ハートプラス・プロジェクト

「苦しんでいる人を助けたい」そんな気持ち=ハートがあれば、いろんな知識やスキルをプラスしませんか?

ガイドラインの逸脱は許されるのか?

2016-07-24 09:53:09 | CPR & AED
最近、ネット上ですこし話題になったこと。
いずれ、見れなくなると思うので、要約すると・・・


ある駅で、看護師2人が急逝アルコール中毒で倒れている人を見かけたので、助けようとした。
徐脈と意識レベルの低下を確認したのでAEDを使った・・・それを見た通りすがりの
年配の看護師が「AEDなんか使うな。そんなの点滴すりゃ治るでしょ・・・」
と言って去って行った。

こういうときは、AED使うでしょ?こんなおばさんの言葉に惑わされずに
迷わすAED使ってね。

というツイッターが上がったそうです。

で、それに対する反応のなかで医療関係者のリツイートがあって。

「脈があっても意識レベルの低下した患者にAEDは貼るべきだ」

 とか

「AEDが心電図をとってくれるので、それが搬送後の処置に役立つ」
「心電図のモニタリングの意味だけでもAEDを装着するのは有用だと思います」

なんて声が上がっています。

まぁ、「AEDは誤作動=心臓が動いている人にはショックをしないから、
間違えて貼ってしまっても大丈夫」なんてのも当然のごとくありましたが・・・


さて、ここからはまったくの個人的見解です。

除脈と意識レベルの低下から、看護師2人が、自分の知識と経験から
「AEDを使おう」と判断したのなら、それはそれでいいでしょう
(ダメって言う人もいるかもしれませんが・・・ネット上ではなかったような?)。

しかし、これらのことを一般の人に当てはめてもいいものか? と思うのです。

ガイドラインに沿った講習では

・意識(反応)がない
・普段通りの呼吸がない

ときは心停止と判断します。
普段通りの呼吸があるか?判断つかない、迷った・・・そんなときは「ない」と判断しましょう、
です。


徐脈と意識レベルの低下・・・一般の人にわかりますか?
(良い状態ではないことはわかるでしょうが)
これがわからなければ AED使うべきですか?


少し極端な例を考えてみましょう。

・脈はあるけれど意識がもうろうとしている人にAEDを使いました。
 そしたら、ちょっと離れたところで心停止を起こした人がいました。
 近くには、そのAEDしかありませんでした。
 明らかにAEDが必要な人に使えませんでした・・・

・駅で泥酔して寝込んでしまった若い女性がいました。
 意識がよく分からなかったのでAEDを使いました=当然服を脱がせます。
 あとから「酔って寝込んだだけなのに服脱がされました、訴えます」と言われたら?

ネット上でも、救助者(バイスタンダー)は、法的に守られている、という声も挙っています。

民法第698条 緊急事務管理
刑法第37条 緊急避難

たしかに法律はありますが、訴えるのは自由です。
弁護士は、依頼人の利益を第一に考えます。

司法の判断は?

「緊急」とはどんな状態? と問われたら?

心停止は、放っておいたら「死」に向かいます。勝手に回復することはありえません。
緊急以外の何物でもないでしょう。

徐脈や意識レベルの低下は、放置したら確実に「死」に向かうのでしょうか?
だったら「ガイドライン」でAED使いましょう、となるハズです(個人的見解)

ガイドラインから逸脱したことを緊急と判断してくれるでしょうか?
(ガイドラインって、医師も含めて決めているんでしょ?)

意識レベルが低いから使う、という判断は医学的、臨床的知識が必要なんではないでしょうか?
=医師にしか出来ない

「医師の診断、診療に役立つ」というのは本来の使用目的なんでしょうか?


ガイドラインも法律も、双方を守るために存在する筈です。
訴えられたときの心的ストレスも考慮すれば、それを避けるべきです。

問題がこじれてきて、「いっそ、講習を義務化したら?」となったら?

講習が義務化されたら救助も義務化されると思いませんか?
「こわくて」とか「手が震えてしまって出来なかった」は許されなくなりますよ!


2人の判断は、2人にしか分かりません。
なので、「AEDを使うな」と言った人も、悪いのか?正しいのかもわかりません。

AEDを手元に持って来て待機するが正解なのか?それでいいのかもわかりません。

ただ

医師の言葉は、重いです。

伝言ゲームは、いつしか言葉が変わります。

そして、善意はときに思わぬ方向に行きます。


なんとなく「違和感」を感じずにはいられなかったので、書いてみました。


・・・そうは言っても、意識のあるうちからAEDを使っている例がありまして。

おなじみのBondi Rescueですが

英語がよくわからないので(しかもオーストラリアなまりがある)、ライフガードの判断なのか?
救急隊の指示なのか?傷病者から既往症を聞いたのか?わかりません。

救急隊直後に心停止になるというタイミング。
手が動いているのに、胸骨圧迫を続けようとして救急隊に止められるライフガード・・・

緊迫した映像です。

Heart Attack - Cardiac Arrest - CPR (Bondi Rescue Season 9 Episode 9 Part 1)

