パルムの春

2020年04月29日 | 日記・エッセイ・コラム
 東京都品川区の武蔵小山商店街パルムは、新型コロナウイルス感染拡大の「3密」対策としてアーケードの一部を開放し換気をしている。商店街によると、開放時間は荒天時を除き正午、午後3時の1日2回。15分から30分程度で開放時にはアナウンスで告知を行っているという。
 アーケードの開放は納涼祭や火災時、消防機器の点検時などに行われているが、密閉、密集、密接の「3密」対策として3月30日から実施している。
 産経新聞ニュース 2020.4.28  より


隣の芝生は青い?

2020年04月29日 | 日記・エッセイ・コラム
 日本の新型コロナウイルス感染症に対するPCR検査の実施数が、諸外国に比べて少ないことが問題になっています。
 4月5日時点でのPCR検査数は、イタリア667,224件(人口100万人あたり10,870件)、韓国455,032件(同8,875件)、台湾36,304件(同1,524件)、日本は42,888件(同339件)で我が国は桁違いに少ない。ちなみに同時点での死亡者数/感染者数は、イタリア15,362人/124,632人、韓国177人/10,156人、台湾5人/355人、日本は77人/3,139人です。
 参考までには人口は、イタリア6,060万人(2018年)、韓国5,127万人(2016年)、台湾2,360人(2020年)、日本は1億2618万643人(2019年)です。
 4月29日時点では、世界の死亡者数/感染者=致死率は216,930人/3,113,44人=0.0700、日本は413人/13,895人=0.0297、日本の致死率は世界の半分以下です。致死率は死亡数/罹患数で、死亡率(死亡数/人口)とは異なります。
 日本はPCR検査数が極めて少ないので、潜在罹患者(検査を受けていない感染者)が多く、本来の致死率はもっと低いはずです。
 このデータからは現時点では、わが国は少ない検査で効率よく命を救っている、と言えますが、
 今後、無症状や軽症の潜在罹患者からの重症化、死亡が増える、そして感染が拡大する可能性がある、ともいえます。わが国でもPCR検査の件数をもっと増やすべき、という意見の根拠はここにあります。
 PCR検査数を増やすのはある程度簡単で、全国の医療機関で検体採取をできるようにすればよい。
 1回の採取ごとに手袋や防護服を変えなくてはならないという手間や時間、コスト、何より物資の供給体制が問題ですが、手技的にはインフルエンザの迅速検査と同じ、鼻腔に綿棒を入れるあれみたいなもの、ですので、やろうとおもえばどこの医療機関でもできる。(歯科でもやらせようという案もでていますね)
 その検体を検査会社に送り検査するわけですが、PCR検査、聞こえはハイテクっぽいですが、かなりアナログな手作業とコツが求められ、時間もかかる検査なのです。その技術をもった検査技師さんは限られていて、設備も急には増やせない。(退職した技師を招集している検査所もあります)極端にいうと宇宙ロケットの部品が、蒲田の町工場の熟練工にしか作れないみたいなものなのです。
 検体数が増えても、処理能力には限界があるので、検査の結果が出るのに時間がかかる。本当に重要な検査が後回しになり、亡くなってから結果が戻ってきた、なんてことにもなりかねない。検査件数の多い(日本よりPCR検査処理体制が整っているとはおもえない)国々で、どのくらいの納期で検査結果が出ているのか?これは検査件数よりも重要なことだとおもいます。
 今後、わが国でも検査体制の拡充が行われることを期待いたしますが、レストランの席数だけふやして、キッチンスタッフの数はそのまま、ということがないようにしなくてはなりません。
 対象を絞った効率のよいPCR検査体制以外に、わが国の新型コロナウイルス感染症の死亡率が(今のところ)低い理由として、私はCT装置の高い普及率と肺がん検診の存在があるとおもっています。
 2017年時点での人口100万人あたりのCT装置の保有率は日本は断トツの1位で107台、2位のオーストラリアが62台、韓国37台で5位、11位のイタリアは33台、G7の平均が25台です。日本とオーストラリアの国土面積を比べてみても、いかに日本人がCT検査にアクセスしやすい環境にあるかがわかります。新型コロナウイルス肺炎の重症化の早期発見にはCT検査が大変重要ですが、多くの国ではCTの順番を待っているうちに人工呼吸機が必要になる、なんてことが起こっているのだとおもいます。
 また胸部単純レントゲンによる肺がん検診を行っているのは、世界中で日本だけです。肺がんは増えていますが、単純レントゲン検査では早期発見が難しく、発見しても救命につながらないことが多く、死亡率減少に寄与しない、そして(昨年我が国でも問題になった)見落としも少なくない、ということで、肺がん検診は国際的には推奨されていない検診です。さらに肺結核も減少している国が多いので、BCGだけなく、胸部単純レントゲン検査自体が、日常臨床でルーチンで行われなくなっています。ところが日本では当院のような小さなクリニックですら胸部レントゲン装置を備え、胸部レントゲンが項目に入っていない住民健診、職域検診、そして人間ドックはほぼありません。
 当院でも、咳、熱の患者さんにはすぐ肺のレントゲンを撮り、コロナ感染かどうかは診断できないが、「レントゲンでわかるような肺炎は起こしていない(ORいる)」という診断はできます。
 (異常に)高いCT装置の保有率、X線による肺がん検診の実施について、「日本は(被爆国なのに、原発事故もあったのに)医療検査による放射線被ばくで、発がん率を高めている」と国際的に批判され続けていますが、今後どうなるかしら。
 日本の医療はガラパゴスといわれ、今回のPCR検査数の少なさを批判する声も多いのですが、(今のところ)うちの芝生の方が生き生きしている、と私はおもっています。 

