ハートプラス・プロジェクト

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パッドは貼り直せません!

2015-11-25 20:48:25 | CPR & AED
AEDのパッドは、貼り直しが出来ません!

なので、一度貼ったら、使い捨て。
貼った位置が悪かった場合は・・・剥がして、「予備のパッド」 を使うしかないですね。


電気を扱ったことがある人なら、お分かりだと思いますが、
電気を流すとき、「境界面=違う物質との境目」は抵抗になります。

なので、肌の表面は電気が流れにくくなります。


ということで、スムーズに電気を流すためにも

パッドは肌に密着させる 必要があるわけです。


パッドの表面自体も、かなり粘着質ですが、
貼るところもツルンとしたところでないと意味がありません。


右鎖骨の下=鎖骨にかかってはいけません。
というのは、鎖骨の上は、大抵の人が凹んでますよね?

ペースメーカーを埋めている人は、そこを避けて貼るように、というのは、
そこが出っ張っているから。

胸毛が濃い人は、パッドが浮いてしまうから。
(カミソリで剃って、密着して貼れればいいです。つるつるにまでしなくていいです)


ということです。

シワくちゃになって、空気の層が出来てしまうと、そこが電気抵抗になります。


なので、そういう貼り方をしてはいけません。



一度貼って、剥がしたパッドが使えない理由は、

密着度が落ちるから!

同じく、カラダ以外にとりあえず貼ってしまった、というパッドもです。

貼って、貼れないことはありません。
くっつきます。


しかし、密着度が落ちると=電気抵抗が生じると


ショックのエネルギーがロスします


すなわち、除細動の効果が落ちます
(まぁ、あくまでも可能性ですが)


助からなかった場合、原因が何か?なんて分かりはしませんが、
「ひょっとして、パッドの貼り方悪かった?」
って思いたくないですよね?

そういうことです。

ちなみに、ロスした電気エネルギーがドコに行ってしまうか?というと、
肌を焼くことに使われます。

つまり、ヤケドする、ということです。


ヤケドは治りますが、命は・・・


ということで、講習ではパッドは、

両手を使って一枚ずつ、丁寧に貼る

と教えています。



AEDは、心電図で何を見ているの?

2015-11-18 20:37:13 | CPR & AED
AEDは、心停止の判断ができませんと以前、書きました。

心電図をとり、心室細動または心室頻拍のときに「ショックが必要です」と言います。

それ以外は、「ショックは不要です」と言います。

それ以外とは、心臓がまったく動いていないとき、あるいは動いているときとなります。



動いているときと、動いていないときの
区別はつかんのか?


となるワケですが・・・


成人の平常時の心拍数は、1分間に60~80回と言われています。
しかし、これはあくまでも一般的な数値です。

マラソン選手だった高橋尚子さんは、現役時代の心拍数は1分間に33~37回だったそうです。
「スポーツ心臓」と呼ばれたりしますね。

また不整脈により極端に心拍数が減ることがあります。
めまいや息苦しいなどの自覚症状が現れたりしますが、即座に生命に関わることはありません。
が、まぁ「ペースメーカー」等を入れる治療をしたりしますね。

呼吸原性心停止の場合=窒息や溺水ですね、呼吸が止まってすぐに心臓が停まるわけではありません。
血液が循環を続けますが、新たな酸素の補給が無いために、酸欠となり、
各臓器を働かせるには不十分となっていき、やがて心臓が止まる、ということになります。
この過程で脈は弱く、遅くなります

このとき(呼吸が出来ていないとき)は、心肺蘇生が必要です。
心臓の動きによっては、人工呼吸だけでも蘇生する可能性はあります。


以上のように、心電図をとり、心拍があったとしても、


生命の維持に有効な心拍なのか?

機械(AED)は判断できません。


いつの日か?精度が上がり、このあたりが解決されればいいのですが、
今のところ AEDは、心停止の判断ができない と覚えておいて下さい。
(正確には、蘇生が必要か?の判断ということになるのかな?)



