ハートプラス・プロジェクト

「苦しんでいる人を助けたい」そんな気持ち=ハートがあれば、いろんな知識やスキルをプラスしませんか?

減災セミナー

2015-06-28 07:29:55 | ボランティア活動など
赤十字静岡県支部では、他県にはない「減災セミナー」という講習?があります。

もうずいぶんと前から「来る来る」と言われている東海地震に備えるため・・・というより
東日本大震災の被害があまりに大きかったため、これは何とかしないとダメでしょ?

という感じですかね?

防災・・・防ぎきれません!だから減災です。

そんな減災セミナーが先週、地元の奉仕団の方からの依頼で開催され、
わたくしスタッフQ、行ってきました。


減災セミナーは、「自助」「共助」「公助」についてお話しすることがありますが、
この中で大事なのは

自助

 自分の身は自分で守る。自分の家族は、自分たちで何とかする。

共助

 地域のコミュニティ=となり近所の人たちと力を合わせて助け合う

です。公助は、最初のうちはあてになりません。

公助は、基本、広く、浅く、公平に、です。
また、東日本大震災において石巻市では、救急車17台のうち、
12台が被災により使用不可となりました。

阪神淡路大震災では、消火に向かう消防車が住民からの救命要請に応えたために
延焼を招き、そのために犠牲になった人も多かったようです。

そのため自治省?では大地震発生により火災が起こった場合、消火に向かう消防車両は、
消火優先とし、人命救助にはあたらない、という方針を示したそうです。

実際、神戸市消防局では、救命士を含め消防は、消火活動に専念、
人命救助は市民にお願いすることになる、と言っていました。



だから、応急手当、救命手当を身に付けること、大事なんですよね。


減災セミナーでは、避難所での暮らしへの備え、心がけなどもお話しさせてもらいます。

準備しておくといいと思われるもの・・・


個人的にお勧めするのは、

1.介護用品のなかに役立つものがある!
 要介護者がご家族に居る方ならご存知かと思いますが、「からだ拭き」や
 「水を使わないシャンプー」など。
 「デオドラントシート」なんて呼ばれているものもいいかもしれません。

2.ポンチョ
 雨具のポンチョでもいいし、サーファーなどが着替えにつかうタオル地のヤツでもいいです。
 最初のうちは、避難所に「仕切り」の壁なんてありません。
 着替えたり、物陰で簡易トイレで用をたすのにも、カラダ丸見えではねぇ・・・


それから飲料水としてミネラルウォーターを準備するか、と思いますが、
赤ちゃんのミルクを作るようなケースを考えた場合、軟水の方が良いようです。

ミネラルが多いと、赤ちゃんのカラダには負担が大きいらしいです。


こんな話をしながら、ちょっと長めの2時間の減災セミナーをさせていただきました。

また機会があれば、ちょっとした情報をお伝えしたいと思います。




Bondi Rescue

2015-06-17 20:28:39 | CPR & AED
シドニー「ボンダイビーチ」のライフガード

別の映像がありました。


これは、溺水ですね。

溺水であれば、普通心室細動は起きないですが、AEDを装着しています。

水の事故は、どちら(心原性、呼吸原性)になるか?わかりません。

使えるモノは、すべて使う!

レスキューの鉄則ですね。


そして、心拍再開した後も、マスクをつけてアンビューバックを使って
空気を送ってますね。
医療用「酸素」がベストなんでしょうが、酸欠には人工呼吸が必要と言えます。


水際でレジャーを楽しむ方、ぜひご覧ください。


英語がわかれば、もっと理解できるとこなんですが・・・(^^;




Ryan Kim Rescue | Bondi Rescue S6




          by  スタッフ Q

人工呼吸は必要か?

2015-06-13 12:13:44 | CPR & AED
「心原性と呼吸原性・・・」の記事で書いた「この件に関しては、また詳しく書きます」の
「この件」について。

そして、先に書いておきます。

人工呼吸はむずかしい!


