「あきれたな、集団痴漢だと」
「そりゃ痴漢じゃないだろう、強姦だろ」
「許せないな、絶対に」
「おまえ、ヤケに力入ってるな」
「当たり前だろ!これが菜々子だと思ったら俺は殺しに行くぞ」
「普通、自分の女房や娘が痴漢されたら怒るよな、他人なら何ともないんだ」
「理性も節操もないのなら、もはや人間とは言わねえだろう」
「痴漢したやつの身内を裸にひんむいてさらしてやれ」
「おまえ、そりゃ言い過ぎだろ」
「じゃあ、痴漢された女性の屈辱感はどうなるんだ?」
「これならどうだ、あれをぶったぎるっていうのは」
「うっ、痛そうだ」
「いいねえ、それ」
「うわっ」
光一、広之、藤川の若殿の会話をきいていた慶子が、包丁を持って3人をすごみのある目つきで睨んでいた。
「さて、大根でも切ろうかなあ~、こいつらはせいぜいゴボウだろうから」
「うっ」
「おまえ、ゴボウなの?」
「バカ、そんなわけねえだろっ」
最近の…というか現代の若者は理解不能じゃな。
だが、あれをぶったぎるっていうのは、わしも賛成じゃな。
ところで、わし鎧甲のおじさんのはゴボウではないからな。
誤解せぬように。
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