ドラッカーの言葉を通して、日本が今の時代をどう乗り切ればいいかを考える著です。ITバブル崩壊後に発売された本ですが、まさに今の世界同時不況においても、同じく教訓として活きる内容です。
アメリカ人は新しい仕組みを造り出すことは得意だが、日本人は顧客のために努力し改良できる強みがある。事業の目的は、唯一顧客のためになることと言う言葉を、オーストリア出のアメリカ人であるドラッカーが発していることは、外資で働く日本人エンジニアにとっては、とても勇気づけられます。
また、イノベーションとは技術革新だけを言うのではなく、今までの仕組みをを変え、顧客にとっての付加価値を創りだすこと。マーケットは買い手の側に立った営業活動であり、セールスは売り手の側に立った販売活動で全く正反対である。などなど、何十年も前の思想とは思えず、逆にドラッカーを崇拝する数々の経営者たちが、なぜこうも道を誤り続けているのか、甚だ理解できません。地位が人を作ると言いますが、地位や名声を得てなお、思慮深くいるのは難しいと言うことなのでしょう。
最後に、これからは一握りのリーダーが引っ張るアメリカのような時代は終わり、膨大なミドル層を有する日本には大きな可能性が有るという本著の締め括りに、このままでは終われないと決意を新たにした、単純な私でした。