ダーゼンを悼む

2011年02月28日 | 日記・エッセイ・コラム

 消炎酵素剤ダーゼンが、製造販売元の武田薬品により自主回収され、今後処方することができなくなりました。

 ダーゼンは、痰を切る効果や炎症を和らげ痛みを取る効果が効能として謳われ、40年以上使われてきた薬です。

 経口薬は消化管から吸収され、その有効成分、もしくは代謝された有効成分が、血液中に一定時間、一定濃度を保つことで効果を発揮しますが、ダーゼン(薬品名セラペプターゼ)を服用しても、セラペプターゼやその代謝物が血中から検出されないことなどから、その効能はかなり前から疑問視されていました。

 武田薬品が、慢性気管支炎と足関節捻挫の患者さんに対して、ダーゼンと、全く薬効のない偽薬を投与した2群の効果を比較する試験を行い、両者で効果に差が認められなかったため、ダーゼンは「効かない薬」と判断され、今回の自主回収となりました。

 ダーゼンは副作用が少ないことから、当院でも処方していました。ダーゼンご指名で希望される患者さんもいらっしゃいました。そして、わたし自身も、服用していたのです。かぜ気味でのどや鼻が詰まったようなときには、恥ずかしながら、とてもよく効きます。今回の試験でダーゼンが効いていたのではなく、私が暗示にかかりやすいだけだった、ということがわかったのですが、40年間だましつづけたダーゼンの実力は、最新のお薬にも負けない、といえるとおもいます、ホントに。

 


極道の奥さん?

2011年02月18日 | 日記・エッセイ・コラム

 「極道の妻たち」、も間違った使い方ですか? 患者さんから、ご質問を受けました。

 自分の配偶者を人に話すときは妻、と前回のブログに書いたのですが、妻は女性の配偶者一般を指す言葉なので、「極道の奥さんたち」や「金曜日の奥さんたちへ」のように直さなくても〇です。ただ、聖書に「妻たるものよ。夫に仕えよ」とあるように、どうも妻という言い方には、見下ろし目線のニュアンスがあるので、使い方は難しいですね。

 加山雄三の曲に「お嫁においで」というのがありますが、これも〇だとおもいます。しかし「ぼくのお嫁になって」、は×。「ぼくの奥さんになって」、なら〇、「僕の妻になって」はなんとなくおかしいですね。「俺の妻になれ」、ならOKなのは、やはり目線の問題なのでしょう。


うちの嫁の話

2011年02月10日 | 日記・エッセイ・コラム

うちの嫁も同じような症状で、と言われ、一瞬 ? となりました。患者さんは20代の男性。嫁は自分以外の人、特に身内からみた家族の配偶者を指す言葉で、息子の嫁とか、兄貴の嫁さん、というのが正しい使い方。他人からみた男性の配偶者は奥さん。だから、うちの奥さんというのもおかしいのですが、こちらは誤用が馴染んでしまったようで、うちの嫁、のような違和感は感じません。自分の配偶者を人に話すときは妻が正しいのですが、親しい間で、うちの妻が、とはあまり言いませんよね。診察室では、うちの嫁が、というのは30代以下の若い世代の方がほとんどで、奥さんは50代以下。60才以上の方は正しく妻が、とおっしゃいます。言葉の使い方の正誤はさておき、男性が自分の配偶者をどう呼ぶかで、そのカップルの人間関係が垣間見えますね。