へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

人には人の進む道

2016-02-09 10:57:20 | へちま細太郎

たかのりだよ~。
つくばった大学の医学部受験を目指して日夜がんばってます。
受かるまで受けろ、と親に言われたので、来年以降も頑張る予定です。
もっとも、来年受ける時には、実力もあがっていることと思うので、もっとランク上をめざします。

細太郎のやつが、何を思ったか、一緒につくばった大学を受ける、と言いだした。
「医者になるんかい」
と聞けば、
「意地でもならない」
と返ってきた。
「とりあえず、農学部」
「だったら医者になれよ」
「いや、ならない」
「去年受けた大学にしないのかよ」
「あそこは、イメージ悪くなった」
「ああ、ゲス…ね?」
年明けからの芸能界の騒動を思い出して、うなづいた。
別に、大学が悪いわけでもないだろうに、あのキノコヘッドのバンド野郎を思い浮かべた。
「俺はあんな卑怯な男は好きじゃないんだよ。けじめもつけられないような奴がかかわった場所も歩きたくない」
うわあ、なんなのこの極端な性格。別に、あのハーフの三十路のファンでもないだろうに。
「彼女の方の肩を持つ気もないよ。ふたりそろって地獄に堕ちろ」
「おまえね…」
「地獄に堕ちろっていえば、清原も落ちちゃったなあ」
「おまえ、ああいうのは救わないの?」
細太郎は、赤本を閉じてシャーペンをくるくる回す。
「俺は地域医療を目指すの」
「ふうん。。。でも、まじで子供かわいそうだなあ。思春期だろ?立ち直るには相当時間かかりそうだね」
「いい友達がいるといいなあ」
「そうだなあ」
俺たちみたいに、と気がつけば地元には2人しか残っていない。他の3人は、現役で大学に入学し、たかのりとみきおはそれぞれの大学に入学し、同じ学生専用マンションに住んでいる。しんいちは合宿所だ。
人には人のすすむべき道ってあるんだろうな、と清原と桑田のドラフトをなぜか思い浮かべて、って、実際には知らないけど、なんとなくそう思った。
今度こそ、受かろうな。


今週は、バレンタインデーがある

2016-02-08 18:00:15 | へちま細太郎

藤川だ。

毎年、この時期になると、男どもがそわそわするのは、中学生とオヤジだけだ。
オヤジも年齢があがってくると、若いねーちゃんたちからばらまかれるチョコレートの中に、本命じゃね?というのを期待しているバカもいる。
他の人よりラッピングがかわいいとか、高いとか、そんなことでそわそわドキドキといい年して妄想を膨らませているドスケベおやじもいるだろう。
だけど、考えてみよ。
加齢臭だらけのオヤジに抱かれて喜ぶ女はいるのか?
古女房を叩きだして結婚しても、介護してくれる保証もあるめえ。
俺だってイヤだ。
しかも、古女房に慰謝料を大量にふんだくられ、せっかく建てたマイホームも、慰謝料の一部としてとられてしまう。それでも、若い女房がいいとばかりに前妻の無茶な要求を聞き、さあて結婚しようとプリのもとへ行けば、
「え?お金ないの?」
と、あてが外れた顔をされてフラレて終わりだ。
あながちな恋などしてはだめだな、と反省して家に帰れば、
「更地~!!」
と絶叫するだけさ。
と、タコ壺でぼやけば、
「あんたの未来図だよ」
と、にべもない答えが返ってきた。
タコ壺よ、仮にもあんたは俺の女だったんだ、そんな冷たい言い方はないだろう。
ふん。
バレンタインデーなんぞなければいいんだ、バカ野郎。


