一筆啓上せしめ候17 福島空港アクセス線を

2023年06月26日 | 日記・エッセイ・コラム
 1993年に開港された福島空港は須賀川市・石川郡玉川村にまたがっており、一日に全日空の大阪便が4往復、札幌便が1往復就航しています。新型コロナ流行前の2019年の乗降客数は約28万人で、休航も含め全国に96ある空港中第49位です。それより下位のほとんどが離島空港で、基幹空港では61位の松本空港があるくらいです。国内線の搭乗率は58.5%です。ちなみにわが国で空港のない県は群馬、栃木、埼玉、神奈川、山梨、岐阜、三重、滋賀、京都、奈良の10府県だけで、空路は全国に張り巡らされています。地方鉄道同様、地方空港も厳しい状況にありますが、東日本大震災の際に福島空港は羽田便が臨時就航し、人や物資の輸送に力を発揮しましたので、交通インフラは通常時の採算性だけで評価することはできないとおもいます。福島空港からは離発着便に合わせて郡山、いわき、会津若松との間のリムジンバスが運行されていますが、最寄りの鉄道駅は、ここ泉郷駅です。泉郷駅から福島空港までは5キロ足らずですので、鉄道ファンとしては何とか水郡線から分岐して空港アクセス線をつくれないかとおもってしまうのですが、今のところ駅から空港まではバスなどの公共交通機関すらありません。
 泉郷駅を出発、次のカップ酒は阿武隈水系の水で醸す二本松市の銘酒「大七本醸造」です。大七の特徴は何と言っても「生酛造」です。米が発酵するには酵母が必要ですが、酵母は酸性の環境を好み、逆に他の雑菌は酸性下では死滅するため、日本酒の醸造の最初の段階では酵母の増殖に先立って乳酸菌を増やす必要があります。現在ほとんどの酒蔵では速醸法といって乳酸菌を添加しているのですが、大七酒造では天然の蔵付きの乳酸菌の増殖を待つ伝統的な「生酛造」で醸しています。そのため大七はヨーグルトのようなまろやかな酸味が魅力的なお酒になるのです。
 列車は単調な田園風景の中を進み、川辺沖駅に到着し、出発。
 大七のまろやかな酸味は、笹の川の爽やかな味わいとは好対照で、よい2杯目のセレクトと自己満足しながら飲み進めます。水田や畑の中を真っすぐに進む架線のない非電化の線路は遠近法の教科書のような風景で気持ちがよい、とおもっていたら、次の野木沢駅の手前、線路の至近の場所に里山を切り開いて太陽光パネルが設置されていました。線路や道路の近くに太陽光パネルを置くのは、台風など災害時を考えると危険です。その前に里山をつぶして太陽パネルはナンセンスなのですが、この話は酒がまずくなるのでこのぐらいにして、列車は野木沢駅を出発し、磐城石川駅に到着です。野球や各種スポーツの強豪校の学法石川高校の最寄り駅で通学需要があり、高校生たちが十名ぐらい乗り込んできました。