こんばんは、へちま細太郎です。
運動会が中止になった、というのに晴れてしまった。
台風なんて気まぐれなんもんだ。
「その運動会とやらは、拙者も出てみたいものよの~」
と、ぼやくのは…。
「関が原のおじさん~、お盆はどうしたの~」
ぼくが、おとうさんが飲んでいるジュースに手を突っ込んでその指をしゃぶっている、関が原のおじさんに話しかけた。
と~ぜん、
「細太郎、なに独り言いってんだ?」
と、おとうさんが声をかけてきたけど、いわないほうがいいかもしれない。なぜなら、おとうさんの両隣には、関が原のおじさんと、鎧兜のおじさんがべったりと張り付いていたからだ。・・・。
「いや、別に・・・」
「そうか~?受験ノイローゼか?」
「勉強なんか、してないって・・・」
「そうか・・・」
このくそおやじ。
「ま、怒るな、細太郎よ・・・。明日は、拙者も応援とやらに行ってやるからの」
「好きにしてよ」
ぼくは、ため息をついてここのところ泊まりにきている慶子おねえちゃんと奈々子に目をやった。
奈々子は、楽しそうに近衛少将さんの烏帽子を引っ張っていた。
みえてんのか
「見えてんのよっ」
と、怒っているのは慶子おねえちゃんだ。
「細太郎、あんたなんだってね、このわけのわからない連中を引っ張り込んだのは」
「そんな、濡れ衣だよ~、勝手についてきたんだってば」
「まったく、奈々子の将来に傷がついたらどうすんの。あんたね、変なものが見えたら・・・、あ、そういう商売もありか・・・」
「け、慶子おねえちゃん?」
と、文句をつけたりしていたが、さすがおばあちゃんと気のあう元レディースだけあって、
「こら、あんたもいっぱしの武士なら将棋ぐらいできないのか」
と、将棋盤を持ち出してきて、鳥羽伏見のおじさんと将棋を始めてしまった。
「慶子は・・・、何をやってんだ?」
広之おにいちゃんは、怪訝な表情で慶子おねえちゃんをみていたが、奈々子のきゃっきゃっいうはしゃぎ声にも頭を抱え込んでしまった。
運動会が流れて面白くないけど、こういうのもけっこう・・・面白いかも・・・。
って、普通じゃないよなあ、やっぱり。
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