へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

鬼の撹乱3

2009-10-30 19:50:30 | へちま細太郎
ピカイチだ。

ただでさえぬぼ~っとしているのぶちゃんが、朝から目が虚ろになっていた。
「熱が37度8分もあるの?じゃあ、帰りなさいっ
と、中学校の保健室のおばさんに怒鳴られとりあえず早退しようとしたら、
「帰ってくるなって言われたんだ」
と、事務室にきてでかい図体をソファーに横たえながらボソッと文句を言った。顔が熱で赤い。相当上がってるに違いない。
「そりゃそうだ、法華ねえさん7ヶ月だもんな
「8ヶ月だ、今度は女の子だぞ
と、ぬぼ~っと話す。
「どこにも嫁になんかやらないからな」
「あんたね…
まだ生まれもしないうちから何なんだ、この唐変木は…。
「とりあえず、病院へ行けよ、インフルエンザだったらマズイだろ、帰れ帰れ」
と、事務長が追い立てる。
「フラフラする」
と、言いながらも立ち上がり、
「インフルエンザだったら帰れないなあ~
と、虚ろな目をこちらに向けた瞬間、
「あっ」
というまにひっくり返ってしまった。
「ありゃあ」
と、そんなわけで救急車を呼ぶはめになり、新型と診断されたのぶちゃんは高熱のため入院してしまった。 おかげで濃厚接触者となった法華ねえさんも病院にかけつけ、のぶちゃんの見舞いにも行かずにこちらも念のため入院することになったのだ。藤川先生は、
「だからあいつと関わりたくないんだ」
と、ぶつくさ文句を並べてキレまくっていたことは言うまでもない。
ところで、
「人騒がせなやつじゃのぉ」
と、どこからともなく聞こえてきたのは 、きっと気のせいだろうな。


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