心臓が動いていないのに動いたフリ

2015-11-15 07:42:27 | CPR & AED
「AEDは、心停止の判断ができません」

ということを、以前書きました。

ショックが必要か?否か?を判断しますが、心停止かどうか?は判断しません。


まず、ショック=除細動が必要なケースというのは

「心室細動」 と 「無脈性心室頻拍」 というものです。

無脈性心室頻拍は、心室細動と同様に、小さく速く動いている状態で、
血液が心室に充分に充填されていないうちに、押し出そうとするので、
空打ちのような状態にある・・・という感じです。

心室細動の心電図波形は、「でたらめ」と言う表現がぴったりする感じで、
常に、大小さまざまな波が出ます。

心室頻拍の場合では、「ノコギリの刃」のような波形、と形容されるように、
同じカタチが連続して=フラットな部分がない 続きます。


健康診断等で心電図をとったコトのある人は、自分の心電図を見たことがあると思います。

正常な脈は、定期的に鋭い波形が出て、フラットになり・・・
を繰り返すと認識されているかと思います。

心室細動、心室頻拍は、フラットな部分がまったく無い状態なので、
他のケースと区別がつきます。


さて、心臓がピクリとも動かない状態=心静止になると、心電図に波は現れません


がっ!

ときに、動いていないのに 波形が出る ことがあります。


これが PEA=無脈性電気活動 というものです。
(PEAとは、パルスレス・エレクトリック・アクティビティの略です)


呼吸停止から心静止に向かう途中で現れたり、心静止後に現れる、と言われています。

ドラマや映画で、心電図のモニターがフラットになった瞬間、
医師が家族に向かい「ご臨終です」と言うような場面観たことがありませんか?

実際に、モニターを見ながらの最期というケースでは、フラットになった瞬間に
モニターのスイッチを切るそうです。

それは、このPEAが出るからです。

このPEAには、いろんな波形があるようですが、
たとえばこんな(ポチッてしてね)のがあります。


正常なときの波形と似てませんか?


これ 機械(AED)が、心停止と判断できるでしょうか?

機械の精度が上がれば、ひょっとしたら判断できるようになるかもしれません。
しかし、心電図の波形だけでは心停止・・・というか有効な脈か?
判断できないケースもあるのです。

というワケで、そのハナシは次回



心臓が動いているのに「心停止」?

2015-11-14 12:52:16 | CPR & AED
心停止 という言葉があります。

心臓が停止している・・・と読めますが、どうでしょう?

実は、この「心停止」という意味?というか「字」が、
AEDによる蘇生に誤解をもたらしているかもしれません。


心停止とは、

心(機能)停止

あるいは

(血液の)循環停止

という意味ととらえて下さい。


AEDを使った蘇生で、「心室細動」という言葉を聞いたことがないでしょうか?
「細動」・・・細かく動く。

心室細動も心停止です。

動いていても、心停止です!

それは、血液が循環できていないからです。


AEDの電気ショックは、この 細動を止める ためのもので、
心臓を動かすものではありません(もともと動いているんです)。

心臓が、細かいけれども、動いていたから、ショックの後に(正常に)動き始めるのです!


心臓が、ピクリとも動かなくなってしまったら(この状態を「心静止」と言ったりします)、
電気ショックをやっても動き出しません。

ガソリンの入っていないクルマのエンジンをかけようとするのと同じです。

動くための酸素やエネルギーを使い切ってしまったから、動いていないのです。
このような心臓(や弱った心臓)を動かすには、薬を使います。
(停止して間もなくならば、心肺蘇生でも蘇生するかもしれませんが)

進藤先生(江口洋介)が「ボスミンっ!」って叫んだの聞いたことある人いませんか?

アレです。ボスミン(商品名)=アドレナリン。
アドレナリンは、血圧を上げる作用があり、薬を入れ、酸素を送り、
血液を循環させて蘇生させるのです。


心室細動は、動いているワケですから、筋肉を動かすための酸素やエネルギーが残っているのです。
だから、ショックの後に動き出すのです。


細動 → ショック → 静止 → 心拍再開

これが 除細動 というヤツです。


「電気ショックにより停まった心臓を動かす」と表現すると、どんな心停止でも動き出しそうです。

心室細動は、「不整脈」とも言えます。
そのまま放っておくと死んでしまうので、 致死的不整脈 と表現したりします。

「電気ショックで、不整脈を正す」と表現するとどうでしょう?


そして、実際の除細動の様子がコレです(なかなか衝撃的な映像です)
右下の心電図の波形も、ぜひ見ながら鑑賞ください。

Desfibrilaci�n real de un corazon



電気ショックをやっても、細動が治まらないときもあります。
そのときは、ショックをくりかえします。

そして、ショックをやって、細動が治まっても、心拍再開するとは限りません。
ショックの前までに細動が続いていれば、酸素やエネルギーが消費されているワケです。
その ロス が大きければ、細動が止まっても、すぐには心拍再開できないのです。

なので、ショックの前のロスを少なくするため、そしてショックの後、心拍再開できるように

心肺蘇生(胸骨圧迫+人工呼吸)=酸素の循環が
必要なんです!

AEDだけでは、助けられません!



ご理解いただけたでしょうか?