問題の「この件」ですが

YAHOOニュースでまた出てしまいました。

こんどは、京都新聞の記事のようです。


以下、引用

人工呼吸をせず、心臓マッサージ(胸骨圧迫)だけを行う心肺蘇生法の普及が、
心停止した人の社会復帰数の増加に大きく貢献しているという調査結果を、
京都大環境安全保健機構の石見拓教授や川村孝教授のグループが11日に発表した。

日本は胸骨圧迫だけの蘇生法を学会レベルで唯一推奨している国で、その正しさを裏付けたという。


心肺蘇生の在り方をめぐっては、人工呼吸と胸骨圧迫を併用した方法が長年標準とされてきた。
一方、胸骨圧迫だけでも救命率は変わらないとする研究報告があり、日本では近年、
市民による心肺蘇生の実施率の向上を目指し、人工呼吸を省く方法が多く取り入れられている。

グループは、2005年から12年までに国内で心停止によって救急搬送された患者約81万6千人について、
市民による蘇生の有無や種別、社会復帰の状況などを調べた。
胸骨圧迫だけの蘇生を受けた人の割合は05年の17・4%から12年には39・3%に増加。
胸骨圧迫だけで社会復帰できた人も、人口1千万人当たりの換算で05年の0・6人から28・3人に増えていた。


石見教授は「胸骨圧迫だけの蘇生は、人工呼吸を伴う場合に比べて簡単。
多くの人を対象にした講習が実施しやすく、蘇生の普及に有効だ」と説明。
その上で「人工呼吸は子どもの心停止に有効とのデータもあり、
学校の先生らにはオプションの講習として実施するのが望ましい」と話している。

以上、引用終わり


「人工呼吸は不要では?」という意見は以前からありました。
今年は「ガイドライン2015」が発表される年でもあります。
そのあたりへの影響を考えた発表なのか?うがった見方もできます。


最近の救命講習は「大人の、普通の社会生活での心停止」を前提にしている節があります。
というか、ほぼそれに割り切っている、とさえ感じます。

この場合、「心原性心停止」です。

心臓が先に停まります。
動脈を箱根駅伝の「往路」とすると、静脈は「復路」。

行きがけ(往路)の血液には、使われていない「酸素」があります。

この酸素を循環させてあげれば、人工呼吸は要らないのでは?ということです。
たしかに、理にかなっているように思えます。


一方で、「呼吸原性心停止」は、呼吸が先に止まります。
酸素が使われた血液は静脈を通って心臓に還ってきます。
そこから肺に行きますが、新しい酸素はもらえません。

少ない酸素のままで、また身体を循環します。
そして、また酸素が各臓器、各細胞で使われます。

これを繰り返していくと、やがて低酸素になり、各細胞が動かなくなります。

この場合では、身体は酸素を欲しています。


心原性心停止であっても、心室細動で酸素は消費されていく筈です。
また心肺蘇生を行って、酸素を循環させれば、やがて酸素は少なくなっていくでしょう。

人工呼吸の最大のメリットは、
 酸素を与えることができる!


です。

しかし、先の新聞記事のあるように、「人工呼吸なし」の方が救命率が高い、となると、
人工呼吸に何か「デメリット」があるのでは?と思いませんか?


あえてデメリットと書きました。そのデメリットと考えられることは・・・


1.胸骨圧迫を中断しなくてはならない!

当たり前といえば、当たり前。胸骨を30回押したら、一端中断して人工呼吸を2回。
となるのですが・・・

一生懸命胸骨を押し、心臓をつぶして血液を押し出す・・・
その血液量は、正常に心臓が動いているときの吐出量の 1/4~1/3
しかないのです。

これでも、命をつなぐことはできますが、なんとなく心もとないと思いませんか?

だから中断時間は短い方がいいのです。

講習テキストでは

・人工呼吸はうまく呼気が入らなくても2回まで。3回、4回とやる必要はない。
・胸骨圧迫の中断が10秒以上にならないようにすること。
 (赤十字の心肺蘇生競技全国大会では6秒以上で減点になったとか)

というふうになっています。

しかし、これをいくら説明しても実技講習をやると、けっこうおっかなびっくり?
慎重にやる受講者が多いです。
吹き込みを終わってから胸の動きを確認する?人(吹込み中に確認しないとできませんよ)
圧迫再開する前に、また慎重に胸骨の位置を確認しだす人。

初めは、しょうがないですよ。でも、こんな講習風景を見ていると、
やっぱり一般市民による心肺蘇生では中断時間が長いのだろうな、と予想されます。

以前は、講習でも2人ひと組での心肺蘇生を教えたりしていましたが、
今は教えていません。これも、よりシンプルに、という流れからでしょう。


2.過換気(吹き込み過ぎ)のおそれ!

