へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

まだまだ不安な日常

2021-03-27 11:35:48 | へちま細太郎

こんにちは、へちま細太郎です。

バイト先の園芸店に頼まれて、藤川農園に行くと、入場制限の看板が立っていた。きけば、悠樹さんの提案で決まったらしい。入場は予めネットで予約。プラス🔟名くらいが当日券で入場できるんだとか。
「ねずみの国じゃないんだから、そこまでしなくても」
という意見もあったけど、感染が怖いご隠居さまが、
「このじじいが感染したら母上に会えなくなる」
の一言で決定したんだとか。
やんごとない生まれのご隠居様の母君様は、100歳を超えた今は藤川家の別荘を施設に変え、そこで療養されている。ほとんど眠っているらしく、もう会うことはできないと思われる。
「こんなご時世じゃなかったら、なあ」
悠樹さんもつぶやくが、この家の要である大おばあさまがいなくなったら、誰がご隠居さまと須庭寺の住職の暴走を止められる。それより、未だにヤンキーが抜けきらない藤川先生と副住職のふたりに自制がきかなくなる。
まあ、それもどうかと思うけどね。
「グラジオラスの球根ね」
と、ネットに大量に詰め込まれた球根を黒マスクとゴーグルの荒波から受け取る。
「おまえ、花粉症発症したの?」
「こんなところにいてみろ、花粉が体内に溜まってカウントダウンも早まったわ」
都会を気取った下町育ちの荒波だがしかし、環七や高速道路の近くに住んでいれば、チリもホコリも十分蓄積されとるわ。
「田舎ぐらしでもへーきなやつはいるけどな」
合鴨の散歩をしているキチローを追いながら、たくましいやつ、と関心もしたのであった。
ほんと、あいつ、元気だよ。別な意味では油断もスキもないけどな😂


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