近所の小学校の校庭で、地域のお父さんたちが主体となって「おもちつき」をやってる、というので、見に行ってみました。
低学年の子のお父さんは若くて 体力バッチリ、って感じだし、
もう「小学生のお父さん」卒業して、大分になるんじゃないかなあ・・・というような「お父さん」もいました。
いろんな「お父さん」が、順番に「我こそは力自慢!」という勢いで 大きな杵(きね)を振り上げます。
だけど、そこには大きな「実力差」が 歴然と現れて、外野見物のつもりだったヒバリは ちょっとびっくりしました。
上手な人がおもちをつくと、「バーン!」とすごい音がします。
それほど上手じゃない人だと、音もペタン、という感じだし、おもちもあんまり変化しません。
だけど、体の大きさとか 若いか若くないか、とかには関係ないようでした。
小柄でも、年取った人でも、上手な人は みごとに「バーン!」と 大迫力の音を出しているのでした。
じゃあ、その違いはどこにあるのか。
ヒバリにはわかりましたよ!
それはね、「脱力」なんです。
上手な人のフォームを見ると、頭上高く振り上げた杵が頂点に達した その瞬間、完全な脱力ができていて、まさに杵の重力が一瞬、宙に浮くような フワッとした瞬間があります。
そして次の瞬間、杵の重みがぜんぶ、臼のおもちの真ッ芯に向かって落下していくのです。
完全な脱力ができている人のフォームは、腕にも手首にも無理な力が入っていなくて、しなやかな弾力があるのみです。
それを見て、ヒバリは思いました。
なるほど。
ピアノとおんなじだ。
的確な打鍵、そしてピアノの響きを最大限に引き出すために必要なのは、完全なる脱力。
上手な「つき手」のお父さんのフォームを、前から、横から、いろんな方向から観察しながら、ヒバリはそう確信したのでした。