吹き込みは、約1秒かけて呼気を吹き込みながら胸を見て、軽く胸が上がればOK。
それ以上吹き込む必要はありません、と教えます。

吹き込み量が多くなりすぎると、呼気は「胃」に入り、胃膨満を起こし、
最悪、胃の内容物を逆流させてしまうことがあります。
(この結果、気道閉塞を起こしたりします)

ここまでいかなくても、横隔膜を押し上げ、胸腔内圧を上げてしまいます。

心臓と肺が入っている「部屋」を胸腔と言います。

胸腔内部は、陰圧になっています。

陰圧は圧力が低くなっているということです。
地上の気圧にくらべて、山のてっぺんは低いですね。そんな感じということです。

なので、肺は勝手に膨らむようにできているのです。

実は、血液も心臓が送り出す一方で、「陰圧だから戻って来やすい」のだそうです。


したがって、呼気を入れすぎると胸腔内圧が上昇し、
血液が循環しにくい状態になってしまうのです。

そして、一般市民によって心肺蘇生がなされて搬送されて来た場合、
この過換気になっているケースが非常に多いのだそうです。


「呼気の吹き込み量は、少なくていいですよ」
こんな風に言うと、けっこう驚かれたりします。


酸素必要なんだから、蘇生させなきゃならないんだから酸素多い方がいいのでは?

そういう風に感じるのが一般的なのではないでしょうか?

実際、過去の講習では1回の吹き込みで1000mlほど入れていたときもありました。
しかし、現在、あくまで自分の感覚ですが、300~400mlでマネキンの胸はあがります。

マネキンの肺(ビニール製の袋ですが)も、最近のは小さくなってます。


近年の講習は、「理屈より手順」です。「覚えやすいように、よりシンプルに」です。
むずかしい、と思わせないように教えることも大事なのです。

割り切った前提であれば人工呼吸なしでも、おそらく大丈夫でしょう。
数字でもその傾向は出ている、と言ってもいいかもしれません。

自分も、大人が通常の環境下で倒れたら、とりあえず胸骨圧迫だけします。
呼気吹き込み用具は常に持っていますが、それを出して装着する手間がもったいないです。

誰かと代わってから、あるいはAEDが届いて中断するとき(心電図の解析中)に
人工呼吸の準備をしようと思います。


一方で、数字が全てではないとも言えます。

人体実験ができるワケではないので、知る由もありませんが、
心停止からの時間と人工呼吸の有無や、心肺蘇生をしていた時間と
人工呼吸の関係などはどうなんだろう?

たとえ心原性心停止でも人工呼吸があったら助かった命もあったのではないのか?

そもそもカラダが低酸素か?そうでないか?分からないハズで、どう判断すべき?
(救急法は、分からないときは悪い方で見積もるのが原則)

かつて某市の救命率が高かったのは、救命士が当時法的に許可されていなかった
「気管挿管」をしていた、ということが問題になったことがありました。
気管挿管は、呼吸管理、酸素投与です。

そんなコトを考えると、人工呼吸は不要という風には、なかなか納得いきません。


記事では、学校の先生らにはオプションで・・・と書いてありましたが、

むしろ「必須じゃなくていいの?」と思いませんか?


今後の講習は、人工呼吸軽視になるかもしれません。

講習で習わなかったら、いつ練習するのだろう?

赤十字でいえば、皆が皆「幼児安全法」や「水上安全法」を受講してくれるのだろうか?
(水安では、基礎講習の受講が前提となっているため、とくに心肺蘇生はやらない)

そんな疑問はつきません。

きちんと理解するために、理論的な学科講習をするようになるのか?
おそらく、それはないでしょうが、これを読んでいる人は、
きちんと理解した上で実践して欲しく、そんな思いで書きました。



「普段通りの呼吸」でない!呼吸 3

2015-06-09 20:15:04 | CPR & AED
いよいよ 死戦期呼吸 です。

死戦期呼吸とは、臨床の場では「あえぎ呼吸」と呼ばれたりしています。

医学的っぽい言い方では「下顎(かがく)呼吸」なんて言われたりします。


心停止後に起こるといわれる「動作」で、
呼び名のとおり、あえいでいるような口の動きになります。
また、上体を起こしているような体勢では、子どもがしゃくりあげて泣いているときの
そんな肩、上体の動きが見られるようです。

