一筆啓上せしめ候13 桃色双六水郡線

2023年06月22日 | 日記・エッセイ・コラム
 郡山駅は新幹線、東北本線の他に、会津若松、喜多方を経て新潟県の新津に向かい羽越本線、信越本線に結ぶ「磐越西線」、福島県を東に横断し浜通り地区の中心都市、磐城で常磐線とつながる「磐越東線」、そしてこれから乗車する「水郡線」の始発駅であり、重要な鉄道の結節点であることがわかります。磐越西線、磐越東線が県内主要都市を結び、東北本線と日本海側の羽越・信越本線、太平洋側の常磐線という本州を縦断する幹線と接続するという役割のはっきりした路線であるのに対して、水郡線はコンセプトがはっきりしない鉄路です。郡山駅の在来線ホームは地下通路で結ばれていますが、改札を通るとすぐ、床にピンク色の文字で「3番線水郡線」の矢印だけが、目立つように表示されています。ピンクの矢印に沿って進むと、ホームに上るエスカレーターの手前の床にも「水郡線のりば3」という大きなピンクの表示で、なんだか我らが水郡線だけ特別扱いです。エスカレーターでホームに出ると、そこは東北本線のホームで、東京向かって右手が下り2番線、左が上り4番線、そして足元には「3水郡線」の表示とピンクの矢印がホーム前方に向かって引かれています。ホーム先頭まで来るとピンクの壁の待合室があり、更に「3水郡線のりば」の矢印が待合室の壁に表示されています。待合室の横を通ると、ホームは壁で行き止まりで、壁には「3番線水郡線ホームはこの先です」という太いピンクの矢印が描かれた大きな看板があり、その看板の向こう側に進んだ先に、3番線水郡線乗り場が見えました。ようやく郡山駅双六の上がりです。
 水郡線のホーム3番線は、東北本線2番線の先っぽを切り取って拵えた、短く幅の狭いホームで、そこにかわいらしい2両編成の気動車が私を待っていました。
 乗り込むと足元から響いてくるディーゼルエンジンの振動が心地よく、車内は、進行方向左側が4人掛けの向かい合わせのボックスシート、右側が2人向かい合わせのカップルシート?、両側4人掛けではないのは、朝夕の通学時間帯の混雑時に立って乗るお客さんのスペースを確保するためとおもわれます。そしてドア付近は3人掛けのロングシートです。ぎりぎりの乗車だったので、ボックスシートにはそれぞれ一人ずつお客さんで埋まっていたので、私はロングシートに荷物を置いて、運転席の横の前方車窓の見える位置に陣取りました。子供の頃から変わらない特等席です。
 リコーダーを強く吹いたような汽笛を鳴らして、15時55分定刻に列車は出発しました。