へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

蘭は高いな不気味だな

2006-06-05 21:30:41 | ひるまのもめごと

俺はロナウド=憲一郎。ハットトリックは、はるか昔の中学時代に1回経験ずみ。

って、そんなことじゃないだろう。。。

のぶちゃんが、中島教授の大切な蘭を割ったらしい。どの程度の被害なのかは、想像もつかないが、とにかく中島教授を怒らせたらしい。
「まったく、たかだかナメクジが手に触ったくらいでビビりやがって
中島教授は、さも今目の前でのぶちゃんが蘭の鉢を割ったごとく、またピンセットを振り回し始めた。
あぶなくてたまらない。。。
「はあ、ナメクジねえ。。。」
俺は、いきなりナメクジが手ににょろっときたら、誰だってびっくりするだろうと思った。
「で、被害はどれくらい?」
白いヤツがおそるおそるたずねると、
「何、植え替えただけだから、鉢一個分だな」
と、あきれた答えが返ってきた。
「鉢一個分?」
「って、どれくらい?」
俺は、目の前の蘭の鉢を蹴倒したい気分になってきた
「さあてな。あれは、相当前からあったものだから、わからん」
って、それ、すでにどうでもいい値段じゃんか。
「花も葉も全然折れてはいなかったから、それじたいには被害はなかったんだけどな。たっぷり脅かしたら、ビビッてしまってなあ」
今度は、打って変わってにこやかだ。
なんか、面白がってねえか、このオッサン。
「もしもし、中島教授?・・・では、あなたは、何で怒りを覚えたわけですか?」
ほんとに蹴倒したい気分になるのを抑えて、中島教授の左手で肩を叩いた。右手は、こぶしが握られている。
「ああ、そうだ。。。あれは、衣笠米穀店の奥さんがまだ独身だったときに、彼女からいただいたものなんだなあ。僕は、今の妻と見合いをしたばかりの時で、彼女も衣笠米穀店の一人娘で遠縁の青年と婚約間近かと言われていた時だ。。。」
中島教授は、遠い目をして、昔の若き日を思い浮かべているようだ
衣笠米穀店って、昔は豪農で聞こえた大地主だった名家中の名家だ。まさか、そこの奥様と、この教授が大恋愛をしていたというのか?

しかし、あの奥様は・・・

白いヤツを横目で窺うと、顔面が引きつっている
衣笠米穀店の奥様を知っているからこそ、の表情だ。
中島教授は、目の前の鉢を取った。
「これが、私と彼女の若き日の思い出だ
教授は、鉢を俺たちに向って差し出した。

うげええええええええええ。。。。

ショックなので、つづく。。。




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