へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

藤川先生の寂しいクリスマス

2006-12-26 23:29:05 | へちま細太郎
お~い、藤川だよ~。クリスマスはさびしかったよ~

12月25日は、大おばあさまの夫である先々代の命日で、クリスマスどころの騒ぎではない。 いつも通り細太郎の家に行こうとしたら、行き遅れの姉に呼び止められ、
「今日はひいおじいさまのご命日でしょ、どこにいくの?」
と、相変わらずの起きたままの姿できいてきた。
「姉ちゃん、命日なら命日らしくしたら」
「あら、この方がお喜びになるでしょ」
…って、まあ、言うことはわからないでもない。なんてったって、いたく女好きなスケベじじいだったからね。
でも、俺にはそんなことはどーでもいい。 俺は、辛気くさい法事なんかやりたくない。毎年毎年、いつまでも時代を背負った元家臣だという連中が集まって、下へもおかずの態度をするのがうっとおしくてたまらない。
とっとと脱走しようと玄関を飛び出し、駐車場にすっとんで行けば、
「おまえのやることはお見通しだ」
と、じいさんが立っていた。
「このばかもんがあっ
じいさんにしたたかに竹刀でたたかれ、俺は不承不承法事に参加した。
俺は、クリスマスイブに彼女と過ごしたことがないんだあっ。だから、振られまくりの寂しい人生なんだ。
くそじじいどもめ。
クリスマスなんかに死ぬんじゃねえ。


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