ハートプラス・プロジェクト

「苦しんでいる人を助けたい」そんな気持ち=ハートがあれば、いろんな知識やスキルをプラスしませんか?

ガイドライン2015

2015-09-26 06:45:37 | CPR & AED
今年は、2015年。

そして、来月は10月。

新たなガイドラインが発表されるタイミングです。

心肺蘇生&AEDの手順(プロトコールなんて言ったりします)は、5年に一度見直されます。
過去にもお伝えしたと思いますが、医学的に効果が期待出来る方法で、
一般の人にも覚えやすく・・・といった観点から変更がなされます。

ILCOR(イルコアと読んだりします)という国際蘇生連絡委員会が、
CoSTR(コスターと読んだりします)という「心肺蘇生と緊急心血管治療のための科学と
治療の推奨に関わる国際コンセンサス」を発表する・・・というのが正確なところになります。

このCoSTRに基づいて、世界の各地域・国で、その地域の実情に合わせて「ガイドライン」
というのが作られる、という流れとなります。

そして、各指導団体は、このガイドラインに沿って詳細な手順等を設定することになります。


ということで、今現在は、ガイドライン2010(2010年発表)によって作られた
手順で講習が行われていることになります。


ガイドライン2005から2010に変わるときは、事前から

「気道確保 → 人工呼吸 → 胸骨圧迫 という順序から
 胸骨圧迫 → 気道確保 → 人工呼吸 という順序になる」

ということが聞かされていましたが、今回は箝口令がしかれているらしく、
ドコが変更されるか?まったく漏れ聞こえていないそうです。


多くの関係者が関心を持っていると思われるのは、

人工呼吸が省かれるか?

という点か、と。


以前から人工呼吸不要という見方もあり、消防署の講習ではすでに教えていない、
というウワサも耳にします。

これも既にお伝えしましたが、どんな心停止でも有効とは言えないワケで、
そこのフォローをどうするかが問題です。


個人的な予想としては、

胸骨圧迫のペースに 上限が設定 されるんじゃぁないか?と思ってます。

今までの「1分間に少なくとも100回のペース」が
「1分間に100~120回のペース」という風に。


どんな内容になるか?まったくわかりませんが、日本のガイドラインが発表されるのは
年が変わってからになるでしょう。
そして、講習内容に反映されるのは、その後ですので、まだまだ時間はかかりますね。

都度、情報発信していこうと思っています。


ちなみに、ガイドライン(CoSTR)は救命講習のためだけに発表されるわけではなく、
医療関係者向けの具体的な治療指針や蘇生以外の分野の処置方針もつくられるようです。




しのばせて下さい・・・

2015-09-19 11:06:31 | 知識やスキル
応急手当では、その場で使えそうなモノを使います。

なので、まったく無ければ何もできません。

工夫次第でいろいろと出来ますが、そこには「センス」が必要です。


ということで、あらかじめ自分で用意して携帯する、というのがよいわけですが。


世の男どもは、たいがい手ぶらで出掛けますね。
なので、あまり期待していません。

女性は、たいていバッグ持ってますね。
必要最低限の身だしなみを整えるグッズが入っているのだろうと思います。


そこにしのばせて貰いたいもの・・・

・個別包装された「滅菌ガーゼ」いくつか

パンスト(新品)いつも持っている人いるかもしれませんね

ハサミ(コスメ用でない)


パンストは・・・ネット包帯 です!

いろんな使い方で、保護ガーゼを支持固定をすることが出来ます。
腕を吊ることも出来ます。

腕、脚なら切って使えばOKです。
そんなときにハサミが欲しいですね。

大きめのガーゼを小さく切るのもいいでしょう。

ただ、ハサミって指を入れる「輪っか」が邪魔ですよね。

スリムになるハサミも販売されていますが、こんなのが安くておススメです。



100均のダイソーです。

世の山屋(山登り愛好家)さんは、日帰りとか一泊くらいなら刃物は、
ビクトリノックス「クラシック」が1本あればいい、と言う人もいるそうですが・・・



それから、滅菌ガーゼは「生理用ナプキン」でも充分機能します。

男のバッグからパンスト、ナプキンが出てきたら・・・別のトコロに通報されますね?


