かつて問題になった「~の方から」や「~でよろしかったでしょうか?」はずいぶん減ってきましたが、スーツを着た一流企業の営業担当者の口から「ぶっちゃけ」や「めっちゃ」「ほぼほぼ」が飛び出すと、部屋から追い出したくなります。
若い男の人が自分の配偶者のことを「嫁が~」と言うと教養がない感じがしてしまうし、「絶対」を繰り返されると、この宇宙で絶対、と言えることは数学の定理以外無いぞ、と身構えてしまう。
著者は忘れてしまいましたが、「頑張る」の蔓延を憂う古いエッセイを読んだことがあり、(価値のないことに)我を張るという否定的な言葉が、肯定的に誤用されていく違和感を訴えていました。今、頑張るに近いのは「こだわる」。(価値のないものに)拘泥する、という負の言葉のはずが、店主こだわりの逸品、みたいな表現がまかり通っています。
言葉づかいは、話す内容以上に、その人そのもの、だとおもいます。
映画「マイフェアレディ」は言語学者が田舎娘の言葉づかいを矯正して淑女に育てる話で、原作はバーナードショーが英国の階級社会を揶揄した「ピグマリオン」という戯曲。源氏物語でも、桐壺帝の孫ながら受領の娘として育てられた浮舟が、面差しは姉の大君に似ているものの、お育ちの悪さが言葉づかいに出ていて、薫も匂宮もそれを馬鹿にしながらもその蓮っ葉さに逆に惹かれていく。私の語学力では、原作の言葉づかいによる描き分けの妙を味わえないのが残念ですが、言葉はキャラクターを表すという好例だとおもいます。
私は「こだわる」には違和感を感じるので、本来の意味以外で使うことはありませんが、すでに祖父母世代で「前畑頑張れ!」ですから、「頑張る」は違和感なく出てしまうため、これは意識して使わないようにしています。
きれいな言葉を使おうとするよりも、汚い言葉を使わない、特に自分の世代や環境では不自然さを感じないけれど、誤用が転じた言葉など、きれいではないと感じる人がいる、いた言葉を、自分の語彙から排除することが大事だとおもいます。
そんなことに「こだわっている」私が先日衝撃を受け、そして赤面したのが、
日本航空では「小さい『っ』を使わない」ように社員教育をしているというお話。
促音は、「かつて」が「かって」になるような、話し言葉による変化で、平安末期までは表記法もないので、おそらく貴族層では使わない言葉なのだとおもいます。
私は『っ』が多い。一番多いのが「ちょっと」。注射するときに「ちょっと我慢して」、大腸検査しながら「もうちょっとだから」・・・、一日に何回使っているかわからない。
汚いですね、これは。
高齢の患者さん、高齢でなくても意識の高い方には、かなり耳障りな言葉を繰り返してきたかとおもうと、いたたまれなくなりました。
「出発便は欠航です」はどうするの?なんて揚げ足をとらずに、
「ちょっとそっちで待っててください」を「しばらくそちらでお待ちください」に言い換えてみてください。自分が一ランク上の人になった気分がしませんか。
頑張って『っ』を絶対使わないことにこだわりたいとおもいます。
若い男の人が自分の配偶者のことを「嫁が~」と言うと教養がない感じがしてしまうし、「絶対」を繰り返されると、この宇宙で絶対、と言えることは数学の定理以外無いぞ、と身構えてしまう。
著者は忘れてしまいましたが、「頑張る」の蔓延を憂う古いエッセイを読んだことがあり、(価値のないことに)我を張るという否定的な言葉が、肯定的に誤用されていく違和感を訴えていました。今、頑張るに近いのは「こだわる」。(価値のないものに)拘泥する、という負の言葉のはずが、店主こだわりの逸品、みたいな表現がまかり通っています。
言葉づかいは、話す内容以上に、その人そのもの、だとおもいます。
映画「マイフェアレディ」は言語学者が田舎娘の言葉づかいを矯正して淑女に育てる話で、原作はバーナードショーが英国の階級社会を揶揄した「ピグマリオン」という戯曲。源氏物語でも、桐壺帝の孫ながら受領の娘として育てられた浮舟が、面差しは姉の大君に似ているものの、お育ちの悪さが言葉づかいに出ていて、薫も匂宮もそれを馬鹿にしながらもその蓮っ葉さに逆に惹かれていく。私の語学力では、原作の言葉づかいによる描き分けの妙を味わえないのが残念ですが、言葉はキャラクターを表すという好例だとおもいます。
私は「こだわる」には違和感を感じるので、本来の意味以外で使うことはありませんが、すでに祖父母世代で「前畑頑張れ!」ですから、「頑張る」は違和感なく出てしまうため、これは意識して使わないようにしています。
きれいな言葉を使おうとするよりも、汚い言葉を使わない、特に自分の世代や環境では不自然さを感じないけれど、誤用が転じた言葉など、きれいではないと感じる人がいる、いた言葉を、自分の語彙から排除することが大事だとおもいます。
そんなことに「こだわっている」私が先日衝撃を受け、そして赤面したのが、
日本航空では「小さい『っ』を使わない」ように社員教育をしているというお話。
促音は、「かつて」が「かって」になるような、話し言葉による変化で、平安末期までは表記法もないので、おそらく貴族層では使わない言葉なのだとおもいます。
私は『っ』が多い。一番多いのが「ちょっと」。注射するときに「ちょっと我慢して」、大腸検査しながら「もうちょっとだから」・・・、一日に何回使っているかわからない。
汚いですね、これは。
高齢の患者さん、高齢でなくても意識の高い方には、かなり耳障りな言葉を繰り返してきたかとおもうと、いたたまれなくなりました。
「出発便は欠航です」はどうするの?なんて揚げ足をとらずに、
「ちょっとそっちで待っててください」を「しばらくそちらでお待ちください」に言い換えてみてください。自分が一ランク上の人になった気分がしませんか。
頑張って『っ』を絶対使わないことにこだわりたいとおもいます。