孝太郎くんもなんだね

2016-02-06 15:19:49 | へちま細太郎

孝太郎だよ。

院が小休止したので、とりあえず帰ってきて大おばあさまに会いにきてみりゃ、スキンヘッドのヤンキーおやじが、客間でごろごろしていた。
おつきのおばさん…この人は長野さんっていうんだけど、彼女が言うには、
「子ブタちゃんが隠し子じゃないかって疑われて追い出されたみたいですよ」
ってことらしい。
「子ブタ?誰だ、そりゃ」
「細太郎君の性格のとてつもなく悪い彼女のストーカーになった…」
「ああ、あいつか~、てか性格の悪い彼女って、はるみのことか?あいつ、そんなに性格悪いのか?」
小さいころから細太郎を知っているだけあって、そんな性格の悪い彼女を作るとも思えないんだが…。夏に会った時には、そんなに悪い子ではないぞ。
「たあくんが、追い出されたのは、細太郎君と彼女が来たからだって、たあくんがおっしゃるのよ」
大おばあさまが、くすりと笑う。
「はるみは多少口は悪いが、根は悪い子ではないと思うぞ。むしろ、性格に問題あるのは細太郎だと思うんだけどな」
「おまえもそう思うかっ!!」
と、突然、ふすまが開いて、悪趣味な恰好をしたヤンキーオヤジが飛び出してきた。
「な、あのガキは、ほんとクソガキだろ?」
俺は、ヤンキーおやじの頭のてっぺんからつま先まで一通り眺めて、
「清原かと思ったぜ」
と、つぶやいてやった。
「うるせえ、一緒にするなっ!!」
「いや、十分に似たようなもんだと思うがな、よくそれで、藤川家の菩提寺の副住職なんぞやってられんな」
「なんだと?」
「ほれ、すぐキレる。なんなら、あんたんとこのここみか、ここあのどっちかを、あんたの甥っ子と婚約させたらどうだ?」
「なんだとおおおおおおおおおおお」
「これで、後継ぎも心配ないな」
「あんなクソガキ~!!おれの大事なここみとここあは、嫁にはやらん~」
「あらあらまあ」
大おばあさまと長野さんは、くすくすと笑ったが、俺は鼻で笑ってやったね。
ふん、しばらく痛い目にあえってんだ、好き勝手なことばかりやってきた罰だ。



清原、逮捕

2016-02-03 00:33:29 | へちま細太郎

細太郎です。

しんいちからメールが入ってた。
ショックだったみたいだ。
いろいろと言われていたけど、ちょっとは信じていたみたいだ。
「やっぱり、野球バカはよくないんだな」
野球は高校から始めたしんいちは、清原に興味はなかったようだけど、でも、超一流の選手の末路には愕然としたんだとか。
「でも、ま、俺、4年間は約束だから野球やるけど、ちゃんと勉強しなおして大学入りなおすよ」
何を思ったか、4年間も大学いったのにまた違う大学に入りなおすだと?
「だって、もっと数学のレベルの高い大学いきたいじゃん」
数検の準1級をとったしんいちは、野球部でも一目おかれているらしい。
そうか、みんなちゃんと考えているんだなあ。。。
希代の英雄の転落に、人生をちょっとばかり見つめなおしてみた。
大学決めなきゃな。


危ないバカ

2016-02-01 13:21:25 | へちま細太郎

東山よ、匿名希望もとっくの昔に忘れたわいな。

さて、先週の土曜日から、セクシー大下とダンディー鷹山の映画が始まって、さっそく桜井先生と空中に漂っている鎧かぶとのおじさんと見に行ってきたわよ。
面白かった、の一言に尽きる。
見に行ったのはええんやけど、どうも年代的にかなりの上の層の方々が多かったのは否めないわね。でもって、やっぱりうちの学校でも体育科の連中が大挙してみにいったようで…。
ダンディー鷹山をまねてサングラス姿で保健体育の授業にのぞみ、気障な捨て台詞を吐いてはキモイを連発され、軽くステップを踏みながら廊下を闊歩すれば、段差で転んで保健室に湿布を貼りに来るアホがいるんだそうだ。
高校の布川先生が、呆れてものが言えないとため息をついていた。
「アホと言う言葉は関東では甘い、ちゃんとバカといいなよ」
という言葉に少々抵抗はあるんだが、しかし、
「確かにアホちゃうわな。バカという言葉にぴったりや」
と、何気に外をみれば、田舎っぺ大将片山とカールおじさん中島の二人が、モデルガン片手にステップらしきものを踏みながら、遊んでいた。
「ありゃ、今にぎっくり腰で救急車だね」
布川先生は、さらに深いため息をついたのであった。
と、オチ言おうかと思ったら、外で爆音がする。
「ん?」
保健室の外へ出てみれば、スキンヘッドのバカが750を手放し運転して、やってきた。
「細太郎いるかあ、バカ野郎!!」
と、モデルガンのライフルを構えていたんだが、
「理事だからって、校内をそんなナリで走るな」
の大声とともにサッカーボールが飛んできて、スキンヘッドはモデルガンを飛ばされたあげく、慌ててハンドルを握ったものの、植え込みにつっこんでしまった。
「だめだこりゃ」
怒り心頭のけんちゃん先生と、唖然としている片山・中島コンビ、頭に擦り傷こさえて立ち上がった副住職と、なんともはや危ないバカばかりだな、と思ったタコ壺便りでした。
てか、ここ学校だろ~!!
「ふっ」
振り返れば、我関せずに赤本のページをめくっている細太郎が、軽く鼻で笑っている姿があった。
う~ん、こいつの方が危ないかもしれん。。。