へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

釣り人知らず6(改訂版)…あとから気づいて訂正しました

2021-09-24 11:12:14 | へちま細太郎

あんたら、ここで何してんの?とツッコミ入れてる細太郎です。

突然の登場に、開いた口がふさがらない俺は、このどーしよーもない先輩たちに何と声をかけてよいのかわからん。てか、あんたら部外者だろうが。てか、孝太郎先輩なにしてんの…。
「警備員の西村です。バイトです。今、大学の関係者でない方の構内の立ち入りはお断りしておりますが」
「お、おれたちは関係者だ、ここに勤めている」
「ばああかもん、わしを知らんくせに何をいうかっ!!」
とうとう吾輩じゃなくなった。
「おい、そこにいるのは小栗に水嶋だな、西村と何をたくらんでいる」
「なんだ、なんだ、さっき計理士と司法書士っていってたぞ」
釣りオヤジも突っ込む。
「アメリカの某大学に行って弁護士の資格も得ようと思っている。金かしてくれ、踏み倒し前提だがwww」
水嶋先輩、何考えている。
「あんな、この大学で警備しているのは、俺の資産もこの大学にあるからだ。それに、今のこのご時世に休日に部外者が釣り目的で入っていいという理屈はない。関係者?ふざけるな、俺たちはこの大学の関係者、在校生、ここ数年の卒業生の顔も頭に刻み込まれている。お前たちは関係者でも卒業生でもない。しかも、卒業生も事前許可がないと構内に入れない。つまり、おまえらは不法侵入者だ。しかも、ここにどうやって侵入した。さらに、世界的に有名な中島教授のバイクを窃盗している。さっき、警察に問い合わせたら盗難届も出ていた。もはや言い逃れもできない。警察が来るまで、おい、細太郎、こいつらを捕まえて置け」
西村先輩、さすが説得力ある。
「捕まえるっておまえら警察ではないぞ」
オヤジがそれでも逃げようとするのを、後ろから回った研究室の後輩が、オヤジたちを後ろから羽交い絞めにした。
「ばあか、何も捜査機関だけが逮捕できるわけじゃない、おまえら盗難届の出ているバイクを所持していたじゃないか、持主が見つけたんだ現行犯だ」
小栗先輩がぐいっと前に出て、
「いいか、おまえら羽交い絞めはやめろ、そのままそいつらを取り囲んでいろ、殴るなよ。それ以上はするな」
と強い口調で命じてきて、さらにポケットから名刺を取り出すと、
「すいませ~ん、弁護士予定です。司法書士でもあります。ご用命はいつでも承ります」
「同じく、税理士で弁護士予定の水嶋です」
こちらも名刺を差し出し、オヤジたちを激怒させ、俺たちは呆れかえってしまった。
「なんだ、おまえら弁護士になっとたんだ」
中島教授はあきれ顔で名刺を受け取り、二人の顔を眺める。
「二人とも2回落ちました」
「来年ニューヨーク行きます、で、国際弁護士目指します、だから金貸してください、踏み倒すけど」
減らず口も変わらない二人は、これでも美都地区豪農を誇る農家の息子だ。
釣り人のおっさんたちは、駆け付けた警察官に連行されていったが
「だあれがおまえらみたいなやつに弁護を頼むか、ふざけるな!!」
と、怒鳴り散らしていた。
「バカなやつらだ」
「うん、計理士と司法書士以外は、口から出まかせなんだが、まあ、合格したのは間違いないしな、名刺も教授の見間違いだし」
孝太郎先輩は、そうつぶやき、
「どおれ、バイトにもどっか」
と、去っていった。
「なんなんだ」
俺たちは、池の中から呆然と見送るだけだった。
一応、解決したんか、これ…。


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