、実にぴったりなのです。言葉の進化を目の当たりにするおもいです。
 今回は進化にこだわってしまいました。



うれしかったこと

2004年10月04日 | 日記・エッセイ・コラム
 土曜日の夕方にシャッターを降ろして自転車にのりかけたとき、以前に受診されたことのあるおばあさんがやってきました。
 私が「○○さん」と声を掛けようとすると、その患者さんは「ここの先生はいい先生よ」とおっしゃいました。
 「?」 合点がいかない私。
 おばあさんは「ほんと、いい先生よ」とうなずきながら、去って行かれました。
 私は院内の掃除のために、作業服のような格好をしていたのです。
 おばあさんの後姿に、「伝えておきますね!」と申しあげました。