水の事故が増えてます・・・

2016-07-21 20:14:00 | 知識やスキル
海水浴シーズンが始まると、各地で水の事故が報告されます。

海だけに限らず、川や湖での事故もあります。
水に触れる機会が多くなると、どうしてもこのような事故のリスクは高くなります。

さて、人は水に浮くか?となると・・・大抵の人は浮きます。

体脂肪率が低く、筋肉質の人は浮けないかもしれません。
脂肪は、比重が低く、筋肉は比重が高いと言われています。

浮力は、その液体を押しのけた体積の分の重さはたらく、となっています。

水は、密度が 1g/立法センチメートル なので、
1000立方センチメートルの体積のモノを水に放り込むと。1kg分の浮力がはたらきます。

このとき、その1000立方センチメートルのモノが、1kgより軽ければ浮く。
1kgより重ければ沈む。ちょうど1kgなら浮きも沈みもしない状態となります。

以上は、淡水の場合。


海水の場合は、というと、海水は塩水なので、密度が淡水より高くなります。

海水の比重は、1.025なので、淡水より浮力が大きくなります。
(死海という、塩分濃度が以上に高い湖は、ほとんどの人がプカプカ浮きますね)


ところで、淡水といっても特に川の場合、浮力が非常にはたらきにくいトコロがあります。

それが ホワイトウォーター というところで、その名のとおり、白く泡立ったいるところです。

泡は空気です。空気と混ざった水は、密度が低くなります。
その分、浮力も小さくなるということです。

また、「濁流」と呼ばれる土砂を含んだ水は、密度が高くはなりますが、
その分 押す力が強い というふうにも言われています。
つまり、流されやすい、倒されやすい、ということです。

水の重さ、すこ〜し頭の中にいれておいて下さいね。

こんなサイトもあります。参考までに、どうぞ。
 



水分補給をして下さい

2016-07-17 20:08:20 | 雑記
本格的な夏を迎えてきました。

湿度が高かったり、風のない日は救急搬送が増えているようです。

熱中症対策には「水分補給」とはよく言いますが・・・

大塚製薬さんからは「ポカリスエット」と「OS−1」が出ています。

予防には「ポカリ」
熱中症の症状が出てきたら「OS−1」


なのだそうです。

ただ、ポカリスエットをはじめとするスポーツドリンクは、「糖分」もそこそこ入ってます。
これは、吸収を早めるためでもありますが、エネルギー補給も兼ねているんだと思います。

スポーツドリンクの甘みで、のどの渇きを感じ、さらに飲む・・・
この渇きのスパイラルで糖分の過剰摂取になる人もいるようなので、気をつけて下さい。

近ごろは、「塩タブレット」なる塩分補給用のサプリも売っているので、
自分に合う補給方法を試してみて下さい。

そして、ポカリスエットには新しく「ゼリー」タイプが出ました。

これは、運動前から水分補給をすべきところ、ドリンクを飲むと
お腹(胃)がたぷんたぷんする・・・というような意見があることから開発されたようです。

そんな方、ぜひ一度お試しあれ(ちょっと割高ですかね?)


ポカリスエットゼリーCM|「Jelly and GO! 」篇30秒



ちなみに、静岡先行販売だったようですよ、コレ。

2016.7月度 救急法勉強会 報告

2016-07-10 05:14:31 | 救急法勉強会
昨夜は、勉強会でした。

今月は「プリン体(痛風)」のおハナシを少しばかりしまして、その後キズの手当の練習を。


「包帯」といえば、巻軸帯(細長い帯状の布を巻いたもの)をイメージしやすいですね。
三角巾は、目にするけれど使い方が一般的ではないと思われる方は多いと思います。

使い方をマスターすれば、全身に使えて非常に便利です。

キズには、保護ガーゼをあてるので、キズに直接触れるわけではありませんが、
清潔な状態を維持するために、たたむときは地面等につけず、空中でたたむようにします。

このあたりが独特といえば、独特ですね。

そして、手当の包帯は、通常は病院に行ってしまえば、ハサミでちょっきん、
と切られてしまうわけですが、赤十字は、災害時や紛争地での救護活動もするわけで、
物資が不足しているところでは、切らずに解く=三角巾の再利用することになります。

ということで、解き方も特徴ある解き方をします。


まず、三角巾を「八つ折り」までたたみ、腰に回して「本結び」
それから「解く」を練習!



なかなかスジのいい子です。将来、有望!


基本が済んだら、キズの手当=カラダに巻きます。


額のキズの手当

 


頭頂部

 


前腕

 

  いいぞ、いいぞ!


さて、今月は、「三角巾」よりこちらがメイン?

パンスト の包帯法です。

赤十字の講習でも、テキストには紹介されていますが、救急員養成講習ではやりません。
幼児安全法では、一部やります(子どもは身体が小さいので三角巾が大きいため)。
身近なモノを応用した手当ということで、なかなか有用だとは思います・・・女性限定ですが

被りま・・・頭頂ですね。

 


腕を吊ります。

 


前腕

 


ヒザ

 


このように、勉強会では講習ではやらないことも積極的に挑戦していきます。
ぜひ、お越し下さい〜



【日本赤十字社】一次救命処置(BLS) ~心肺蘇生とAED~

2016-07-02 18:06:22 | 雑記
ガイドライン2015は、すでに昨年10月に発表され、
各団体で変更点等が伝えられてきました。

赤十字では、ガイドラインに基づき具体的な手技を検討し、
この7月1日より新しい講習内容になりました。

こちらの動画で、確認できますので、ただちに講習を受けられない人は、参考にして下さい。

【日本赤十字社】一次救命処置(BLS) ~心肺蘇生とAED~ (字幕あり)