ゴールデンウイークの診療予定

2020年04月28日 | 日記・エッセイ・コラム
ご予定真っ白の、ホワイトウイークとおもわれますが、当院は通常どおり診療予定です。
こちらの動画をご覧になってから、診療予約の上ご来院をお願いいたします。
発熱、お咳のある方は、必ず受付にてお申し出ください。
なお、天候やスタッフの出勤状況、健康状態により、臨時休診する場合もございますので、ホームページでご確認ください。
4月29日(水・祝)午前8時半~12時半、午後休診
4月30日(木)午前8時半~12時半、午後3時~6時
5月1日(金)午前8時半~12時半、午後3時~8時
5月2日(土)午前8時半~12時半、午後休診
5月3日(日・祝)午前8時半~12時半、午後休診
5月4日(月・祝)午前8時半~12時半、午後休診
5月5日(火・祝)午前8時半~12時半、午後休診
5月6日(水・祝)午前8時半~12時半、午後休診
 ※午後5時~9時半 目黒区鷹番休日診療所を担当
5月7日(木)午前8時半~12時半、午後3時~6時
5月8日(金)午前8時半~12時半、午後3時~8時
5月9日(土)午前8時半~12時半、午後休診
5月10日(日)午前8時半~12時半、午後休診



人生なないろ

2020年04月28日 | 日記・エッセイ・コラム
 仙台法務局は27日、仙台市青葉区の飲食店から1~3月に店内に備え付けの七味唐辛子缶を計3缶(計1848円相当)盗んだとして、50代の男性法務事務官を停職6月の懲戒処分にしたと発表した。男性は同日付で依願退職した。 
 3月24日に唐辛子1缶を盗まれたことに気付いた店が警察に通報。男性は仙台中央署の事情聴取に対し、行為を認めたという。
 男性は2016年9月から同法務局で勤務。仙台法務局の調査に対し、「唐辛子をかけるのが好きだった」と話しているという。
 同法務局の金島彰治総務管理官は「今後、職員に対する指導・教育を一層強化し、信頼回復に最大限努力する」とのコメントを発表した。
(毎日新聞 2020/04/28 より)

コロナの夜の夢

2020年04月27日 | 日記・エッセイ・コラム
「もう1か月もお家に帰れていないんだ、かわいそ」
 彼女は両手を目に当てて、泣きべそのポーズ。
「だめだめ、洗ってない手で目を触っちゃ」
 私は、おもわずパソコンの画面に手を伸ばした。
「おさわり禁止でーす」
 画面の向こうの彼女は後ろに身をそらす。
「先生、何呑んでるの?」
「マッカラン12年、ロック」
「わたしも同じのもらっちゃおうかな」
 画面に『ごちそうさま ¥2,000』とすぐさま表示され、仕方なくクリック。
 彼女が右手を上げると、すぐに背後から手が伸びて、ロックグラスが置かれた。
(どうせ、ウーロン茶でしょ)
「カンパーイ」
 私はディスプレイの彼女のグラスに、実はブラックニッカのグラスを合わせた。
「今、何が一番食べたい?」
「うーん、ホロホロ鳥のテリーヌにシャンパーニュ、サロンが呑みたいかなあ」
「うちのお店、テイクアウトもやっているんだよ、右側のアイコン、クリックしてみて」
 画面に料理と、ドリンクのメニューが現れる。
 私がスクロールしていると、
「ごめん、他のとこから呼ばれちゃった、また、戻ってくるから、待っててね」
 そう言って、彼女は私のパソコン画面から消えた。
 私はため息をついて、焼き鳥セットとカバをポチっとカートに入れて、PCの電源を落とした。
 30分後、インターフォンが鳴った。
 私がシャッターを上げると、  
 ウーバーイーツの配達員が暗がりから現れ、ヘルメットを取った。
「お待たせしました」
 私は目を疑った。
 画面の向こうにいた彼女が、今私の目の前にいる。
「だめ、目をこすっちゃ」
 彼女がほほ笑んだ。
(続く)