へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

今日もめいっぱい汗流し

2011-04-06 23:30:14 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

本堂が屋根を残して一応きれいになったところで、ぼくたちはやっと解放される、と思った。
ところが、
「庭の池がまだだ」
と、バケツと網を渡された。
「どうも、ひび割れて水が抜けているように思える」
早い話、ひび割れにかこつけて池掃除をやらせようっていう魂胆みえみえ。
紀藤造園のおっちゃんも、
「この人数だから、金魚もすぐに捕まるだろう」
と、うなづく。
「金魚?え?」
「錦鯉じゃねえの?」
先輩たちも、びっくり。
「錦鯉?金魚すくいでとった金魚を放したら育ったのなんの」
住職さまは高笑い。
「おまけに、ランチュウを放り込んでいったやつもいてな、これも増えて金魚すくいと交配しちまってわけのわからん金魚になってしまった。。。」
「出目金もいるしな。色とりどりだ」
紀藤造園のおっちゃん、またもうなづく。
「よって、まさしくこの池を放生池という」
「…」
ぼくたちは、住職様のありがたいダジャレを受け流し、放生池とやらの巨大金魚を全員でとっつかまえにかかり、池の修繕を手伝い、泥まみれになったあと、ドラム缶でわかしたお湯をめいっぱい風呂に入れ、かわるがわる汗を流したのであった。
「う~ん、なんでこの寺の風呂はでかいんだ?」
「昔の名残りらしいよ。たくさんのお武家さんたちや庶民の人たちが入りにきたらしいよ」
近所の人たちも、かわるがわるお風呂に入りに来てはさっぱりして帰っていった。
これぞボランティア、といいたいけど、何本ものドラム缶にお湯をわかして何度も運び入れるのは、ぼくらなんだけどなあ。。。
「ゾク仲間を呼べや、田舎ヤンキー」
孝太郎さん、けっこう先輩もこわいです。。。



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