へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

にじいろ

2014-12-31 21:55:48 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です。

冬休みに入り、剛おにいちゃん家族も帰ってきて、ずいぶん賑やかになった。リカがいないことで、剛おにいちゃんもがっくりきて、

「シャカイも寂しいだろう」

と、シャカイを抱きしめておーいおーい泣いていた。

大晦日の今日は、受験勉強を取りやめて大掃除を手伝い、久しぶりに現れた鎧兜のおじさんも、どういうわけか剛おにいちゃんの奥さんに見つかって、こき使われていた。

あんまし役にたっていなかったけどね。

朝ドラの花子とアンの大ファンだった鎧兜のおじさんは、

「教育を受けさせたい、という父親がいなければ、赤毛のアンも生まれなかったろう」

という。

「おじさんは、赤毛のアンを知っているんだ」

「読んだぞ。まあ、なんだな、ちょいとこそばゆい話ではあったがの」

「ふうん」

赤毛のアンは、はるみも好きだった。

ぼくは、テレビの紅白から流れてきた絢香のにじいろをきいて、はるみと過ごしたクリスマスのことを思いだして、ちょっぴりこそばゆくなった。

「なんだ、どうしたんだ?」

おじさんに顔を覗き込まれて、ぼくは思わず赤くなってしまった。

おじさんは、面白そうな表情で、ぼくをみていたが、

「そばをもらおうかの」

と、ふわふわとんでいってしまった。

ぼくは、もう一度問題集を開いて、来るべきセンターのためにすべてを振りきった。

今年もお世話になりました。


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