へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

孝太郎くんもなんだね

2016-02-06 15:19:49 | へちま細太郎

孝太郎だよ。

院が小休止したので、とりあえず帰ってきて大おばあさまに会いにきてみりゃ、スキンヘッドのヤンキーおやじが、客間でごろごろしていた。
おつきのおばさん…この人は長野さんっていうんだけど、彼女が言うには、
「子ブタちゃんが隠し子じゃないかって疑われて追い出されたみたいですよ」
ってことらしい。
「子ブタ?誰だ、そりゃ」
「細太郎君の性格のとてつもなく悪い彼女のストーカーになった…」
「ああ、あいつか~、てか性格の悪い彼女って、はるみのことか?あいつ、そんなに性格悪いのか?」
小さいころから細太郎を知っているだけあって、そんな性格の悪い彼女を作るとも思えないんだが…。夏に会った時には、そんなに悪い子ではないぞ。
「たあくんが、追い出されたのは、細太郎君と彼女が来たからだって、たあくんがおっしゃるのよ」
大おばあさまが、くすりと笑う。
「はるみは多少口は悪いが、根は悪い子ではないと思うぞ。むしろ、性格に問題あるのは細太郎だと思うんだけどな」
「おまえもそう思うかっ!!」
と、突然、ふすまが開いて、悪趣味な恰好をしたヤンキーオヤジが飛び出してきた。
「な、あのガキは、ほんとクソガキだろ?」
俺は、ヤンキーおやじの頭のてっぺんからつま先まで一通り眺めて、
「清原かと思ったぜ」
と、つぶやいてやった。
「うるせえ、一緒にするなっ!!」
「いや、十分に似たようなもんだと思うがな、よくそれで、藤川家の菩提寺の副住職なんぞやってられんな」
「なんだと?」
「ほれ、すぐキレる。なんなら、あんたんとこのここみか、ここあのどっちかを、あんたの甥っ子と婚約させたらどうだ?」
「なんだとおおおおおおおおおおお」
「これで、後継ぎも心配ないな」
「あんなクソガキ~!!おれの大事なここみとここあは、嫁にはやらん~」
「あらあらまあ」
大おばあさまと長野さんは、くすくすと笑ったが、俺は鼻で笑ってやったね。
ふん、しばらく痛い目にあえってんだ、好き勝手なことばかりやってきた罰だ。