アシカに罪はないけれど・・・

2023年02月11日 | 日記・エッセイ・コラム
当院では、インフルエンザA型が増えてきています。
新型コロナ感染が一段落したことは良い傾向ですが、発熱や咽頭痛などの症状は、現状の新型コロナ感染よりもインフルエンザA型の方が辛いのと、それ以上に心配なことがあります。
この秋から冬にかけて、国内各地の養鶏場で鳥インフルエンザが発生し、大量の鶏が殺処分されたという報道を目にすることが増えています。
鳥インフルエンザはA型インフルエンザの一つで、特にH5N1型の鳥インフルエンザは呼吸器だけでなく全身の細胞に感染し、宿主を死に至らしめるたいへん病原性の高いウイルスです。
そしてA型インフルエンザはB型に比べて変異を起こしやすく、種を越えて(ヒト、ブタなど)感染を起こす可能性があります。
現在国内でのH5N1型インフルエンザのヒトへの感染は報告されていませんが、2月9日にペルーから気になるニュースが入ってきました。

AFP=時事通信によると、
ペルーの国立自然保護区管理事務局(SERNANP)は2月7日、アシカ585頭と野鳥5万5000羽が、鳥インフルエンザA(H5N1)に感染し死んだと発表した。
ペリカンや海鳥、ペンギンなどの野鳥の死骸が発見されたのは沿岸保護区域8か所。その後、7か所の区域でアシカが死んでいるのが見つかった。
森林野生動物局(SERFOR)は、自分だけではなくペットも含め、海岸でアシカや鳥に接触しないよう呼び掛けている。
ペルーでは昨年11月、ペリカンから高病原性の鳥インフルAが3例確認されたことから、180日間に及ぶ警報を発令している。

まず、野鳥から哺乳類のアシカにH5N1インフルエンザが感染したことは間違いなく、更にアシカが集団死亡していることから、H5N1のアシカ→アシカ感染が起こった可能性は否定できません。
H5N1が、種を越え(鳥類→哺乳類)、超えた種内(哺乳類→哺乳類)での感染力を持ったとすれば、鳥→ヒト感染が起こることは時間の問題ですし、そこからヒト→ヒト感染のパンデミックにつながるかもしれません。
まず、路上などで死んでいる鳥類には絶対触らないこと、子供たちにも死んだ鳥をみつけても「鳥さんのお墓」を作ってはいけません、と教えなくてはいけません。
もっと怖いのは、同じ哺乳類のアシカからヒトへは、鳥からヒトよりもうつりやすいのではないか、ということ。
アシカは人になつき易いので、水族館などでは、プールでアシカに芸をさせて、ご褒美に指導員が手ずから餌を与えるアシカショーがよく行われていますが、これはちょっと気を付けた方がいいのでは、とおもった次第。