へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

お好み焼き

2006-10-22 23:35:05 | へちま細太郎
こんばんは、へちま細太郎です。

今日は、家族でお好み焼きを食べに行きました。おとうさんは、
「広島風お好み焼きがおいしいんだ」
と言って注文をしました。
「お好み焼きは、大阪に決まってるでしょう」
おばあちゃんは大阪風を、
「とりあえず、酒の肴だ」
と、おじいちゃんは韓国風チヂミを注文しました。
「細太郎は何にする?」
メニューを見ながらぼくは、
「そうだなぁ、たこ焼きがいい」
と、言いました。
「ほ、細太郎…」
おとうさんがうるうるした目でぼくを見ました。
「なんだよ、気持ち悪いな」
「だって、おまえ、前はおとうさんと同じものを頼んでいたじゃないか」
ぼくはうんざりです。だから、おとうさんをむしして、
「おばあちゃん、ぼく、焼きそばたのんでいい?」
と聞きました。
「いいけど、広島焼きだったら中に入ってるわよ」
おばあちゃんはメニューの写真を指で指しながら、教えてくれました。
「だって、お好み焼きは広島焼きと大阪風とチヂミとたのんだんでしょ?そしたら、たこ焼きたのまなくちゃね」
と、ぼくはおとうさんがきずつかないように、いちおうあたりさわりのない答えをしました。
「ふうん」
おばあちゃんは、うたがわしそうな目を向けましたが、すぐに、
「細太郎が言うんだから、そうしましょう」
と、テキパキと注文しました。
「細太郎君、お好み焼き頼まないのなら、いか焼きにせな」
と、とつぜん声がしてふりかえると、タコ壺保健室の先生が立っていました。
「いか焼き~?」
「せや、いか焼きや。このお店にはあらへんけどな、大阪へ行ったら、阪神百貨店の地下に売ってるから、今度行ったら食べてみてな」
と、勝手にしゃべってます。
「それがわかんないんだよね」
と、こんどは桜井先生です。
「いか焼きいか焼きっていうけどさ、お好み焼きとどう違うのか、説明してみ。私はネギ焼きもふくめて、みんな同じに思えるけど」
「いか焼きはいか焼き、ネギ焼きはネギ焼き、お好み焼きはお好み焼きや」
「みんな粉もんじゃないか、けちな大阪人の考えそうなことだな」
「違う言うてるやろ、あんた、いくら大阪の男に振られたからいうて、そら偏見やで」「やかましいな、納豆食ってみろ」
「大好物や」
二人は、ぼくたちの頭の上でまんざいをしていましたが、
「さて、何しよ」
「牛筋はやめて」
「何言うてんねん、お好み焼きいうたら牛筋や」
と、仲がいいんだか悪いんだかわからない会話をして、おくのテーブルに行ってしまいました。
「なんだあれ」
とおじいちゃんは、ビールをぐびっと飲みながらタコの先生たちの後ろ姿をおいました。
「吉本の漫才師かね~」
「だったら、もっとマシだよ」
おとうさんが聞こえないように言ったつもりだったんだけど、桜井先生がグルっと振り返りました。おとうさんは、知らんふりを決め込んでいますが、明日知らないよ~。と、いうわけで、広島焼き、お好み焼きとたこ焼きも焼きそばも、みんなで仲良くわけて食べました。
ね、同じものをたのむと、そんしちゃうでしょ?ちがうのをたのんで、みんなでわけて食べるからおいしいんだよね。
でも、おじいちゃんは、ビールばかりのんで、いつも通りへべれけになってました。
やれやれ
コメント
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