国立がん研究センター 「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」2014年度版において、対策型・任意型胃がん検診に、胃x線検査に加えて、新たに胃内視鏡検査が推奨されたことにより、多くの自治体で胃内視鏡検診導入の動きが始まっています。
また、同ガイドラインには、ペプシノゲン検査とヘリコバクターピロリ抗体検査を組み合わせた、A・B・(C+D)の3群による胃がんリスク層別化が可能であることも記載されました。
当NPO法人が掲げている、胃がんリスク検診によるリスクに応じた内視鏡検診の実施という目標が、設立8周年目にして、ようやく実現しつつあります。
しかし、法人設立時には想定していなかった問題点も明らかになってきております。
胃がんリスク検診における、ヘリコバクターピロリ抗体検査のカットオフ値の「陰性高値」問題が、その一つです。
かねてから、A群からの胃がんの発生、いわゆる「A群問題」は議論されてまいりましたが、A群の中でもヘリコバクターピロリ抗体値が3以上10未満の場合に、胃がんリスクの低くない、ピロリ菌の現感染や感染既往が混在している可能性が高いことがはっきりしてまいりました。
また、ヘリコバクターピロリ抗体検査キットは従来のEIA法に加え、複数の会社から上市されたラテックス法によるキットが普及し、検診現場に混乱を招いております。
ラテックス法は短時間で大量の検体処理ができるのがメリットですが、胃がんリスク検診で用いるには未解決の点が多く、測定値をEIA法と同等に扱うことができません。
早急に、胃がんリスク検診にふさわしいヘリコバクターピロリ抗体検査のカットオフ値を、各検査キットごとに設定しなくてはなりません。
胃がんリスク検診のカットオフ値を変更し偽陰性を減らすことにより、偽陽性が増えます。その対策として、内視鏡検診の普及にあわせ、また従来の胃x線検診においても、がんのあるなしだけではなく、画像所見からピロリ菌の感染状態や胃粘膜萎縮の程度を客観的に診断する「画像診断による胃がんリスク評価」を行うことが、これまで以上に重要になってまいります。
ピロリ菌除菌の普及に伴う、「除菌後胃がん」が増えていることが、胃がんリスク検診の信頼性を損なう要因になってきています。
まず除菌後の受診者がA群に紛れ込んでしまうことは、避けなくてはなりません。除菌後は胃がん有リスクの「E群」に分類し、定期的な内視鏡検査が必要であることを、受診者に、そして現場の医療従事者に徹底していくことが、改めて重要になってまいりました。
あわせて、これまで使ってきた「胃がんリスク検診」という用語では、胃がんのリスクの有無をみる、と誤解される恐れがあるので、「胃がんリスク層別化検査」と改め、胃がんリスクが高いか低いかに分類する検査であることを強調していくべきと考えております。
若年者(中・高生)に対するピロリ菌検査、及び除菌療法を公費補助する自治体も出てきています。
上記ガイドラインにおいて、無症状者へのピロリ菌除菌による胃がん罹患抑制効果については、傾向は認めるものの確定的ではないとしています。
しかし、ピロリ菌感染による胃粘膜萎縮が胃がん発生のリスクである以上、萎縮が進む前の若い時点で除菌することのメリットは明らかであり、機会を逸してはならないと考えます。
「若年者のピロリ菌検査と除菌」は根本的胃がん対策として、実施方法を標準化し、疫学的な評価を行える体制を作らなくてはなりません。
一難去って更なる多難、ではありますが、皆様のご意見、ご協力を仰ぎながら一つ一つ解決し、胃がん撲滅の道を進んでいく所存であります。
引き続き、ご支援よろしくお願い申しあげます。
また、同ガイドラインには、ペプシノゲン検査とヘリコバクターピロリ抗体検査を組み合わせた、A・B・(C+D)の3群による胃がんリスク層別化が可能であることも記載されました。
当NPO法人が掲げている、胃がんリスク検診によるリスクに応じた内視鏡検診の実施という目標が、設立8周年目にして、ようやく実現しつつあります。
しかし、法人設立時には想定していなかった問題点も明らかになってきております。
胃がんリスク検診における、ヘリコバクターピロリ抗体検査のカットオフ値の「陰性高値」問題が、その一つです。
かねてから、A群からの胃がんの発生、いわゆる「A群問題」は議論されてまいりましたが、A群の中でもヘリコバクターピロリ抗体値が3以上10未満の場合に、胃がんリスクの低くない、ピロリ菌の現感染や感染既往が混在している可能性が高いことがはっきりしてまいりました。
また、ヘリコバクターピロリ抗体検査キットは従来のEIA法に加え、複数の会社から上市されたラテックス法によるキットが普及し、検診現場に混乱を招いております。
ラテックス法は短時間で大量の検体処理ができるのがメリットですが、胃がんリスク検診で用いるには未解決の点が多く、測定値をEIA法と同等に扱うことができません。
早急に、胃がんリスク検診にふさわしいヘリコバクターピロリ抗体検査のカットオフ値を、各検査キットごとに設定しなくてはなりません。
胃がんリスク検診のカットオフ値を変更し偽陰性を減らすことにより、偽陽性が増えます。その対策として、内視鏡検診の普及にあわせ、また従来の胃x線検診においても、がんのあるなしだけではなく、画像所見からピロリ菌の感染状態や胃粘膜萎縮の程度を客観的に診断する「画像診断による胃がんリスク評価」を行うことが、これまで以上に重要になってまいります。
ピロリ菌除菌の普及に伴う、「除菌後胃がん」が増えていることが、胃がんリスク検診の信頼性を損なう要因になってきています。
まず除菌後の受診者がA群に紛れ込んでしまうことは、避けなくてはなりません。除菌後は胃がん有リスクの「E群」に分類し、定期的な内視鏡検査が必要であることを、受診者に、そして現場の医療従事者に徹底していくことが、改めて重要になってまいりました。
あわせて、これまで使ってきた「胃がんリスク検診」という用語では、胃がんのリスクの有無をみる、と誤解される恐れがあるので、「胃がんリスク層別化検査」と改め、胃がんリスクが高いか低いかに分類する検査であることを強調していくべきと考えております。
若年者(中・高生)に対するピロリ菌検査、及び除菌療法を公費補助する自治体も出てきています。
上記ガイドラインにおいて、無症状者へのピロリ菌除菌による胃がん罹患抑制効果については、傾向は認めるものの確定的ではないとしています。
しかし、ピロリ菌感染による胃粘膜萎縮が胃がん発生のリスクである以上、萎縮が進む前の若い時点で除菌することのメリットは明らかであり、機会を逸してはならないと考えます。
「若年者のピロリ菌検査と除菌」は根本的胃がん対策として、実施方法を標準化し、疫学的な評価を行える体制を作らなくてはなりません。
一難去って更なる多難、ではありますが、皆様のご意見、ご協力を仰ぎながら一つ一つ解決し、胃がん撲滅の道を進んでいく所存であります。
引き続き、ご支援よろしくお願い申しあげます。