へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

京さんのお仕事

2010-04-21 17:11:20 | へちま細太郎

京だよ、尼御前さま、と、おいい

大学の中島教授がこの私を呼びつけて、何を言い出すのかと思ったら、
「紀藤造園に、学生の引き取りをしてくれんかな」
というではないか。早い話、
「何、就職の世話をしろってか」
中島教授の弟子は、確かにこの変わり者の下にいるだけあって、根性はあるだろう。
話をしてやらんでもないが、物を頼むのにわざわざ呼び出すったあ、料簡違いじゃねえのか。
「いや、行ってお願いしたいのはやまやまなんだが…。このところの体調不良で腰の具合がな」
と、情けない声を出す。
「じゃがいもの植え付けもままならん…」
「何言ってんの、そりゃあ、サッカー部の仕事だろうが」
「立場上…」
こいつが私にこんなへこへこした態度をとるにはわけがある。棒斐浄寺に生えていたカタクリを盗んだあげく、枯らしやがったんだ。増やして返す、と平身低頭したんだが、枯らしてしまった。
「ふうん、そりゃ、気の毒だな。ま、おやじには話しておいてやるよ」
と答えたものの、やっぱりこのマッドサイエンテストの顔を見たらムカついたので、帰りがけのだちんに、あの不気味な蘭を蹴っ飛ばして鉢ごとケ倒してきた。
け、ざまあみろ。。。



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