へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

一寸

2016-08-15 23:58:08 | へちま細太郎
こんばんはへちま細太郎です。

亮ちゃん曰く、
「一寸みたいなご先祖さま」
とは誰ぞや?
「だれ」
「誰や」
「誰のことか?」
「知らんのぉ」
と、近衛少将さん、鎧甲のおじさん、関ヶ原のおじさん、鳥羽伏見のおじさんのお馴染みの面々は、首を傾げたまんまだ。
「あんたらね、そんなんでご先祖でございますって、威張れるの?」
剛兄ちゃんの奥さん、尋問じゃないんだから。
「近衛少将さん、まずはあなたの奥さんとお子さん、消息教えて貰いましょうか」
「まろが子はのう〜」
あさっての方角を見ながら指折り数えるも、
「はて、都に残して参ったもの、この地にたどり着く途中でもうけたもの、いちいちあげたらキリがないでおじゃるがの〜」
庭先の木陰にあるテーブルを挟んで、剛兄ちゃんの奥さんとご先祖さまが向かいあっている。ご先祖さまたちが見えてなきゃ、お姉ちゃんが何に激怒してるかわからんの図だ。
亮ちゃんは、
「近衛少将さんって、さいてーなナンパ師だな」
と、つぶやいた。
「あれでさ、美都田吾作の天敵なんだ」
「マジ?」
ぼくら、尋常でない会話をしているんだけど、慣れちゃってこれが当たり前の日常会話になっている。霊が見えるとかそんな“あなたの知らない世界”レベルの話じゃなくて、ごく普通なんだ、これが。
中学の時の担任の浜中みたいに、あ〜そ〜なの、と受け入れてくれる変人もいれば、赤松みたいに生首連れ歩いていても、気づかない鈍感なのもいる。
まあ、普通は見えないし、存在すら信じてない。オカルト好きなくせに。
でも、何事も慣れだよ、慣れ。
で、今回は全く見えてない先祖もいたりして、新たな登場人物あらわるか?ってとこなんだ。
これ以上増えても困るんだけどさ。
「ね、一寸っていつの時代の人?」
「ああ?一寸?何か、平安時代っぽい…?あ?なに?」
亮ちゃん、隣にいるであろう一寸に何事か話しかけられたみたいだ。
全然わからん…。
「え?近衛少将さんは、お父さん?でもって、近藤家の直接ご先祖の弟?」
だめじゃ〜ん、近衛少将さん自分の子供忘れちゃ
「都におる北の方の侍女にてをつけて生ませたのが、娘でのお」
( ̄○ ̄;)
右手の指を4本を折って、左手のそれは一本だから、いまんとこ14人ね。
コイツ、やり過ぎて死んだんじゃなかろうか…。
「駿河の国ではのう…」
剛兄ちゃんの奥さん?調書とんなくていい〜っ
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残暑お見舞いでございます

2016-08-15 01:15:55 | へちま細太郎
お久しぶりへちま細太郎です。

SMAP解散が報じられた今日、僕たち家族は、お墓参りに田舎に出かけた。
またいとこの亮ちゃんと交流があると知って、おじいちゃんが、
「久しぶりにいってみっか」
と、家族総出でど田舎にきたわけだけど、ここで大喜びしたのが、剛兄ちゃんの奥さん。
「きれいな川え?泳げるの?」
と、俊作を連れて今にも飛び出して行かんばかりに大はしゃぎ。
ところが、生き神さまのようにまだ生きていたひいおばあちゃんが、
「バカタレ
と、怒鳴りつけた。お姉ちゃん、びっくり
「お盆に水に入るやつがいるかっ
と、説教を始めた。
キャリアなお姉ちゃんは、なんと、シュンとなって神妙にひいおばあちゃんの説教を聞いている。
「おやおや、嫁ご殿もしおらしいの」
突然背後から、近衛少将さんが現れて、ひいおばあちゃんの説教を楽しげに聞いて、オホホホと笑っているではないか。
てか、気持ち悪いんですけど…。
「こ〜りゃ、そこのひな人形、いくらご先祖さまとて、ばばの説教を笑うとは何事ぞ」
と、手にしていたまごの手を近衛少将さんに向けて投げつけた。
「毎度毎度、バカでおじゃるの」
まごの手は、少将さんの体をすり抜けて、亮ちゃんの頭にぶつかってしまった。
「ひでえなばあちゃん、ボケてんと違うのけっ
と、叫んだ。
亮ちゃん、見えないんだ…。
で、あとから聞いたら、僕たちが見えている近衛少将さんたちは見えないけど、違うご先祖さまはたまに見えるんだって。どんな人?って聞いてみたら、
「一寸」
「へ?」
「auの一寸みたいに、うざいやつ」
「げええ」
ぼくは驚いてひっくり返ったら、
「潰れるだろ、ボケっ
という声が聞こえてきた。
「え?どこ?」
辺りを見回すもわからない。
「誰も彼も見えるとは限らんっ
とひいおばあちゃんが、今度は入れ歯をぶん投げてきた。
「…」
ばあちゃんが怒鳴っている間中、剛兄ちゃんの奥さんは、ずっとうなだれてしょげ返っていた…ように見えたが、実は笑いをこらえるのに懸命だったんだと。
でも、都会の高級住宅街で育ったお姉ちゃんは、こういうおばあちゃんのお説教や田舎の風習は、新鮮でありがたいものに思えたらしい。
「早くやしゃごを見せてあげなよ」
と、すっかりひいおばあちゃんファンになったお姉ちゃんに言われた。
「ふん、俺とはるみの子供なんて、性格悪いにきまってるわ」
と、思わずいってしまい、
「おい、あの根性曲がりと結婚する気か?」
とお父さんに聞こえてしまい、否定するのに苦労した。
「おまえ、変わった趣味してんな」
亮ちゃんは、はるみの話題になると、いつも呆れた表情になるんだ。
あんたの彼女じゃないだろうがっ
「大丈夫、好みのタイプじゃないから」
あんたの好みなんて、ど〜でもいいっつ〜のっ
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