これまでの研究や報告としては

・動物実験では、ほぼ100%現れる(ブタが使われるようです)
・人間の臨床の場でも4割くらい現れる
・長いと4分間以上つづく
・医学部の学生でも3割くらいは「正常」と誤認する


実は、わたくし、死戦期呼吸を見たことがあります。
正確に言えば、「あれは、おそらくホンモノであろう」と。

死戦期呼吸という名も知らぬ小学生のときです。

祖父が危篤ということで、学校を早退して病院に行ったところ、
病室では、天井を見つめ、大きく口をあけて息をしている(死戦期呼吸は呼吸なしだけど)
祖父がいました。

肩で息をしている・・・

そんな感じでした。

祖父は、末期がんで、助かる見込みがなかったのでしょう。
特に医師が何かするということはなかったように記憶しています。

既に心臓が停まっていたとしても、まるで息をしているような・・・
そこで家族に

「これは死戦期呼吸と言いまして、・・・くどくど・・・」

と説明しようにも納得する筈はなく・・・ということですね。

それから死亡宣告に至るまでは、けっこう時間がかかったと、
おぼろげながら覚えています。
なにしろ、兄貴に売店に連れて行ってもらってジュース買ってもらった記憶があるくらい。

死戦期呼吸が治まり、たしか心マもちょっとやって(もはや儀式のような)、
そうして死亡宣告になったと思います。


そんな死戦期呼吸ですが、動画を探せばたくさん出てきます。

しかし、そのほとんどは「生きている人」が「真似」しているモノ。

なので、いまひとつリアリティに欠けます。


いろいろ見たなかで、一番リアルなのは、この動画です。

死戦期呼吸を撮るためのモノではないので、よく見ないと見逃しそうですが、

・大きく口を開けるところ

・呼吸(らしき動作)のテンポの遅いところ

が普段通りの呼吸ではない、と認識していただけると思います。

また、まさしく「死んだような」表情に「生気」が戻って来る様はリアルです。
ちょっと衝撃的な映像ではありますが、参考にするにはベストと思います。


'Taka' Back From Dead! | Bondi Rescue




死戦期呼吸の誤認では、埼玉県の小学校で起こった事例があります。

長ければ4分間以上・・・

人間の細胞は、心停止して酸素の供給が絶たれて3~4分間経つと死滅していきます。
とくに脳細胞は再生しません。

蘇生が非常に困難になります。


もし、迷ったら・・・

呼吸なし!と判断していいです

顔を見ながら胸を押し始めて下さい。


迷わず押せよ
  押せば、わかるさ



です。


「普段通りの呼吸」でない!呼吸 2

2015-06-06 08:34:07 | CPR & AED
さて、その2 です。

CPR(心肺蘇生)を開始したら、基本、なんらかの反応がない限り、
休まず続けます!

かなり以前は、ときどき中断して、脈を確認する・・・
というようなコトもしていましたが、今はしません。

その反応は、

胸を押したときに、苦しそうな表情をした

とか

吹込みをしようとしたら、顔をそむけた

などです。


あきらかに自発呼吸を始めた・・・というような分かりやすい反応があるときもあるそうですが、
必ずしも、分かりやすいということはないでしょう。


そして、ここでもまぎらわしい呼吸(らしき)音がでるときがあります。


それは、水の事故などで、が喉や気道に入っているときに起きたりします。


胸骨圧迫は、「気道異物」を除去できることがあります。
胸を押すことで、肺も収縮し、肺の中の空気が押し出され、
気道の異物を口の方へ押し出すのです。

なので、胸骨圧迫をすると、気道内に空気の移動が生じます。

すると、胸を押す度に

ボ・ボー ・・・ ボ・ボー ・・・

とか

ズズズー ・・・ ズズズー ・・・

なんて音がすることがあるようです。



ストローで飲み物を吸っているとき、最後の方は、ズズズーーーってなりませんか?

液体だけ、あるいは空気だけを吸っている分には音はしませんが、
ちょっと液体が入っていると、音が出ます。

コレです。


というワケで、こんな音を「自発呼吸」と勘違いしてはいけません。

あくまで、傷病者の反応や表情で判断して下さい。

そして、それを見逃さないように

傷病者の顔をみながら、胸骨圧迫しましょう


次回は、いよいよ?「死戦期呼吸」です。