  スタッフ Q

人の命は安いですね・・・と感じる瞬間

2015-09-17 20:20:39 | 雑記
先日、会社で防災訓練がありました。

シナリオとしては、

大地震が発生 → 避難 → 火災発生と行方不明者発覚 → 消火と捜索・救助

という感じでした。

自主防災組織というのがあり、消火にあたる班、救出にあたる班などなどが組織されています。
そのなかに、当然応急手当等を担当する班があります。

しかし、その実力といえば・・・ほとんどのメンバーが講習等を受けた事がない。
傷病の程度をアセスメントする能力はない・・・ときています。

救出班も、担架の持ち方、搬送の仕方。
倒れている人を倒れた状態から背負う方法など、おそらく知らないでしょう。


これが備えというもの?


その一方で、備蓄は充実しているようでした。

発電機や、炊き出しの道具。
非常食に、ヘルメットやサバイバルシートなど、新たに買い足したモノも多数あったようです。

お金で買えるものは、おカネさえあれば手に入ります


応急手当の知識やスキルを身に付けるには、手間がかかります。
講習を受ければ、お金もかかりますが、身に付けるには、「身に付けるんだ」という意志と
不断の反復練習を心がけなければなりません。


備蓄品は、気前良く購入するわりに

そういう手間は惜しんでしまうんだな

というのが実感です。


なにも会社に限ったことではありません。

いま、この地方では津波避難タワーの建設が盛んに行われています。
大いにけっこうなことです。

東日本大震災の津波の映像。
いろいろなモノが流されていきました。

本当に避難タワーが役立つような津波が来たとき、タワーの下にも当然流れ着く家屋の残骸があるでしょう。
屋根の上に乗って漂流していた人が流れ着くかもしれません。
流れ着いた位置関係や多量の瓦礫が流れ着いていたりすれば、タワーの階段が使えないこともあるでしょう。

タワーの上に避難出来た人は、その下に流れ着いた人をどうやって助けるのでしょう?

ロープがあれば?

ロープありますか?カラダを固定する、吊り上げる結び方知っていますか?



備蓄も防災施設も非常に大事です。

しかし、応急手当や災害後の対応に関するノウハウは後回し=プライオリティが低い

その認識を目の当たりにすると、

人の命は安いものだな

と感じずにはいられません。

今回も、ちょっと辛口ですかね?



  スタッフ Q

日本は進んだ国ですか?

2015-09-14 20:23:18 | 雑記
なんかのテレビドラマのようなタイトルで、すみません。

日本は先進国ですね?
有色人種(という表現が良いのか?わかりませんが)で唯一の先進国というのは誇りです。

とはいうものの、遅れているところも少々。
「駅のエスカレーターで片側を空けておく」というのは、ようやく常識となってきました。
でも、家や部屋のドアのノックは3回、トイレのドアのノックは2回、というのはまだまだですね。

・・・そんなハナシではありません。


となりの国、韓国でフェリーの沈没事故がありました。
救出にあたった「海洋警察」。
日本と様子がちょっとちがうなぁ・・・と感じていました。

日本の海保であれば、ウェットスーツに身をつつんだダイバーが、海面をただよう乗客を
ボートに引き上げるべく海に入っていたと思います。
沈没までに時間があるようなら、タンクを背負ったダイバーが船内に入ったかもしれません。

しかし、ダイバーっぽい人が居なかったような?

「韓国の海洋警察の3割は、『カナヅチ』で、残りの半数も500m以上は泳げない人たち」
なんて記事がありました。

韓国では、もともと「泳ぐ」というコトから縁遠く、日本のような海水浴という文化も無いらしい
(足を浸けたり、甲羅干しするくらい、だとか)。

小中学校の99%はプールが無く、体育の授業自体が少ない・・・といった情報。

日本に負けず劣らずの受験・学歴社会とのことで、
「学校で体育やるくらいなら、勉強に時間を割け」というのが一般的な考え、とか・・・

その結果の「海洋警察」の実態のようです。

日本では、おかげさまなのか?まぁ多くの人は泳げるもので・・・
これは、水に対する不安感を減らすことに貢献していると思われます
(まぁ、「慢心」を招くコトもあるので、ある意味「諸刃」?)。

だからといって、泳げたからこそ九死に一生を得た、という人は、なかなか居ないと思います。

そう考えれば、水泳なんてさほど必要性があるワケでもなく、
学校で習わなくでもいいもの、と考えても不思議はありません。


そこで、みなさんは

水泳くらいやればいいじゃん!

と思いますか?それとも

水泳やるくらいなら勉強の時間に割けばいいじゃん

と思いますか?


