一筆啓上せしめ候5 渦巻きは一筆書きできない

2023年06月10日 | 日記・エッセイ・コラム
 上野駅の地下ホームを出発した東北新幹線が、日暮里駅付近でゆっくりと地上に出ると、ほどなく進行方向右手に「あみ印炒飯の素」の看板が見えます。あみ印食品工業株式会社が本社ビルの屋上に設置している看板です。
 「あみ印炒飯の素」は私が子供の頃からある粉末の調味料で、フライパンでご飯を炒めながらあみ印炒飯の素を一袋を振りかけると、香ばしさが立ち上がり、お米の表面がつやつやと薄褐色を帯びた炒飯が出来上がります。甘味と塩味、そしてスパイシーさが絶妙で、私はフライ返しでフライパンの底にご飯を押し付けて、少し焦げたところを食べるのが好きです。そしてあみ印炒飯の素はお湯に溶かすとスープにもなります。アルミ製の外袋に小分けした粉末が6パック入っていて、外袋には、縁に中華っぽい模様のある正八角形の皿に、お玉で丸くこんもりと盛り上げた炒飯の絵柄、これはずっと変わらずに、今もスーパーに並んでいます。昔は袋のあみ印のロゴマークを20枚?集めて送ると、あみ印炒飯の素を一袋送ってもらえるというサービスがあったのですが、今も続いているかしら?
 ちなみに中華皿やラーメンどんぶりの縁の模様、二つの渦巻きの組み合わせがぐるっと並んでいるあの模様は「雷紋」と呼ばれ、豊作、吉祥の象徴ですが、残念ながら一筆書きではありません。
 1952年創業のあみ印食品工業株式会社は「あみ印炒飯の素」一筋かとおもいきや、実は炒飯の素以外にもいろいろな商品を販売されています。社名の由来は投網好きの創業者が「一網でいろいろな魚や貝などが捕れる=一社でいろいろな美味しいものが味わえる」という意味で名付けたとのことで、半世紀に及ぶ己の不明を恥じる次第。
 田端のランドマーク「あみ印炒飯の素」を過ぎると、新幹線はのろのろと大宮駅に到着し、大宮から本領発揮、スピードを上げてあっという間に餃子の街、宇都宮です。エア炒飯と餃子を肴に、ビールが残りわずかとなりました。