ハナシは、かなり変わり・・・

むかし、アメリカの女子バレーボール選手で「フローラ・ハイマン」という選手がいました。
名は体を表すかのごとく背の高い選手でした。

1984年のロス五輪で銀メダルを獲得。その後、日本の実業団「ダイエー」に入団し、
日本で活躍しました。

そのハイマン選手が、ある試合で選手交代でベンチに退いた直後、ベンチで突然倒れました。
そして、病院に搬送されましたが、亡くなりました。

ハイマン選手が倒れたとき、チームメイトは駆け寄るわけでもなく、ただうろたえた表情でコート上にいました。
試合も中断される事もなく、会場関係者と思われる人たちに担架で運ばれる様子がカメラで映されていました。


この様子は、本国アメリカでも放送され、当初「心不全」と報告されたこともあり

「なぜ、日本人のチームメイトは救命処置をしないんだ?」

「あれでは、むざむざ殺されたようなものではないか」

と避難の声があがったようです。

正確な死因は「大動脈解離」で、救急隊が引き継いだときは意識は無かったものの、
脈は弱いながらもあった(Wikipedia)、ということで、試合会場でも救命処置の必要は無かったのかもしれません。

ただ、あの当時であれば、仮に救命処置が必要だったとしても、
選手、関係者は誰も出来なかったでしょう。

1986年のことでした・・・


それから25年後の同じく日本。
あるスポーツ選手が他界しました。

サッカーの元日本代表・松田直樹選手です。

練習中に突然倒れ、懸命の救命の甲斐無く亡くなりました。

知っている限りの情報では、救急車が到着するまでの間、
練習を見に来ていた女性看護師が「心肺蘇生」をしていたとのこと。

(当時)J3とはいえ、練習中にサポーターが勝手にピッチに入ってくるコトはない筈で

ここからは、あくまで 想像 でしかないですが!

対処の仕方がわからない他の選手が

誰か!お医者さんはいませんか?」

と探しまわったのではないか?と。
そこで、名乗り出たのが「看護師」さんだったのでは?


救急車の到着に要する時間は、全国平均で約 8分強

8月の天気の良い昼でした。

倒れた松田選手は公式プロフィールでは身長183cm 体重78kg
日本人としては大男です。

看護師さんが、平均的な日本人女性の体格であれば、この条件下で
ひとりで効果的な心肺蘇生を維持・継続するのはとても困難です。

まわりの、鍛え上げられた肉体を持つ選手はいったい何をしていたのでしょう?


日本のスポーツ界は、この25年いったい何をしていたのでしょう?


さて

さきほどの、水泳に対する認識

「水泳くらいやればいいじゃん」なのか?「水泳なんてやんなくていいよ」か?

この 水泳 を 救急法 とか ファーストエイド って言葉に置き換えてみて下さい。


あなたの認識は、どちらでしょうか?

アメリカで、どの程度心肺蘇生や応急手当が浸透しているのか?その実態は知りません。
25年以上前の一般の反応は、先述した通りです。


スポーツ以外でも、たとえば「クルマ」

ドイツでは新車を買うと、「救急箱」が付いてくるそうです。
中身は、三角巾とガーゼ、絆創膏、感染防止用の手袋等々・・・

最近のクルマって、けっこう高級感あって高いですよね?
諸経費いれたら400~500万円するんじゃない?なんてクルマたくさん走ってますが・・・

「救急箱」載っけてるのかな?

さほど高いモノではないと思いますよ。


さて

日本は進んだ国ですか?



  スタッフ Q

9月度 救急法勉強会の報告

2015-09-13 05:53:36 | 救急法勉強会
12日(土) 勉強会やりました。

一般参加者4名 スーパーバイザーH氏参加(心強い!)

ちょっと少ないですが、まぁよしとしましょう。


今月は、まず「生活不活発病(廃用症候群)とエコノミークラス症候群の話を少々。
ふたつとも、大災害後の「避難所生活」でなるおそれのあるコワい病気です。

予防出来る病気は、予防すべきです。


そのあと・・・「三角巾包帯法」をやりました。

むかし「三角包帯」と呼ばれた三角巾包帯法。
ドイツ(プロイセン)の軍医エスマルクの考案と言われています。

基本である、「たたみ方」「結び方」「ほどきかた」をやって。

おでこのケガの手当。

耳をケガしたときの手当



頭頂部



前腕



膝 または ヒジ の巻き方や「パンスト」を使っての包帯をやったあと
「鎖骨骨折」のときの固定のしかたをやりました。



参加者の皆さま、ありがとうございました。

おウチでも練習してね。


来月は、10月10日 第2土曜日 19時~です